「セックス・ドラック・ロックンロール」じゃなくて「芸術・人間・ロックンロール」

5月20日
2月にマンチェスターに行った日記を書く以来あっという間の3ヶ月だった。
この3ヶ月の間に30歳になった。
20代最後の日はリヴァプールにいた。
言わずと知れたビートルズ出身の地で、行ってみたかったので行けてとても嬉しかった。部屋で20代も最後かと思うと走馬灯のように駆け巡る思い出。

ロンドンでの最初の一年は過酷そのもので、絵を描くことに集中できなかった。英語もろくにできないので、生きるのに必死だ。人種の壁にもぶち当たり、コロナ禍でもあったせいで、昨年は差別的な扱いもよくされて、心がまいってた。
レジに並んでたら「もっと遠くに行け。」と直接言われることがかなり多かったので、外出するのが怖くなった。

「自分の人生なんてどうなってもどうでもいいよ。」

限界になると、不思議と開き直れるからいい。そんな状態で始めたギャラリーは、全部自己資金のため、三月には破産する予定で始めたが現地や、日本のみんなからのサポートもあり、ありえないぐらい高い家賃を払いながら、帰国直前まで続けられることが奇跡的で本当に嬉しいことで、感謝してる。

ロンドンでのこと、日本でのこと、振り返った後に「悔いなんてなにもない。」
とポツリ自分の口からでると、それとともに涙が溢れた。
優しいビートルズの音色が部屋を包んだ。
死にたくなった夜なんて数え切れなかったけれど、死んでいない。温かな、それとともに燃えるような魂を持って生きてこれた。
出会ってくれたみんなに感謝だ。
芸術だけではダメ。
ロックンロールだけでもダメ。
出会ってくれた生身のあなたに会えたこと。
綺麗事なんかじゃなくて、本気で思ってる。
生きている人と触れ合う時、いつも芸術もロックも超えるぐらいドキドキする瞬間が沢山あって。
「私は生きているんだ」と沢山感じることができた。
悲しさや、苦しさ、なぜ感じるのかとよく思うけど、生きていることに、やりたいことに、自分に向き合うから感じるのだと思う。嬉しさや、優しさはそれと向き合えた数だけ触れられるのだとも思うんだ。

私は「セックス・ドラック・ロックンロール」じゃなくて
「芸術・人間・ロックンロール」自分の中でずっと握りつづけてる。

外にでるのが怖かったから、いつもコンクリートを見てた弱い背中だったけど、今はちゃんと前をみて歩いていける。
30代。転んでも、歩けなくても、立ち上がりは続けたい。
この魂を熱く燃やしながら、生きて描いて、やってやろうと思うんだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?