アロマクエスト|(8)|変化−5
そのモノたちは、いつから現れたのだろうか。
姿形は人のようではあるが、全体的に色彩というものがない。
顔の部分も、はっきりと判別できない。
まるで影法師のように、ゆらゆらと揺れている。
言葉を発することもない。
気がつくと、背後に立っている。
物理的な攻撃があるわけではない。
ただ、その姿を見てしまうと心身の不調が現れるのだ。
不安感。
焦燥感。
イライラ。
脱力感。
胃腸の不調。
吐き気。
頭痛。
肩こり。
呼吸器系の不調。
血圧の上昇。
どうやら、その人の弱っている部分に影響を与えるようだ。
いつしか、そのモノたちを「スウェイング・シャドウ(揺れる影)」と呼ぶようになった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして人間に、新たな災いが降りかかることになる。
スウェイング・シャドウに襲われた人間が、スウェイング・シャドウへと姿を変えていったのだ。
その数は、次第に増えていく。
いったい、何者なのか?
どこから来たのか?
何のために、人を襲うのか?
これらの謎は、しばらく解明されることはなかった。