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ストーカーの言い訳

僕は家出をして気仙沼にいた。

逃げて落ち着きたくて、楽しげな人たちの「車で気仙沼まで行く」を追っかけて来てしまったけど、ひとりで車を運転していたらツイートは見れないしナビ通りに走ったら道が無くなるし疲れ果てて駐車場で帰りの新幹線を調べていた。

車で気仙沼まで行く。 - ほぼ日刊イトイ新聞
https://www.1101.com/kuruma_kesennuma/

そのとき唐桑のツリーハウスのことを思い出した。
調べると片道30分ほどで新幹線の最終には間に合いそうだった。ナビを唐桑経由一関にセットして走り出した。

1時間以上走ったが唐桑にはたどり着けなかった。ナビはリルートを繰り返し、道はどんどん狭くなりどんどん山奥に入っていく。来た道を戻ろうにもUターンできる場所もない。

もう一生いいことはないはずと思い始めたときに尾根沿いの立派な2車線の道路にでることができた。神様ありがとう。おまけに唐桑の案内も出ていた。神様ありがとう。

すこしいくとゆっくり走るカローラワゴンがカリオストロの城のルパンたちのように左右に揺れてぴょんと飛び上がった。居眠り運転かと車間を空けるとちいさなガソリンスタンドに入っていった。通り過ぎながらカローラワゴンをみると、ご馳走を前にしたコナンとジムシーそっくりな田中泰延さんと浅生鴨さんが乗っていた。

奇跡がおきた。

このままいくと、たぶんツリーハウス前のつなかんで4人組と会ってしまう。それは恥ずかしい。なんてストーカーだ。自分が怖い。でもここまできたからツリーハウスには行きたい。会ったらなんていえばいいのだろういや会わないでツリーハウスにいけばいいのた。どっかで小一時間つぶせばいいんだナイスアイデアおれ天才。

半島の先までいって眺めのいい場所に停まってぼんやりしたあとツリーハウスに向かった。完璧な計画のはずだったがそこにカローラワゴンはなかった。まだ4人組は到着していなかった。ほぼ日やつなかんの人たちが玄関先から出てきてどうしていいかわからなくなった。すこし離れた海岸沿いに車を停めたときカローラワゴンがやってきた。たのしそうである。くやしいなんだかくやしい。バッと車を飛び降りカローラワゴンにむかった。

恐怖におびえる田中泰延氏

いやいやツリーハウスに来たんですよ僕はと言いながら坂道を上った。
坂道の上には小さな社があった。唐桑の海がよく見えた。太陽がまぶしかった。漁船の旗が靡いていた。風と波の音しかしなかった。なぜか懐かしい優しい気持ちになった。

すっきりした気持ちになって体が軽くなった。
はやく家に帰って妻と息子に海がきれいだったよと話そうと思った。

#東北ツイート聞き語り旅 の配信で3年前のストーカー行為が公になってしまったので言い訳を書いてしまいました。