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“ What’s UGUISS ? (UGUISSって、なんだ?)”

第九話「次のフェイズへ#6」Text by 松本淳

僕より一つ年上の栄子は、いつも優しい柔らかな空気感が漂っていた。
とても明るくキュートだが、ちょっとした影も垣間見え、
色気も感じさせた。

初めて栄子を見たのは、栄子のお姉さんの山根麻衣ちゃんのライブで
コーラスをやっていた時だった。
華奢なルックスに似合わないパワフルなボーカルで、
ひときわ華やかなエネルギーを放っていた。
そのバンドには佐橋も伊東あっちゃんもいた。
終演後、楽屋に挨拶に行くと
「淳でしょ、話は聞いてるよ」と、
さばさばした口調で栄子から握手を求めてきた。
栄子こそUGUISSだ、と確信した。

栄子がUGUISSに加入してくれることになり、
リハーサルやライブなどで一緒にいる時間が増えると、
ある日「淳も好きなんだ」とFleetwood Macの話で、
めちゃくちゃ盛り上がったことがあった。
バンドメンバーとして打ち解けた瞬間だった。

栄子の歌は素晴らしかった。
ピッチはもちろんのこと、リズムも全くブレなかった。
栄子の歌がバンドに乗ると、
自分のドラムのビートの辿々しさが、あからさまに分かった。
リズムがハシり気味になってしまうビートに悩んでいた頃、
栄子が「淳の前乗りのドラム、歌いやすいよ。なんか盛り上がるしさ。」
と言ってくれた。
嬉しかった。

栄子のアーチストパワーのおかげだろう、
メジャーデビューの話が急速に進んだ。
デビューしてからは、ご周知の通り。

栄子の歌には、彼女の人間性がそのまま表れている。
栄子の歌詞には、彼女のメッセージが強く込められている。
その魅力が、これからもずっと、誰をも魅了し続けるだろう。

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