人生初の海外はケニアに父の墓参り〜ケニア探訪記8

ふと気づく。眠っていた。時計を見ると離陸から2時間ほど経っている。
いつ眠ったのか覚えていないけれど目の前のモニターには今機体が日本を抜けて韓国上空にあることを示していた。
たった2時間で日本を抜けるのか。驚くとともにこれからは確実に海外なのだなぁと思った。
それからまたうつらうつらと時間が経ちモニターを見るとヒマラヤのあたりを飛んでいる。


父が60年前東京五輪の聖火リレー陸路踏査隊で、サファリに行きたいと夢を語ったネパールの上空。父は陸路でひたすら日本を目指して走り、私は今逆向きに空から60年前の父の幻影を瞼の裏に見ている。
1日の仕事を終え、焚き火の前で後のナビゲーターになってくれる安達隊員にサファリラリーへの夢を語る32歳の父。60年前の出来事がドラマのように目を閉じた私の前で展開されている。
来てよかった。この空を飛べて良かった。私はまだドバイにも着いていないのにめちゃくちゃな感動に包まれ、うるうると目頭を熱くしていた。
父の通った道を逆に空からなぞっていく。そしてこれから亡くなった地までタイムスリップしていく。そんな気分だった。
モニターでは夜明けを示すラインがどんどん東から押してくる。この飛行機はどんどん夜を探して西に飛び、次の日から逃げているようだ。
日本はもうすぐ夜明け。私たちはまだ真夜中。昨日に向かって飛ぶこの飛行機は、ドバイで夜明けを迎えることになっている。

ところで、わたしは初の海外旅行。海外の航空会社の機内食というのも初体験で、テレビなどで見ている「ビーフorチキン?」みたいなのがどんどん近づいてくるのもかなりドキドキした。「この機内食は成田で積んだものだから多分日本人の口に合うと思うよ」と旦那が隣でささやく。何かドリンクをみんな注文しているが、何があるのかわからない。と言ってどう聞いて良いのかもわからない。旦那はビールを注文したが私はビールはいらないなと思い、コーラもいらないし、「コーヒープリーズ」というとそれは食後に来るよ的な答えが返ってきた。うーんギブアップ。これ以上私に時間を割いてもらうのも申し訳ない。私は「ノーサンキュー」と言ってしまった。逆サイドの隣二人を見ると私たちのしばらく後にワゴンがやってきた。娘たちはアップルジュースをもらっている。あージュースもらえば良かったのかぁ。前の人とかの注文を聞き耳をたてておけば良かった。次はオレンジジュースに挑戦だ!水は一応みんなついているので、ノーサンキューでも全然困らなかったが、なんか英会話できずに負けた気がする。水のペットボトルが見たことない形とサイズで、珍しいから飲まないで持って帰ろうかと思ったけど、喉が渇いてやはり前言撤回、写真に収めて美味しくいただいた。焼きそば的ヌードルはちょっと異国の味つけだった。そしてデザートのチョコレートケーキがやけに美味しく感じた。気圧が違うと味覚も変わるのかな?
機内のトイレは少ないので、早めに並ばないとかなり待つ。人をまたいで動くのはストレスだが、まぁ一列右も左も家族なので、他人よりは気が楽。出張で一人、なんて旅よりは家族で旅できて本当に心強い。なんでもお初の体験なので、感動をすぐに共有できるというのは素晴らしいことだと思う。

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