
サーハビーのビルが、取り壊される事になりました…。
皆さま、いつもありがとうございます。CAFE サーハビーの野々村です。
実はけっこう前から、コロナ禍になる前くらいに、決まっていた事があるんです。
タイトルの通り、CAFE サーハビーが入っているテナントビルが取り壊される事になりました。今年2020年の秋です。
ホントはもっと早く、皆さまにお伝えしたかったんですが、管理会社の方から、告知するのはしばらく待ってください、とお願いをされていました。
お店に来てくれた一部の方には、僕の口から直接お伝えしてはいましたが、ビルの取り壊しが決まってからの約4カ月間、ずっと皆さんには言えないままに過ごしてきました。
この度、管理会社の方から、ようやく待ちに待った告知の許可が出ましたので、詳細を皆さまにお伝えしようと思います。
たぶんめっちゃ長文になると思いますので、プラットフォームをこの note (ノート)に変えまして、詳細や今後の事を書いていこうと思います。
今思うと、管理会社が変わったり、ビル名が変わったりと、その前兆はあったんです。
2009年の9月に、南3西1に最初のCAFE サーハビーをオープンさせまして、その3年後の2012年の夏に、南3西6の今のビルに引っ越してきました。
ビルの名前は和光ビル。ちょっと古めな、2Fのエレベーターを降りたらすぐ店内という、変わった作りのビルです。
1Fが焼き鳥屋さん、2Fがサーハビー、3Fが美容室、4Fがバーという、テナントが4つしか入っていないビルで、焼き鳥屋さんと美容室は、20年以上続く老舗のお店です。
実はこのビルには、長らく稼働していない、エレベーター式の立体駐車場があるんです。
ビルの入り口の左側のヘコんだ部分が、稼働していない立体駐車場になっています。
これがその駐車場。
このビルに引っ越しをしてきてから5年目くらいのある日、突然スーツ姿の物々しい男の人たちが4~5人くらいで、ゾロゾロとやってきました。
どうやら管理会社が変わるらしく、そのご挨拶に来たとの事でした。
管理会社が新しくなり、長年稼働していなかった立体駐車場を解体して、新しくテナントにする計画だそうです。
1Fに新しいテナントができれば、ビルにも活気が出ると、僕も楽しみにしていました。
サーハビーの店内の奥に、この立体駐車場の消火用ボンベが保管されている個室があるんです。ソファー席の一番奥の謎の扉。普段は開きません。
立体駐車場の解体工事をするにあたり、どうやらサーハビーの店内にも影響が出るとの事で、管理会社と相談する事になりました。
相談をする日の数日前に発生した、北海道胆振東部地震…。
停電、自粛、復興やらのバタバタで、解体工事の予定そのものが流れてしまいました。
地震の影響もずいぶん落ち着いた頃、また突然スーツ姿の男の人達がやってきました。
どうやら管理会社が変わるらしく、そのご挨拶に来たとの事でした。
えっ? また!
立体駐車場の解体工事が、予想以上に大掛かりだったらしく、結局、前の管理会社は断念して撤退。新たに別の管理会社が、もろもろを引き継ぐ事になりました。
それに伴ってビルの名前も、和光ビルからライトビルIIIに変わりました。
その後すぐに、立体駐車場の解体工事が始まりました。何日にもわたり、大掛かりな工事が行われました。
管理会社との打ち合わせにて…。
工事も一旦落ち着いたのか、しばらく何事も無いまま過ぎ、しばらく経ったある日、管理会社から電話がかかってきました。
「うちの社長が、野々村さんと直接お話がしたいそうで、時間を作ってほしい。」
え? どういう事? 社長さんが直々って事は、けっこう重要な話なはず…。工事の話か、契約の話か、それとも家賃の値上げの話とか…?
2020年2月19日(水)15:30
管理会社と打合せ
サーハビーにて
と、僕の手帳に書かれています。
打合せ当日、開口一番に、
「単刀直入に、結論を先に申し上げますと、ビルを取り壊すことにしました。」
ほーーー! これはなかなかの急展開!
今思うと、打合せの直前に、ビルを壊す可能性もゼロではないぞと、一瞬頭をよぎりました。
それでもやっぱり、実際に聞くと驚きました。
まずは管理会社の話をきちんと聞きましょう。こちらの結論はそれから。
立体駐車場を解体してテナント化しようと手を尽くしてみたが、ビルの内部に車用のエレベーターが設置されているので、撤去するにはやはり莫大なコストが掛かってしまう。それならばビルごと壊して一旦リセットしよう、という事でした。
ビルの取り壊しは今年の秋を予定しているので、退去日は9月30日。先方が提示した退去に伴う条件は、移転先の物件探し、引っ越しのサポート、金銭的な補償、といった内容でした。
また、今回の条件をきちんと文書にして、裁判官の立ち会いのもと、退去に伴う契約書を交わしたい、との事でした。
不動産業界の事は僕にはわかりませんが、札幌の街は新しいビルの建設ラッシュです。先日もススキノラフィラが閉店したばかり。
サーハビーのビルもけっこう古いビルだし、札幌の今の流れを考えると、なるほど取り壊しにもなるよな…。
実は引っ越す前のビルでは、退去に伴って管理会社と揉めに揉め、裁判にもなったんです…。
それに比べると今回の話は、補償面なども含め、とても誠心誠意な条件を提示してくれましたと思います。
ビルの取り壊し。決定した事はもう変えられません。素直に協力をして、退去に同意する事にしました。
でも、最後にこう伝えました。
「退去した後どうするかは、ちょっと考えさせてください。」
これからどうするか?
原点に戻って考えてみました。
管理会社から提示された条件の中でも、金銭面の保証はとてもありがたいですね。とは言っても、引っ越しに伴う資金をまるまるカバーできる金額ではありません。
簡単に言うと、9月末から無職になるんです。自分が働く場所が無くなる。これはけっこう深刻な事態です。
金銭面、自分自身の気持ち、今までのサーハビー、これからの事、いろんな側面からしっかり考えて、どうするかを決めようと思いました。
この写真は引っ越す前の最初のサーハビー。たしかオープン前日の夜に撮った写真だったと思います。
今から約10年前、CAFE サーハビーをオープンするにあたり、自分自身と向き合って、いろんな事を真剣に考えました。
飲食店で働いた経験は、ほぼゼロ。どうやってお店を作るのか、どうやってお店を続けるのか、人生を賭けて考えました。
その時に、一番はじめにやった事。1冊のノートを買ってきて、何も考えずにやりたい事を箇条書きにしました。
その無意識の羅列が、自分が本当にやりたい事なはず。
当時のノートを引っ張り出して見てみると、1ページ目に、やりたい事がダーっと書かれています。
・おいしいごはんを作る
・おいしいコーヒーをいれる
・おもちゃを置く
・ドッカリとしたソファーを置く
・店内ライブができるようにする
なんて事が書かれています。
CAFE サーハビーは、この雑な箇条書きから、その全てが始まりました。今もなお、当時の信念はサーハビーの根幹にあります。
ビル取り壊しの一大事。急に訪れた人生の分岐点。もう一度、原点に立ち返って、自分自身の内面を見つめてみようと思い、 管理会社から話を聞いた翌日に、あの時と同じように、1冊のノートを買ってきました。
10年経って、お店の状況も、周りの状況も、自分自身の考え方も、ずいぶん変わったと思います。
そんな中、飲食店を10年やってきた今の自分は、何を考えているのか? 何がやりたいのか?
当時と同じように、何も考えずに、やりたい事を書き出してみました。
・デザイン
・WEB制作
・キャンプ
・みんなとワイワイする
・楽しい事をしたい
実は数年前から、サーハビーをやりながら、デザインやWEB制作の仕事もやっています。そんな事も含めて、やりたい事を書き出してみました。
その結果に自分でも驚いたんですが、飲食店に関する事が、あまりあがってこなかったんです。
10年続けた飲食店。
今は自分の中で、どういう位置付けなのか。
美味しい料理を作りたい。美味しいコーヒーを淹れたい。そういう気持ちは常に持ってはいます。でもそれらは、今の自分が本当にやりたい事なのか?
10年間、毎日コーヒーを淹れて、料理を作って、お店に来てくれた皆さんと一緒にワイワイ楽しくやってきました。
なぜ今、やりたい事の中に、飲食店に関する事が少ないのか? バリバリ飲食店の人なのに。
飲食店を10年続けた今の自分にとって、飲食店とはどういう位置づけなのか? 気持ちの奥深いところに問い掛けてみました。
お客さんと一緒にバンドを組んだり、イベントをやったり、キャンプに行ったり、ホントに全力で楽しいんです! 飲食店って。っていうかサーハビーって!
皆さんと一緒にワイワイするのが、僕の中での一番なんです。皆さんがサーハビーに集まってくれて、コーヒーを飲みながら、ご飯を食べながらワイワイする。
そこで…… 、ハっ! と気付いてしまった事がありました…。
今の僕にとって、コーヒーを淹れたり、料理を作るという行為は、皆さんと一緒にワイワイするための、ひとつのツールなんだ…、と。
みんなとワイワイしたいから、コーヒーを淹れる、料理を作る。カフェだから気軽に遊びに来てくれる。そしてまた一緒にワイワイする。
僕にとっての飲食店は、結果ではなく、手段になっていたんです。10年経った今は。
みんなと一緒にワイワイする。その結果を得るための、手段…。
もうひとつの、大きな気持ちの変化。
さっきもちょっと触れましたが、数年前からデザインやWEBの仕事もしています。
というのは、今でこそお店に毎日立っていますが、これが50才、60才になっても変わらず立ち続けられるか、と考えた時に、たぶん難しいなと思った事があります。
年齢に伴う体力問題。
もともとサーハビーをはじめる前は、WEB制作会社に勤めていたので、自分のお店のホームページを作ったり、メニューをデザインしたりしていました。
40才も半ば位になった時に、今後の体力面を考えて、WEBやデザインの仕事を増やしていって、ゆくゆくは店内の半分を事務所にして、カフェの営業も短くして、徐々にバランスを取っていこう。
そんな10年後20年後を見据えての、長期計画をスタートさせました。
僕は年を取って死ぬまで、この場所でやろうと思っていたんです。サーハビーというこの場所で、一生やろうと。
これまで、いろんな事をやってきました。イベントもたくさんやりました。仕事もたくさんしました。
お店が営業している限り、僕はいつもこの場所にいて、これからもずっとこの場所でやるつもりだったんです。
「単刀直入に、結論を先に申し上げますと、ビルを取り壊すことにしました。」
管理会社からの話を聞き、驚きつつも、正直、こうも思いました。
もっと広く、もっと大きく、“サーハビーの外で”、仕事ができるんじゃないか…?
僕は毎日サーハビーにいます。いつも僕がいるのがサーハビーだと思っています。
だから今までは、サーハビーの外で仕事をするとか、ぜんぜん違う仕事をするとか、そういう発想は一切ありませんでした。サーハビーという場所ありきでしたから。
それが、ビルが壊されます、今のサーハビーが無くなります、となった時、もっと自由に、もっと何でもやれるのではないか、という気持ちが、フツフツと大きくなっていきました。
この、サーハビーが無くなる、という最大級の変化が、僕の気持ちを大きく変えてしまいました。
“サーハビーの外” という、無限に広がる可能性。
今までは想像すらしていなかった外側の世界を、一瞬でも想像してしまったばっかりに、その大きな可能性に魅了されている自分がいました。
45才にして、また新しい事ができるかもしれない、という突如湧いてきたチャンスに、ワクワクしている自分もいるんです…。
いろんな選択肢を、
それぞれ本気で考えてみました。
ビルが取り壊しになって、今のサーハビーが無くなるにあたり、今後の選択肢はいろいろあります。
・そのまま引っ越しをする
・規模を縮小して引っ越しをする
・事務所&サーハビーにする
・事務所にする
・全く違う商売を始める
・就職をする
・実家に帰る
このそれぞれの選択肢を、今の自分の気持ちも踏まえたうえで、じっくりと考えてみました。
そのまま引っ越しをする。
おそらく、今のサーハビーをそのまま別な場所に引っ越しをするのが、最も無難なんだと思います。皆さんも納得しやすいでしょう。
サーハビーは一度、2012年に引っ越しをしています。その時はオープンてまだ3年。何の迷いもなく引っ越しをしました。
最初のサーハビーを作り、引っ越しをして今のサーハビーを作り、そしてまた引っ越しをする…。
1回目のサーハビーは、夢いっぱいで作りました。
2回目のサーハビーは、みんなのために、家族のために、自分のために、サーハビーという場所を残さないといけないという義務感で作りました。
じゃあ3回目は、どういう気持ちで作るか?
一生懸命に時間をかけて作ったガンプラ。
全く同じガンプラを、3回も作るとなると、ちょっとテンション下がりませんか?
それが全てではありませんが、そういう気持ちが無いと言えばウソになります。
それと、3年目に引っ越した時は、お店はまだまだ未熟で駆け出しでしたから、何の迷いもありませんでしたが、今は正直、10年やったからもういいんじゃない? という気持ちも無くはないです。
また、同じ規模で引っ越しをするとなると、それなりの資金が必要になってきます。管理会社から金銭的な保証があるとはいっても、全てを払える金額ではありません。
それともう一つ。こっちが一番の理由かもしれません。
引っ越しをすれば、場所ま変わりますし、そうなると来るお客さまも変わりますし、お店の利用のされ方も変わるので、またゼロからのスタートとなります。
前に引っ越した時が、正にそうでした。ある程度は予想はしていましたが、思ってた以上に、何もかもが変わり、本当にゼロからのスタートでした。
前の店の時のような落ち着きを取り戻すのに、2年くらいかかりました。
今回また、お金をかけて、労力もかけて、ゼロから始めて、また2年間頑張って積み上げたとしても、ようやくたどり着くのが、“現在の高さ” なんです。たぶん。
同じお金と、労力をかけるなら、もっと違う場所に行ってみたい。それが正直な気持ちでした。
そのまま引っ越しをする。うーーん…。ちょっと無いかな…。という結論。
規模を縮小して引っ越しをする。
では、今のサーハビーの規模を縮小しての引っ越しはどうか?
サーハビーの広さは18坪。半分くらいの広さなら、家賃も安くなるでしょうし、狭くなれば1人でお店を回せるので、人件費も掛からない。
カフェをやりながら、WEBやデザインの仕事をしていると、どうしても “2足のワラジ” になってしまいます。
もともとがカフェとして始まっているので、バランスはカフェの方に偏っています。
仮に規模を縮小して引っ越しをしても、そのバランスはあまり変わらない気がするんです。
そもそも、ワラジが2足で通用するのか。1つに専念するべきではないのか。
お店を営業している限りは、どうしてもカフェの業務が優先になる。今まではそれが当たり前でしたし、その状況が絶対的な条件でした。
でも一度、その条件が取り払われた事を想像してしまうと…、いつでも外に出れて、いつでも作業に没頭できて、ぜんぜん違う仕事もできる、という事をちょっとでも想像してしまうと…、それがずっと頭から離れなくなりました…。
自由に仕事ができるという魅力。
規模を縮小して引っ越しをする。これもちょっと違うような気がするんです…。
事務所&サーハビーにする。
もともと、いずれは半分を事務所にするつもりだったので、事務所&サーハビーとして、最初から分けた形で引っ越しをするのはどうか?
最初から分ける事で、両者のバランスも保たれ、うまくやれそうな気がします。
一見、良さそうに思えるんですが、結局のところ “2足のワラジ” には変わりませんし、僕が一方に専念するとなると、もう一方には僕がいない分の人件費がまるまる掛かってきます。
そもそも、規模を縮小したり、事務所と完全に分けた形にしたとしても、飲食店にするからには、厨房設備や客席スペースも必要になるので、それなりの設備投資は避けられません。
再び借り入れをするのは避けたい、というのも正直なところ。お金を借りたら、当然返さないといけませんから。
考えれば考えるほど、飲食店の外側の世界に、気持ちが引っ張られてしまいます…。
ついでに、ちょっとヤラシイ話をすると、飲食店というのは、広さと業態で、1店舗あたりの、だいたいの売り上げの上限が決まってきます。
コーヒー1杯550円、席数28席、9時間営業。
サーハビーがどんなに忙しくても、たった1日で、100万、200万の売り上げを出す事はできません。それがカフェという業態の宿命です。
その宿命から解き放たれて、売り上げの上限のリミッターが外れる事を考えてしまうと、気持ちがどんどん上へと向かっていってしまうんです。
事務所&サーハビーにする。悪くはないですけど、この気持ちの移り変わりは、事務所を構えたいって事なのだろうか。
事務所にする。
では、事務所についても、じっくりと考えてみましょう。仮に事務所を構えたと想定して、そのメリットとデメリットについて考えてみました。
メリット
・新しい事にチャレンジができる
・1つの事に集中してやれる
・売り上げの上限のリミッターが無くなる
・今後の可能性に広がりがある
デメリット
・未知の領域なので不安
・仕事が取れないと破綻する
・飲食店のように日銭が入らない
まぁ一番大きいのは不安ですね。仕事として成り立つのか。やっていけるのか。
ちょっと昔の話をします。
CAFE サーハビーが誕生するずっと前、まだ東京に住んでいた頃、旅行で札幌に行く機会がありました。
羊ヶ丘展望台のクラーク像の前で、いつか札幌でお店を開くんだと、僕も大きな志を抱きました。
まだサーハビーという名前すら、カフェをやる、という事すら決まっていない、そんな時期でした。
35才で会社を辞め、住んだ事もない札幌に移住してきて、右も左もわからないまま、CAFE サーハビーを始めました。知り合いもほとんどいない札幌。未経験の飲食店。
そんな札幌で、なんとか10年、飲食店を続けられました。いろんな人に、たくさん支えてもらいました。
事務所を構える。それは飲食店を辞めるという事です。人生を変える、とても重たい言葉です。
突き詰めて、現実的に考えると、不安でいっぱいになります。
でも、その不安は、サーハビーを始める前も同じだったはず。
経験も無い、保障も無い、あるのは夢と根拠の無い自信だけ。
もっと言うと、保証が無いのは、10年お店を続けた今だって同じなはず。
昔と今とで、絶対的に違うのは、10年分の人との繋がりと、10年分の蓄積された経験値。
飲食店は一旦辞めて…、
事務所を構える事にします。
いろいろ、ホンっっっトにいろいろ考えました。コロナで大打撃の中でも、ずっとその先の事を考えていました。
じっくりと、いろいろな側面から考えた結果、CAFE サーハビーを一旦閉めて、事務所を構える事にします。
“一旦” という言葉を使ったのは、いつかまたCAFE サーハビーをやるかもしれない、という可能性を残したかったからです。
でも、すぐにはやりません。
2020年の9月末で、今のCAFE サーハビーは、閉店する事にします。その次は、事務所を構えます。
再び、大きな志を抱いて。
次の屋号をどうするか?
もう、いよいよこうなったら心機一転です。今まで以上に本気でやらないといけません。
初心に帰って、裸一貫で、ゼロからまた積み上げる気持ちでやらないと、おそらく通用しないでしょう。
事務所を構えるにあたり、本当の意味で初心に戻るために、サーハビーという名前も無しにしようと思っています。
自分の気持ちの中で、何も引きずらないで、一切を断ち切って、とことんまで追い込んで、そうしたうえで前に進まないとダメな気がするんです。
“サーハビー” という名前すら断ち切って。
WEBやデザインの仕事の時は、「SAHABI WEB & DESIGN PRODUCTION」という屋号を使っています。あまり表には出ませんが。
皆さんが見慣れている、青いラクダのサーハビーのロゴ。白色の背景。それには、真っ白なキャンバスに一緒に色を塗っていこう、という意味合いがあります。
WEB & DESIGN の方は、青いラクダとは対照的な無彩色なロゴ。
この無彩色には、WEBとデザインで、お客さまの色に染めていきますよ、という、よりクライアント側に立った意味合いを込めています。
この屋号を使うとなると、WEBとデザイン “だけ” の会社になってしまいます。
今後の選択肢をリストアップした時の、「全く違う商売を始める」というのも、今後の可能性としては大いにアリだとも思ってます。
だからもっと広い意味を持った、何をやってもハマるような、そんな屋号にしたいんです。
そんな事を考えていた時、昔からとてもお世話になっている方がお店に来てくれまして、ビルが壊される事、次は事務所を構えようと思っている事など、全てを打ち明けました。
話の後でその方が、ボソっとこう言いました。
「次は、オフィス・サーハビーですね。」
次は「オフィス・サーハビー」にします!
素直にとても良い名前だと思いました! 僕がこれからやろうとしている事を、的確にとらえています。何をやっても OK な名前。
ホントはサーハビーという名前も、ラクダのマークも、青い色も、全て無くそうと思っていました。
でもいろんな人が、サーハビーの名前は残すべきだと言ってくれました。中には、ラクダの色を青にしないともう友達をやめる! なんて事を言ってくれた人もいました(笑)。
サーハビーという名前と、青いラクダが、僕と皆さんにとっての、10年分の繋がりの象徴なんだなと思いました…。ありがたかったです…。
だからこそ残します。青いラクダのサーハビー。
というわけで、もういちど新しい屋号のロゴを載せます!
次の屋号は「オフィス・サーハビー」です! 皆さま宜しくお願いします!
で、何をするのか?
そうなんです。事務所を構えて何をするのか? どんな仕事をするのか? そこが最も重要なんです。
漠然と考えているのは、以下のような感じです。
・WEB制作
・デザイン
・飲食店サポート
・飲食店向けのセミナー
・イベント
・その他
まずは何ができるのか。今できる事をフックにして突破口を開き、そこから発展、派生させていければなと思っています。
今まではカフェをやりながらだったので、やれる範囲が限定されていました。これからはもっと幅広く、一事業として確立するくらいの密度にしていきたいです。
初めは小さな事しかできないかもしれませんが、ゼロからまた、少しづつ積み上げていこうと思います。
一方で、WEBやデザインだけで成り立つとは、全く思っていません。でも、成り立たないと最初から決めつけるのも、非常にナンセンスだとも思っています。
最後に書いた “その他” というのが、実は最も可能性を秘めている気もしています。
要するにですね…、まだ迷ってるんです…。ベクトルをどこに向けるべきか。
新たなスタートを切るのは、まだもう少し先なので、それまでじっくり考えつつ、カフェを始めた時と同じように、走りながら、経験しながら、判断していこうと思います。
いろんな人と楽しみながら、
人情を大切にしていきたい。
9月末に退去して、10月から事務所を構える予定です。その先は未知の領域。
どうなるかはわかりませんが、未知の領域だからこそ、すごく楽しみでもあります。新しい事にチャレンジできる、体験したことのない事を体験できる、そう思うと、緊張感はありますが、けっこう楽しみです。
CAFE サーハビーの対価は、揚げたてのドーナツよりも、おいしい料理よりも、“楽しさ” だと思っています。
CAFE サーハビーの対価は “楽しさ”。
お店に来てくれた人から、「おいしかったです! 」と言って頂けるのも、もちろんとても嬉しいです。
それ以上に、「なんか楽しかったです!」そう感じてもらいたいと思っています。
これから業種が変わっても、僕の中での “楽しさ” という信念は変わりません。いろんな人と一緒に楽しく仕事がしたい。
そこには必ず相手が存在します。人対人。仕事をするうえでお金という対価ももちろん大事です。当然僕も仕事をすればお金を頂きます。
でも、お金よりも人対人。お金よりも人情。そんな事も大切にしていきたいと思っています。
そんなオフィス・サーハビー。もしかしたら失敗するかもしれません。その可能性もゼロではないです。成功するか失敗するか、それはわかりません。
もし失敗してしまったら、たぶん実家に帰るか、就職をするか、そんな感じになるんだと思います。
今もそうですが、そういう最終的な逃げ道も、頭の片隅には常に置いています。
失敗するかも…。そいうマイナスな思考に引っ張られないように、10年間実践してきた方法があります。
失敗した時の事は、失敗してから考える。
そうならないように何をすべきか、何ができるか、それだけを考えています。
CAFE サーハビーに集うお客さまの事。
めっっっちゃ長々と、事の経緯と、自分の気持ちを書いてきましたが、きちんと皆さんに全てを伝えたかったんです。
それには自分の事だけではなく、CAFE サーハビーに集うお客さまの事も書く必要があります。
僕の中で最も大きく占めているのは、みんなと一緒にワイワイする、という事。それがサーハビーの対価である “楽しさ” に繋がっています。
だからこそ10年続けられたと思っていますし、自分の気持ちを改めてノートに書き出した時も、バンドをやりたい、とか、マイクラをやりたい、とか、みんなと一緒にワイワイしている事が、たくさん書き出されました。
これからも変わらずに、みんなとワイワイしたい。
事務所を構える、みんなとワイワイしたい。この2つが、僕の中で最終的に大きく残りました。
この2つを両立させられないか?
広い事務所を借りて、みんなで遊ぶ!
事務所を構えるにあたり、そこそこ広い事務所を借りて、普段は打合せスぺースにして、たまにみんなで集まって遊ぶ! そうすれば両方解決なのでは!
今までみたいに、大きなイベントは出来ませんが、みんなでお茶したり、マイクラしたり、ギター弾いたり、ガンプラ作ったり、ミニ四駆やったり、そういう事はできるじゃん!
さっそくネットで、物件を検索してみました。場所は、すすきの、大通り、創成エリア、西11丁目あたりの、広い事務所物件!
ガーーーン…。
広い物件だと、けっこう家賃が高いんですね…。そりゃそうです…。
今後どうなるかわからない状況で、家賃や人件費などの固定費は、できる限り最低限に抑えようと思っています。
まずは誰も雇わずに1人でやる。そうすれば人件費はゼロ。本当に必要になったタイミングで人を雇えばいいし、人は雇わないで外注するという方法もある。
みんなとワイワイするために、広い事務所物件を借りて、固定費を余計に掛けるのか?
いや、それはちょっと違うんじゃないか…。
それは、カフェだったから…。
それともう1つ、考えてみました。
「みんなで一緒に遊びたいから、事務所に遊びにおいでよ!」
事務所に遊びに行く。オフィスに遊びに行く。どんなに仲が良くても、それはちょっと気を遣いますよね…。
そう、今までは、カフェだから成り立っていたんです。
気軽に遊びに来る。コーヒーを飲む。タバコを吸う。みんなとおしゃべりをする。カフェという場所は、そもそもそういう事をする場所なので、自然と、ホントにごく自然と、みんなが集まれる。
とても良い意味で敷居が低く、誰でも気軽に、知らない人だって、初めての人だって、誰でも来れる場所。
カフェと事務所。意味合いがぜんぜん違うんだ…。
やっぱり、1人用の事務所を借ります…。
みんなが集まれる事務所。これはすごく考えました。どうにかして両立できないかと。
でも、それはまだ、今の自分には難しそうです…。
新しい仕事で家族を養う。それが最初のミッションです。できる限りリスクを減らし、慎重に行きたい。時には大胆さも必要なんでしょうけど、まずは何を最優先させるかを考えました。
なので、狭くて、家賃の安い、1人用の事務所を借りる事にします。
そこから始めようと思います。
サーハビーのお客さまとの、これからの関係性。
今までの僕は、自分もサーハビーの一部、自分も商品の1つ、という意識で過ごしてきました。
この10年で、数えきれないくらいの人と、サーハビーで出会ってきました。
いろいろな人の人生の一瞬。例えば、就職、卒業、出会い、別れ、結婚、出産なども、もちろんそうですが、普段の日常での、たわいもない話、笑い、悩み。
月日を重ねながら、人ぞれぞれの、その時の一瞬を、サーハビーという場所で見てきました。
皆さんが、人生のほんの一瞬、たった数時間、サーハビーで過ごす。
様々な人の “たった数時間” の積み重ねで、サーハビーの10年は成り立っています。
お店をやっていると、月日の流れと共に、通ってくれるお客さまも入れ替わっていきます。
札幌を離れる人いますし、結婚や出産をきっかけに、今までみたいに頻繁に来れなくなる人います。
流れて来ては、流れて行く、そんな皆さんの人生の一瞬の流れ、様々な “たった数時間” の流れ、その移り変わりを、僕だけはずっとこの場所に留まって、見守る義務があると思っていました。
その流れを、眺めているのが好きでした。
いつかまた、久しぶりにサーハビーに来てくれた時に、変わらず元気に楽しく会えるように、僕はずっとここに留まっていよう。
いつまでも、いつも通り変わらずこの場所にいる。そして皆さんと一緒に年を取っていく、それがCAFE サーハビーという場所を作った、僕の使命なんだと…。
そのCAFE サーハビーが無くなるんです。いろいろ考えた結果、無くさないという事より、無くしてその先に進む、というのが僕が出した結論です。
だからこれからは、僕も皆さんと一緒に、流れていこうと思います。その先に。前へ。
たぶん今までみたいに、気軽に会えなくなるんだと思います。サーハビーに来れば会える、というお互いにとっての場所が無くなるので。
それを考えると、やっぱりとても寂しいです。
知らない人にも気軽に会えて、初めて会う人とも話ができる。お店の人とお客さまの関係って、人が出会うという意味では、ものすごく恵まれた特別な環境なんだなと、改めて思いました。
それともう1つ…。
ちょっと想像してみてください。
新しいビルが建ちました。新しいお店がオープンしました。
前はそこに、何があったか?
思い出せなくないですか…?
無くなったお店っていうのは、いろんな人の記憶からも無くなっていくんです。今までは当たり前にそこにあったから、特に意識はしていないんです。意識をしていないから思い出せない。そういうものなんだと思います。
サーハビーの事は絶対に忘れない! という人もいっぱい居てくれるだろうと信じてはいますが、大半の人にとっては、そんな普通のお店の1つに過ぎないんです。普通のお店でしたから。
だからきっと、多くの人の記憶から、CAFE サーハビーは無くなっていくんだと思います。
“サーハビーのケンケンさん” という存在も、いずれは過去の存在、過去の記憶になっていくんだと思います。
それが、無くなるお店の宿命なんでしょう…。
でも…、どこかの誰かが…、少しでも…、CAFE サーハビーの事を覚えていてくれたら…、僕はそれでイイんです。
とは言っても、永遠に会えなくなるわけではありません。これからは、皆さんのと会い方が変わるんだと思います。
一緒にお茶をしたり、ご飯を食べに行ったり、飲みに行ったり。いつでも誘ってください! 寂しいので…。
あと、お店があるうちに「ケンケンとLINE交換をしよう! 大会」も開催しようと思っています! 寂しいので…。
密かに、ご近所さんで昔からお世話になっている、ムジカホールカフェに入り浸ろうかなとも思ってます! 寂しいので…。
サーハビーの外で会うと、最初はヘンな感じがするかもしれませんが、これからは、昼でも夜でも夜中でも、いろんなお店に行ったり、いろんな場所に行ったりしたいなと思ってます。寂しいので…。
もちろん、仕事もバリバリがんばる所存です。
CAFE サーハビー、今後の予定。
9月末に退去するので、後片付けも考慮すると、最後の営業はたぶん9月20日前後になると思います。
ちょうどその頃に11周年を迎えるので、最終日には11周年パーティーとラストパーティーを同時開催して、盛大に締めくくりたいと思っているんですが、コロナの影響がいつまで続くかわからないので、未定です。
あえて何もせずに、普通に通常営業して終わるかもしれません。
まぁいずれにしても、その時の状況次第ですね。
ホントはカウントダウン的なイベントを、たたみかけるように開催しようと思っていたんですが、これも状況次第でしょう。
事務所物件を探したり、計画を練ったり、今後の準備もしないといけないので、これからだんだん忙しくなると思います。
9月の頭くらいには、事務所物件の契約をして、モノを運んだりする予定です。
1人用の狭い事務所を借りるので、サーハビーにあるモノは全部持ってはいけません。なのでフリーマーケットを開催しようと思っています!
フィギュアとかマンガとか、最終的には、マグカップとか食器とかソファーや什器、備品、全てを対象にしたフリーマーケットにします!
最初で最後の「サーハビー フリマ」です!
詳細が決まり次第、もろもろのSNSで告知をしますので、楽しみにしていてください。これはやります。早いもの勝ちです。
サーハビーのホームページは、そのまま残します。閉店バージョンにはすると思いますが。
facebookなどのSNSは、今のところアカウントをそのまま使っていく予定です。
オフィス・サーハビーとしては、ただいまご覧になっている、note (ノート)を当面のプラットホームにする予定です。これがなかなか面白いんですよ。僕の noteアカウントをフォローして頂ければ、今後の情報も皆さまにお知らせできると思います。
オフィス・サーハビーのホームページも、そのうち作ると思います。
やっと全てを、皆さんにお伝えできました…。
ここまでの文字数、約1万3千文字。
ビルの取り壊しが決まり、その直後にコロナ禍に突入、告知解禁になるまで何も言えない状況…。かなり、もどかしかったです…。
思っていた事、決めた事、余すところなく全部書きました! そりゃあ1万3千文字にもなりますって!
ホント、やっと全てを、皆さんにお伝えする事ができました…。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コロナの影響で、なかなか外出ができない状況が続くと思いますので、「ZOOM サーハビー」はしばらく開放する予定です。
ZOOMを使って、サーハビーの店内BGMをリアルタイムで共有しています。あと、リアルタイムの僕の映像も見れます。
アクセスは、CAFE サーハビーのホームページからどうぞ。
バーチャルですが、自宅に居ながら、サーハビーに行った気分になれると思います。
最後に…。
10年続いた CAFE サーハビー。
残り数か月。
最後にやっぱり、
もう一度、
「CAFE サーハビー」
この場所で、
皆さんに逢いたいです。
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