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【デタバ】自治体インタビューvol.2 福井県小浜市

当社が開発した作付け状況がひと目でわかる「ⅮETABA(デタバ)」について、お客様のインタビューを通して負担が大きい圃場の作付け調査にどのような変化が生まれたのかという声をお届けしていきます。

「DETABA(デタバ)」とは?
衛星データ で作付け調査を実現するモデルを開発し、 約8割上の高精度の作物分類判定が可能になりました。累積の衛星データ量が増えると、作付け推定モデルの精度は上昇していきます。
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作付け調査における課題とは?
農地で紙台帳の通り作付けがされているかどうかを調査する作付け調査。紙台帳をもとに調査を行い、広範囲に及び農地を1つずつ目視で確認。場合によっては数回足を運ぶことになり農地調査をし、また紙からパソコンにデータを入力することは大きな負担の大きさが課題となっている。

今回は福井県小浜市の産業部 農政課 農業振興・担い手育成グループ 主事・髙山久弥さんにお話をうかがいました。未来技術活用プロジェクトの採択をきっかけによりデタバを活用していただいております。

ー福井県の未来技術活用プロジェクト採択の経緯を教えてください。

(高山さん)昨年から小浜市でアクタバを使用させていただいたことでサグリさんとはお付き合いがありました。今年度、福井県でDX化を推進をするなかで、農政課では圃場の現地確認にかかる労力を省略化できないかという課題がありました。それを福井県が吸収し、サグリさんのデタバを活用して一緒にやらないかということで、事業が始まりました。

ーもともと作付けの現地確認にどのような苦労がありましたか。

(高山さん)一番負担が大きかったのは、夏頃に関係機関に職員の動員をいただいた上で、数日間にわたり市内全域の圃場を見て回ることですね。地図などの紙媒体を使いながら非常に長い時間、いろんな職員さんの時間を拘束することが大きな負担でした。もう一つは、書類が多かったため、データの処理に結構時間かかっていたことです。

ーなるほど。実際何人ぐらいでどれくらいの時間がかかっていたのでしょうか。

(高山さん)福井県農業協同組合と農業共済組合、嶺南振興局農業経営支援部の職員さんに協力をお願いして、農政課の職員1人と他の機関の方が1人ついてもらう4班体制で朝からずっと日中市内の圃場を回っているという状態で5日間かかっていました。月曜から金曜まで1週間丸ごと誰も手が離せず、会議も全員いなくなってしまって、普段の業務ができない状態です。

また夏以外にも、交付金の申請を目的として、季節ごとに麦や蕎麦、大豆などの作物を見回る必要があり、私と臨時職員さんで対応していました。交付金の申請がある農家さんは麦、蕎麦、大豆それぞれ10件ずつほどです。ただ大きい農業法人さんなどもいますので、1件の法人さんで10〜20の圃場がある場合もあり、すべて見に行くことになります。それも紙媒体を使って見回りをして、職員2人分の業務時間がかかってしまっていましたね。

ーデタバの活用についてどう感じられていますか。

(高山さん)高い精度で作物を判定できると、実際現場に赴かなくてもいいのではないかということは感じています。たとえば、実際に今までは100件見に行っていたところが、90件は高い精度で作物がわかるということになれば、残りの10件を見に行くというやり方ができます。それだけで9割の負担を削減できたと捉えることができると思っています。

ーデータで記録できるという点に関してはどのようなイメージをお持ちでしょうか。

(高山さん)基本的には見た結果を「水田台帳」というデータに落とし込み、県や国の提出様式に使っていくことになります。そのため、デタバで記録したデータを現在使用している「水田台帳」にうまく落とし込めるようになるといいなと感じます。現時点では、デタバのデータを「水田台帳」に手作業で入力する形なので、連携できるとすごく楽になるかなと思っています。

ただ、常にデータがデタバ上に記録されているというのはすごく助かることだと実感をしています。

ーもし実際に導入した場合、どれ程度の業務を削減できそうでしょうか。

(高山さん)高い精度で判定が出るようになれば、ほとんど行く必要がなくなるのではと思います。

ただ、国の制度では「システムで何%以上なら現地確認に行かなくてもいい」といった基準が全くない状況です。基準があってその数字を越えれば明確に現地確認に行かなくてよくなりますが、今のところは現実としてどう動いていくのかがわからない状況ですね。

個人的な感覚としては、ある程度高い精度であることがわかれば、現地確認をしなくともいいのではないかと思っております。

ー現状では国のルールとして現地確認をするようにと定められているのですか。

(高山さん)実際にその作物が作付されてるかどうかを私の農業再生協議会の方で確認することというような感じの書き方なので、確認の仕方については詳細に明記はされてないですね。その点に関しては国への働きかけが重要になるのかなと思います。

ただ、担当者が確認した実態とデタバのデータを照らし合わせて、合っているかどうかはわかりますので、たとえばこれまで3回見に行かなければならなかったところを少し回数減らすといったことはいまの段階でもできるのかなと思います。

ーデタバもしくは衛星データの活用について将来に期待することはありますか。

(高山さん)デタバの衛星からの地図が少し昔のデータで常に更新されているわけではないとお聞きしたので、たとえば1ヶ月ごとに更新されていて現況に沿ったものになると、判定精度の数字と、作物の色づき方や葉っぱの形などの経験則から組み合わせてさらに高い精度で作物の確認を行えるようなるのかなと思います。

ー自治体として利用を検討してみて感じていることはありますか。

(奥村さん)国の農林水産関係の市町職員はどんどん減らされています。地方自治体の予算も福祉などの分野に優先的にお金が回されて、農林水産分野は減らされていると思います。人材も予算も制限があるなかで、これまでのように現地確認をやっていくのはもうおそらく無理があるんですね。そうしたなかで、デタバのような技術で職員の作業量を減らせるというのは非常に役に立つと思います。

現在、国は「食料・農業・農村基本法」の見直し作業を行っていますが、日本で普段でも食べられない人が出てきている中で、食料安全保障の考え方を有事の際の限定的なものではなく、毎日の食生活に置く必要が出てきている中で、国内の農業生産は益々重要になってきています。現地確認業務などDX技術で減らせるものは減らして、もっと農業生産につながることに市町職員の力を費やして、日本全体の食糧生産を振興していくということが非常に重要です。

そのなかでもデタバは市町職員の業務負担の軽減につながる部分がたくさんあると思うので、今後に期待しています。

(高山さん)いま自分は農業再生協議会担当として水田農業全般に携わっていますが、国の方でもいろんな事業がどんどん出てきているなかで負担が増加しており、これまでの業務のやり方では明らかに間に合わなくなっています。

もし職員の業務のなかでも大きなコストがかかっている現地確認の労力を削ることができれば、それだけでも2〜3週間ほどの時間が空くということになります。他の事業にかける時間を増やすこともできるので、デタバをはじめとするDX化には期待していきたいと思っています。

そのためにも衛星からの画像が季節ごとに更新されていくなど、性能のブラッシュアップがあると私達としては頼もしく、期待感があると思っております。