【EDH】《第三の道のフェルドン/Feldon of the Third Path》
0.概要
本記事は《第三の道のフェルドン》を統率者としたEDHデッキについて記述してある。
しかし、所詮一個人が書いている者のため、筆者が全ての情報を把握しているとは限らない。抜け/漏れ等あると思うがご承知おき願いたい。コメント等でお教えいただけると幸いである。
また、今回は《第三の道のフェルドン》デッキの大まかな内容について記した内容となっているため、具体的な細かいカード評価のようなものは全てすっ飛ばし、一部カードを紹介する程度に留めている。
細かいカードについて逐一書くと紙幅がいくらあっても足りない(すでに10000文字以上ある)上に、ひたすら冗長になる だけなので割愛させていただいた。ご了承いただきたい。
1. 統率者の特徴
《第三の道のフェルドン》のテキストは以下の通り
Feldon of the Third Path / 第三の道のフェルドン (1)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) 工匠(Artificer)
(2)(赤),(T):あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とする。それの他のタイプに加えてアーティファクトであることを除き、それのコピーであるトークンを1体生成する。それは速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、それを生け贄に捧げる。
統率者2014に収録。《屑鉄の学者、ダレッティ》デッキにオマケとして収録されていた。何かよくわからないけど何度も再録されている。
↑ジャッジ報償、MOプロモを除いても4回再録されているおじさん。
赤単の統率者は非常に個性が強いものが多く、どれをデッキを組みたいと思えるような統率者ばかりだと個人的に思っているが、その中でも変わり種の1枚。(余談だが魅力の少ない色の組み合わせはいくつか存在し、そのせいで赤単が余計眩しく見えると思っている)
妻であるロランの死から立ち直れず、ロランに酷似した機械仕掛けのレプリカの製作を試みるも、結果納得できず破壊してしまうというストーリーを再現した疑似リアニメイト能力を持つ。
設置してから召喚酔いもした挙句、マナとタップまで要求するというやや重たいコストの能力以外何も持たないため初動の腰はやや重めだが、それに見合った能力であり、繰り返し起動することでアドバンテージに繋げることが可能である。
また、「追放」の2文字がテキストのどこにもないため同じクリーチャーを使いまわせること(死亡誘発もする)、インスタントで起動できることも相まって、仕込みが簡単ながら非常に対応力が高く、赤単とは思えない器用さを実現できる面白い統率者である。
2. デッキの基礎
統率者の起動型能力を生かす場合、墓地にクリーチャーを落とす⇒《第三の道のフェルドン》でコピーする という動きが基本になる。
墓地に落とすクリーチャーの選定ももちろん大事だが、まず墓地に落とさないと始まらないため、何らかの手段で墓地に落とすカードを使用する必要がある。
しかし、赤単は失ったアドバンテージを取り戻すことがさほど得意ではないことから、ただ手札を捨てているだけだと、アドバンテージを稼げる特定のクリーチャーを疑似リアニメイトしない限り手札をひたすら失い続け、《第三の道のフェルドン》が対処された瞬間詰んでしまう。これはデッキ構造上の欠陥と言い切れるため、構築段階で避けなければならない。
またサーチが得意ではなく、《サルカンの凱旋》《ゴブリンの女看守》のような特定のカードをサーチするカードが少しあるだけのため、常に手札に落としたいクリーチャーがいるとは限らない。
これら2つが相まった結果、手札を捨てるカードは落としたいカードがあるのに使えないのは避けたいため、ディスカード手段をなるべく大量に採用したいがただ手札を捨てるだけで終わるのはダメという状態になっている。
次に墓地に落とすクリーチャーの選定だが、こちらはよりシビアだ。
疑似リアニメイトして強いクリーチャーは無数にいる。というか重たいレアリティも高いクリーチャー≒強いなのは当然なため、何も考えずポイポイ入れるとマナカーブが恐ろしいことになる。
これを軽減するカードとして赤には《騙し討ち》の類こそあるものの、《荒廃鋼の巨像》のようなワンパン生物はデッキにまるで適合しないため、レガシーのように「発射すれば勝ち!」とはならない。使いきりの生物を出して盤面に生物を与えるものの、それで終わりということが多い。そのため使えば使うだけアドバンテージを失うカードだ。最終的に《第三の道のフェルドン》に極度に依存するコースまっしぐらだ。
しかもサーチは不可能なため《騙し討ち》に依存することはできない。そうなると引いた端から捨てるか出すしかない。捨てるカードもないなら手札にファッティが溜まり続ける。マナソースを引くためのドローも色的に乏しいし、土地サーチも得意ではない。
マナカーブの悪さが動きの悪さにつながりやすい典型的ダメケースだ。絶対に選んではいけない。
これら2点から、「《第三の道のフェルドン》で場にクリーチャーを出す」行為について、何かしらの意志を持って採用カードを厳選しない限りデブ&ディスカード手段満載タッチ相性のいいカードという構成となり、秒でリソースが枯れるという使ってる本人だけが苦しむゴミの束が完成する。繰り返しになるが《第三の道のフェルドン》を対処されただけで詰むデッキは避けるべきだ。
また統率者の特性を生かすために「《第三の道のフェルドン》で出したいような重たいクリーチャーをそれなりに採用すること」からランプチックな構成がなじみやすく、赤の大型生物には盤面のクリーチャー整理が得意なものが多いことから赤単統率者にはやや珍しいコントロールチックな重強い構成になりやすいのも特徴だ。
似たような統率者に《屑鉄の学者、ダレッティ》なんかもいるが、あちらはアーティファクト、こちらはクリーチャーと住み分けもできている。そういう意味でもやっぱり個性的である。
3. デッキ構成
《第三の道のフェルドン》のデッキの必要な形がわかったところで具体的な構築思想部分に入りたい。
まず構成の思考について記述する。その後、よく用いられるカードについて記述したい。
Sample(投稿時時点で使用しているレシピです)
https://www.moxfield.com/decks/ooIj2ocrukCR7BZb6Uvgcg
■基本
・カード選択の基準について
今更だが、統率者の起動型能力に仕込みが必要な上に速攻がないとラグる以上、統率者の能力を生かす構成なら速度は出ない。そして統率者の能力を生かさない構成にするなら違う統率者を選んだ方がよっぽどいい。
マナ加速のような唯一無二のカードを除いた細かいカード選択については「ゆったりとしたゲームプラン」に当てはまる
・後半でも腐らずプレイできる(《《終わりなき地図帳》など)
・ゲームを遅くする(《冒涜の行動》など)
・中盤以降単体で強い (《業火のタイタン》など)
というようなカード選びの基準をもって選べばまず問題は起きづらい。
・デッキの狙い
デッキの狙い=フィニッシュ手段について。
自分の構成を用いた体感で申し訳ないが、コンボ勝利が5割・バーン+ビート勝利が5割程度である。たまにビートダウンでも勝つがバーンが絡むことが多い。
なおどちらの勝利手段も非常に多くのマナやカードを要求するため、長いゲームを見据える必要がある。
赤単は《鏡割りのキキジキ》《欠片の双子》絡みの無限コンボは広く知られているが、それ以外が非常に乏しい。
《鏡割りのキキジキ》コンボもにマナコストも重たい2枚のコンボであり、インスタントによるバックアップもろくにない上に《鏡割りのキキジキ》の相方はサーチできないため積極的に狙うには値しない。やってて揃ったら《第三の道のフェルドン》の能力でバックアップして仕掛けるくらいでちょうどいいと思われる。
統率者絡みのコンボとして有名なものはこの2枚の組み合わせがある。
《強制的な勧誘者》が場にいる状態で宝物を3つ以上生成できる《波止場の潜入者》を《第三の道のフェルドン》で出し続けることによって無限トークンを生成できる。しかしこちらもサーチできない上にバックアップがないので積極的に狙う必要はない。
もっとも狙いやすく、そして最も失敗したときのリスクのないコンボが《ゴブリンの技師》《ゴブリンの溶接工》をブン回すコンボだ。
画像に上げ切れていないが、最後まで回すにはカードを6-7枚要求する。
一見コンボ成立枚数が多すぎて決まりにくいように見えるが、すべてのカードがサーチ可能である上に、《納墓》能力を持つ《ゴブリンの技師》のサーチ優先度がそもそも高いため見た目以上に成立する。
たとえ失敗しても他のコンボと違い、「何かしらのリソースを稼いだ上で挫折することがほとんど」+「インスタントタイミングのアクションであり相手ターンでも勝利できる」 の2点から非常に選びやすい。
動かし方としては
・戦場の《千年霊薬》のようなクリーチャーをアンタップできるアーティファクトをゴブリン達の効果で墓地に埋め込む
⇒埋めたアーティファクトを釣りあげる。これにより無理矢理クリーチャーをアンタップさせるカードをアンタップ状態にする。
⇒クリーチャーをアンタップさせる起動型能力を《ブライトハースの指輪》でコピーする
という動きを繰り返す。
アンタップさせるアーティファクトがもう1枚あればこの2枚を戦場と墓地をグルグルさせることで、アンタップアーティファクトを釣るためのクリーチャーのアンタップを2回、ただ起こすだけを2回得られるので、マナの続く限り《ゴブリンの溶接工》《ゴブリンの技師》《第三の道のフェルドン》を起動できてしまう。
大量のマナが必要だが、過程で《ゴブリンの技師》を墓地に送り《第三の道のフェルドン》でコピーして《玄武岩のモノリス》をサーチして場に出せばその時点で無限マナが完成し、無限に墓地のクリーチャーをコピーできる。色マナも釣り方の工夫で賄えてしまう。
こうなればライブラリー内のアーティファクトをすべて場に出せてしまうので勝利だ。
おぞましいほど手間がかかるし手順も難しいが、単体に弱いカードが1枚もなく、基本全てのカードが引いて嬉しいカード達のため無理なく組み込めるのが最大の利点である。
バーンでわかりやすい代表例としてはこの2枚だろう。
アンタップ効果を組み合わせて《第三の道のフェルドン》を複数回起動することでとんでもない打点が出る。本体の打点も併せて鋭角的に対戦相手が死ぬ。
一見ゴブリンコンボよりも手間がかかるし、相変わらずサーチもできないのでコンボでいいようにも見えるが、1枚で非常なるダメージが出るためコンボに行くより少ないマナ量+アンタップで勝利できる。中~終盤以降にそこそこライフの減った3人焼き殺すことも珍しくない。なんとなくグダった時に激しい打点で相手を焼き殺そう。
・ディスカード手段/コピーしたいクリーチャーの選定
先述の通り何らかの手段で墓地に落とすカードをそれなりの枚数使用する必要がある。しかし、赤単は失ったアドバンテージを取り戻すことがさほど得意ではない。
そのため、何かしらのリソースに変えられるディスカード手段が最も望ましい。
この2点から手札を失わずにカードを墓地に送れる《苦しめる声》の類のカードの価値は驚くほど高く、カードパワーが担保されていると評価できるなら枠が許す限り無限に採用したい。
変な注釈が付くのは手札を減らしてまでやることや、作為性のないカードについて筆者としては疑問を持っているからである。例えば《信仰無き物あさり》クラスならフラッシュバック込でカードパワーが担保されているため喜んで使うが《信仰無き回収》のような手札が減ること確定の呪文、《ゴブリンの知識》のようなランダムディスカード、《かき回すゴブリン》のような召喚酔い生物の点数は必然他候補より評価が落ちる。流石にデッキの枠は無限ではないため最低限取捨選択はして採用したい。
また、《ゴブリンの技師》により狙ったアーティファクトクリーチャーを《納墓》できる。いろんな手段でサーチ可能な生物であり、アーティファクトクリーチャーだけは狙って墓地に落としやすい。
大型クリーチャーの選定についてだが、具体的にどのようなクリーチャーを採用するかというと
・リソースが獲得しやすい(《原初の嵐、エターリ》、《真面目な身代わり》など)
・盤面の脅威を取り除くのに長ける(《隕石ゴーレム》、《炎の大口、ドラクセス》など)
・インスタントで出すことによってより威力を発揮する(《士気溢れる徴集兵》など)
の3点で筆者は基本的に評価を決めている。攻撃時誘発系やタップ能力は速攻が付与される特性上無視して評価していい。
加えてアーティファクトクリーチャーを墓地に落とすのだけは簡単なこと、《ゴブリンの溶接工》で再利用も容易であり使いまわしをすることもできることから加算点として評価してよい。
また、《第三の道のフェルドン》に既にマナを払っている以上追加のマナがかからないことも大切だ。
それとリソースの獲得できないカードについて役割が被っているカードを何種類も採用しないようにした方がよい。
話をわかりやすくるために極端な例を用いて説明する。
・《暴君の使い魔》と《隕石ゴーレム》が墓地にいた場合、除去という観点だけならほぼすべてのタイミングで裏目の無い《隕石ゴーレム》が優先されるだろう。結果《暴君の使い魔》はただ意味のないカードとして墓地に置かれ続けることになる。
・「火力をバラまいて範囲除去するクリーチャーを10枚」という構成にしてしまうと、相手のクリーチャーが出なかったときに墓地に何もない状態となり、結果「毎ターン《災火のドラゴン》で誰かに6点パンチ」という行動になってしまいがちである。これは統率者の起動型能力を使用する価値も低く非常によくない。
上記2例は両方とも墓地のクリーチャーカードに幅がないためプレイを弱くしている。
結果、特化するより「範囲除去、単体除去、インスタントで強いカードを3枚ずつ」といったように役割の違うカードをちょっとずつ入れたほうが《第三の道のフェルドン》の起動型能力に幅が生まれ、裏目のある状況も少なくなる。ここまで特に記述しなかったが、《焼却の機械巨人》のような「墓地を肥やして喜ぶ」のような明確な利点を産む役割を持てないクリーチャーは論外である。どうせ釣ることはないのでただ枠の無駄である。
■オススメカード
他デッキではあまり見ない、もしくは他デッキより明らかに強く使えるようなカードをいくつか紹介する。
今更だが今回は筆者の持っているデッキの解説記事等では全くないため、先ほどのサンプルに入っていたり入っていなかったりする。
・《ゴブリンの溶接工》《ゴブリンの技師》
再三触れてきたカードだが、終わってる強さである。
《第三の道のフェルドン》が作成したコピーはアーティファクトを得るため、起動のためのコストが書いていないようなものであり、起動コストもやたらと安く、簡単にアドバンテージを稼ぎ続ける。
また、使用感はまるで変ってしまうが墓地に落ちても強いのが他デッキと一線を画す。《第三の道のフェルドン》の起動型能力によりアーティファクト属性を得た状態でコピーされて場に戻るため、前者はタップで墓地のアーティファクトを場に戻す、後者はライブラリーの好きな3マナ以下のアーティファクトを場に出すという効果に変わってしまう。
本記事執筆時点(2022/01末)では未発売である都合上使用感が不明なため本項目のカードに含められないが、『神河:輝ける世界』に収録される《屑鉄の溶接者》も、他2枚より評価こそ落ちるものの役割は同じであるため、活躍が非常に期待されている。
上記2種ゴブリンもだが、部族ゴブリンなことは非常に素晴らしく、赤単で最もサーチがしやすいカード群。悪用しやすいサーチの容易なカードということで終わってる強さが加速している恐るべきカード群。
・《隕石ゴーレム》《生きている業火》
除去能力内蔵クリーチャーからあまり見ない2枚を。
先述のゴブリン達の影響で《隕石ゴーレム》の価値は非常に高い。《第三の道のフェルドン》だけでなくゴブリン達で《隕石ゴーレム》をグルグルできるため、パーマネント破壊能力を1ターンに何度も使えてしまう。
また赤の苦手なエンチャントもインスタントタイミングで対処できるため、そういう点でも評価できる。
《生きている業火》は通常の使い方では「重い」「召喚酔いする」「使いきり」とゴミ評価要素が揃っているが、《第三の道のフェルドン》経由で起動する場合すべての不満要素を無視して火力効果のみを得られる。
ダメージ効率も非常によく、割り振り効果のため柔軟性も高い。何より統率者を巻き込まない優等生である。ただしルールが非常に変わっているため注意。事前に調べること。
・《心爪のシャーマン》《トーモッドの墓所の番人》
戦場以外の領域に干渉できるクリーチャー。
《心爪のシャーマン》は範囲が狭いとはいえ手札に干渉できる非常に珍しいクリーチャー。赤単で採用できるハンデス内蔵クリーチャーは他に《難題の予見者》くらいしかいない。どちらもコンボを未然に防げるカードのためオススメである。余談だが《難題の予見者》はハンデスとドローを与える対象が独立しているので、ハンデスした相手から異常に怒りを買うので注意。
《トーモッドの墓所の番人》は墓地干渉。《ゴブリンの技師》の効果の対象両方に入っているクリーチャーは他にいないため高評価を与えられている。
・《教術師の石》《操り人形のヒモ》
クリーチャーをアンタップするカード。見たまんまである。
各種ゴブリンすらアンタップできるせいで《千年霊薬》では全然足りないので追加してよい。
《ゴブリンの技師》の都合上、3マナ以下のアーティファクトというだけで手放しに評価できる。
・《呪われた鏡》《彫り込み鋼》
コピーカード。両方とも《ゴブリンの技師》のおかげで強さが成層圏を突破する。
前者は1ターンのみのクローンだが、相手のクリーチャーもコピーできるため非常に使い勝手がいい。なおコピーするとアーティファクトを失うためコピーして使いまわしということができない欠点があるが、それでも強い。
《彫り込み鋼》だが、《第三の道のフェルドン》でコピーされたクリーチャーはアーティファクトを得ているため、「ターン終了時に生贄に捧げられる」能力と「速攻」を除き、そのクリーチャーのコピーになることができる。アーティファクトであることはコピー可能な値なので、こちらは使いまわせる。
・《憤怒》《ハンウィアーの要塞》
赤の特権。重たい攻撃時能力持ちクリーチャーも多いので、速攻は大事です。
・非オススメカード
・《Wheel of Fortune》系
各所で赤単オススメカードとしてよく紹介されるカードだし、一見手札を捨てることができ相性がいいように見えるが、個人的にはこの統率者で使うのは全くオススメできない。
赤単故リソースの補給が不器用なこと、除去生物で盤面クリーチャーの整地をリソースを使わず行うことができるデッキの特性の2つから、ある程度互いに消耗することが予測される。
つまるところ、自分のリソース補給のために、相手のリソースも補給させてしまうことになりやすいのである。そしてこちらのデッキは《煮えたぎる歌》のようなリソースを吐く代わりにスピードを上げるカードを重要視しないことから補給したリソースを吐くスピードに自信もない。
この手の手札リセットは自身を含む1-2人だけが恩恵を受けるタイミングで使うのが最も裏目が少ないのだが、上記2つの理由からこのデッキでその条件を満たすのは難しく、結果永久に手札で腐る。
大量ドローの魅力はとてもわかるし、赤単のリソース補給は大変なのが一般説だが、《Wheel of Fortune》に頼らず《第三の道のフェルドン》でリソースを補給する方法を考えるか、《苦しめる声》を増やす方が賢明である。
4. プレイについて
前項で「ゆったりとしたゲームプラン」と記述したが、大まかな流れとしては
・序盤はマナを伸ばしながら《苦しめる声》や《ゴブリンの技師》を用いて墓地にクリーチャーを埋める。
・中盤以降にリソース補給や盤面の整地を行い、やり過ごす。
・終盤にフィニッシュする
という流れのイメージでよい。
このデッキの難しい点は
・《第三の道のフェルドン》の起動型能力で何を釣るか
・《第三の道のフェルドン》をいつ起動するか
・《ゴブリンの技師》で何を《納墓》するか
の3点。
それ以外は「いらないそうなカードを捨てる」「強そうなカードをサーチする」「なるべく損をしないようにする」「やりたいことをやる」といった感じである。
すごい投げやりな方針が書いてあるが、赤単という特性上インスタントタイミング妨害だったり相手の非クリーチャーコンボを止める能力は苦手を極める。
そして速度が出ない都合上相手に時間を与えるため相手のコンボが成立してしまうことが少なくない。
ならいっそ図々しく行ったほうがよい。死ぬときは死ぬときである。
・《第三の道のフェルドン》の起動型能力で何を釣るか
大まかな基準として、当たり前と言われそうだが
・平らな場ならアドバンテージを取れるカード
・脅威があるorマナクリがいるなら除去
・ライフを詰められるなら高打点生物
である。
アドバンテージを取るカードは先ほども出てきたが《原初の嵐、エターリ》や《真面目な身代わり》、《ゴブリンの技師》が単体性能も高くとても扱いやすい。《帝国の徴募兵》などのサーチクリーチャーで状況に応じたカードを手札に加えるのも面白い。
この中では特に《真面目な身代わり》は《ゴブリンの技師》でサーチ可能であり、マナと手札の拡充を同時に出来てしまうため他のカードと一線を画す。
《真面目な身代わり》を出せば出すだけ手数が増えるし、《かごの中の太陽》のような基本土地土地の枚数と相性のいいカードを利用し、さらに得たリソースを拡充できる。
その中でも特に《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》は相性がよく、《真面目な身代わり》が除去カードになってしまう。アドバンテージを取るカードが除去まで兼ねてしまうと当たり前だがゲームが壊れる。ゴブリンサーチが全て《真面目な身代わり》になるため多量に搭載すれば再現性があり、デッキを寄せる価値すらある。非常にオススメである。
除去だけは特殊で、ソーサリーかインスタントか、範囲除去か単体除去かで選択肢が変わる。またソーサリータイミングなら打点の入る《業火のタイタン》や《炎の大口、ドラクセス》がベターだが、当然インスタントではダメなので《隕石ゴーレム》や《生きている業火》などを選ぶ。
墓地に全部落ちているとかそんな都合いいことはありえないので、墓地に落ちているクリーチャーで判断すればよい。
打点を出して詰めたい時はある程度ゲームが進んだ後のため、流石に何かしらいるだろう。10点くらいなら簡単に出せるクリーチャーがそれなりに入っているためなんでもいい。
・《第三の道のフェルドン》をいつ起動するか
何を釣るかどうかの話と大きく被るが、基本的には墓地のカードで判断する。
攻撃が必要ならソーサリータイミング、不要ならすべてインスタントタイミングに回せばいい。
もちろんTPOであり、インスタントで起動することが肯定されるクリーチャーしか墓地にいないのにソーサリーで起動したほうがいい場合も多く存在する。
例えば《連鎖反応》の打点を上げたい場合や、場に既にある攻撃でダメージを与えるカードとの組み合わせで火力を増幅する場合などはソーサリータイミングで起動する。
・《ゴブリンの技師》で何を《納墓》するか
デッキ内のゴブリンサーチカードは基本的にこのクリーチャーのためにあり、サンプルデッキに入っていないゴブリンサーチを採用することすら肯定される(余ったら《ゴブリンの溶接工》をサーチすればよい+《苦しめる声》で捨てればいい)。そのため、《ゴブリンの技師》の誘発型能力の対象はデッキ構築時点で非常に重要なウェイトを占める。
TPOではあるが、落とす順序は、基本的に釣りたいクリーチャー⇒釣って便利なカードの順。
釣りたいクリーチャーは先述の理由から《真面目な身代わり》を落とすことが最も多い。次点は《隕石ゴーレム》や《鋼のヘルカイト》といった除去クリーチャーを落とすことが多い。
釣って便利なカードの筆頭はクリーチャーをアンタップするカードである(特に《千年霊薬》)。次点はクローンカード(特に《呪われた鏡》)。
ところでゴブリンサーチでサーチ優先度の高い《ゴブリンの技師》で落としたいカードについて、段階を分けた上に複数枚同役割の存在するカード群を列挙しているが、上述した通り《ゴブリンの技師》が死亡した後に《第三の道のフェルドン》で釣ることで複数回使えてしまうからである。
非常に今更だが《ゴブリンの技師》のリアニメイト能力の対象になるか否かという点で3マナ以下のアーティファクト/4マナ以上のアーティファクトの価値の隔たりは大きい。
なお《ゴブリンの溶接工》さえいれば何マナでも釣れてしまう。
5. 小テク
ここでは実用性があり、知っていると強く使えるものを一部紹介する。
《ゴブリンの溶接工》の起動型能力は相手のパーマネントにも起動できる(ただし対象のパーマネントを持つプレイヤーの墓地にアーティファクトがあることが必要)。
そのため、《液鋼の首飾り》で相手のパーマネントをアーティファクトにすることで非アーティファクトすら除去できる。
なお自分のパーマネントに使って墓地に落とすことも可能。
統率者の能力を自分の直前のターンプレイヤーの終了ステップに起動すると、自分のターンの終了ステップにクリーチャーの生贄が発生する。そのため起動した回数分だけ自分のターンに使えるクリーチャーが増える。
しかし、死亡誘発を使用したい場合は終了ステップ前に起動する必要がある。その場合はもちろん自分の場にクリーチャーは残らない。
自分ターンに使用できるリソース量の選択である。どちらが必要かを判断して決めればいい。
《苦しめる声》系インスタント・ソーサリーは基本的に追加コストで手札を捨てるため、優先権を渡さずに《第三の道のフェルドン》を起動することによって墓地にクリーチャーがなくても奇襲的に起動できる。特にインスタントである場合は奇襲性がさらに上がるため価値が高い。
ただし《信仰無き回収》《疾走+爆走》のみ効果でディスカードする。気を付けたい。
被覆に注意。装備クリーチャーがアンタップ系カードでアンタップできなくなってしまう。0マナで装備できる点が他と差別できる点なのだが、付けたが最後インスタントの複数回起動が不可能になる。
なお他候補は《ブーツ・オヴ・スピード》《ヴァルカスの指輪》《水晶の靴》。この中では《ブーツ・オヴ・スピード》が最有力。
6. まとめ
《第三の道のフェルドン》は、赤単とは思えない動きをする統率者であり、パーマネントを激しく入れ替えて滅茶苦茶できる統率者である。
またインスタントタイミングで非常に大きい動きをできる都合上大変に器用であり、カード同士の組み合わせの妙や物の器用さを楽しめる人に向いていると思っている。
・最後に《第三の道のフェルドン》をプレイしたことがないが興味を持った人に対して
いきなり金銭的な話で申し訳ないが、サンプルレシピには高額カードがいくつか入っている。しかし実際は大半が不要であり、とても手を出しやすい統率者だと思っている。
具体的には《厳かなモノリス》《魔力の櫃》はあれば便利だがまるで必須ではなく、《魔力の墓所》はおろかコンボパーツとなっていた《波止場の恐喝者》さえ別に必須ではない。《偏向はたき》だけは統率者を護れること、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》は赤コントロールのたしなみとして欲しいが、マナベースの大半は妥協していい。
クリーチャーについても、調べればいろいろなクリーチャーが出てくる。だいたい安価である。いろいろ入れ替えて試してみて欲しい。
ものすごい今更だが、この統率者はレベル5-6程度に収まると思っている。カジュアルで安価な統率者の選択肢として興味を持っていただけたら幸いである。
願わくば《第三の道のフェルドン》でコピーして強いクリーチャーを筆者に教示していただける方の登場がありますように。
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