又吉直樹さんに対する疑問

私は又吉が好き。あなたの本を読むと、苦しくなる。でも読み終わるころには、日々の生活ですり減らされた私の心のHPが少し回復している。全回復はしないし、読みながらHPが削られることもあるが、結局本を閉じると少し回復している。何度この魔法に助けてもらっただろう。
ありがとうございます。

でも、あなたの本には一つだけ決定的な違和感があります。共感できない、理解できないわけではありません。読み進めていると、当然出会うと思っていたあるシーンがないのです。それは、性的描写。読者へのサービスのために描かれた性的描写や必要以上に細かいその描写に少しだけうんざりすることはありますが、性的描写がなくて違和感を抱いたのはあなたが初めてです。

そこにはなんらかの理由があるのでしょう。その真相を探ろうとするのは野暮だと思いますが、読みながらどうしてもあなたの顔がちらついてしまいます。会ったこともない、画面に映るまるでイエスキリストのような風貌のあなたの性格を考えて、その理由を考えてしまいます。私が未熟であるがゆえに、本来不必要であるはずのその作業を追加してしまい、その結果否応なく読書の世界から引きずり出されそうになります。しかし、あなたが作り出した世界に、あなたの痕跡を発見するのは当然ですので、それはひとえに私の実力不足が原因です。

もしかすると、あなたの世界に深く入り込んで迷ってしまわないように、途中に帰還ポイントを設置してくれているのかしら。そうだとしたら、残念ながら、それはもう手遅れです。私は今、その世界を彷徨っています。この世界では、かわいい女の子に出会っても性欲が湧きません。湧いているのに感じ取れないのか、はたまたみんな隠しているだけなのか。本当のことは分かりません。性欲がないから純愛が育まれるわけでもなさそうです。神様がきれいに隠してしまわれたせいで、逆にみんなそれが気になって、何か物足りなさを感じています。

偶然ネットにつながっているパソコンを見つけたので、この文章を書いています。これがあなたに届いたとき、脱出できることを願って。



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