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今季ブンデスのここまでのトレンド

20/21季のブンデスリーガは、13節を終えて、短いウィンターブレイクに入った。
今季ここまでのブンデスリーガでは、どのような傾向が見られたのだろうか?

ホームアドバンデージの消滅

今季ブンデスでは13節を終えて、ホームチームが勝利したのは117試合のうち、わずか37試合のみ(31.6%)。
ブンデスリーガ史上、この時期においては過去最低の数字となっている。
すでに昨季ブンデスでは、ホームチームの勝率においてワースト記録が打ち立てられており、昨季の306試合のうち、ホームチームが勝利したのはわずか123試合だった(40.2%)。
 
無観客試合によってファンからのサポートがない(あるいは観客動員の制限によって大幅に減少していた)点もホームアドバンテージが消滅した要因の1つではある。
だが、この傾向はすでにコロナ危機になるよりもずっと前から始まっていたことだった。
歴史を振り返ってみると、1970年代にはホームチームの勝率は57%だった。
1980年代に入ってもまだ54%で、1990年代に入ると47%~45%の間で横ばいで推移していた。
そして、16/17季には49%だったホームチームの勝率は、現在では31.6%にまで減少している。

今季はすでに2つの節(第4節と第8節)で、ホームチームの勝利が1つもなかった。
ブンデスリーガの歴史の中で、その節でホームチームの勝利が1つもなかったのは、過去4回しかない。
しかも、そのうちの1回は、昨季の第6節のことである。
1シーズン内で2回もあったのはブンデス史上初めてのことだ。

ゴール前での効率性

現在のブンデスリーガの各クラブは攻撃において、少ないチャンスで多くのゴールを記録している。
なぜなら、13節を終えての総シュート数はわずか2873本だからだ。
それにもかかわらず、今季はここまで369ゴール(1試合平均3.15ゴール)が生まれている。
昨季の同時期の記録(13節終了時で385ゴール)には及ばなかったが、ブンデスリーガは3季連続で1試合平均ゴール数が3ゴールを超えている。
 
データ収集が始まった1992/93季以降、ブンデスリーガでは13節終了時でこれほど少ないシュート数で、これほど多くのゴールが生まれたことはなかった(1ゴールあたりの平均シュート数はわずか7.79本)。

エリア外からのシュートの減少

今季、ブンデスリーガの各クラブがペナルティエリア外からシュートを狙うことはほとんどない。
13節を終えて、総シュート数の65%が(2873本中1875本)、エリア内からのシュートだった。
これはデータ収集が始まった1992/93季以降では最も高い数値だ。
 
さらに、ここまでの全ゴールの90%(369ゴール中331ゴール)が、ペナルティエリア内からのものであり、これはデータ収集が始まった1992/93季以降では2番目に高い数値である(15/16季は、13試合終了時で、全ゴールの91%がペナルティエリア内からのものだった)。
 
現在、ブンデス得点ランキングで上位を占めるレバンドフスキ、ホーラン、アンドレ シウバ、ベホーストは、全員が典型的なペナルティエリア内で強さを発揮するストライカーである。

PKの増加

今季ブンデスではここまで49回のPKがあり、13節終了時ではブンデス史上最多の数となっている。
そして、第7節でボルフスブルクのベホーストがPKを失敗するまで、ブンデスリーガでは昨季から続けて35本のPKが連続成功となっていた。これはブンデス新記録である。
 
また、今季ブンデスではPKから43ゴールが生まれており、これもブンデス史上最多だ。
他にも、マインツはブンデスにおいて29本連続でPKを成功させており、現在もブンデス記録を更新し続けている。
 
今季の第7節には、この節だけで10本のPKがあった。
ブンデスリーガの歴史上、1つの節でこれよりも多くのPKがあったのは過去1回のみだ(1971/72季の第12節で12本)。

ファウル数の少なさ

何年も前から続いている歓迎すべき傾向は、今季も継続している。
13節を終えて、総ファウル数はわずか2805回だった。
データ収集が始まった1992/93季以降、13節終了時点で、総ファウル数が3000回を下回ったのは3回目のことだ。過去2回は直近の2季(18/19季と19/20季)だ。

監督による5人交代枠の活用 → 途中出場の選手による得点数の増加 

ブンデスリーガの各チームは、コロナ危機による中断後に増やされた5人代役枠をうまく活用している。
今季ブンデスではここまで946回の選手交代が行われ、1チーム・1試合あたり平均4回弱の選手交代が行われた。
その結果、7節終了時ですでに431人の選手が起用された。論理的には、この時点ではかつてないほどの数の選手が起用されたことになる。
 
もちろん交代枠の多さは、“途中出場の選手による得点数(ジョーカーゴール)”の増加にもつながる。
今季ブンデスではすでにジョーカーゴールが52ゴール生まれている。
ブンデスリーガ史上、同時期で今季を上回っていたのは、18/19季(13節終了時で65ゴール)と16/17季(13節終了時で56ゴール)だけだ。
 
フライブルクのペーターゼンは今季も途中出場から2ゴールを記録しており、途中出場からの得点数においてブンデスレコードを更新し続けている(途中出場から通算27ゴール)。

安定感のあるGK

バイエルンのノイアーが、FIFA年間最優秀GKに選出されたことは、他のブンデスリーガのGKたちにも影響を与えているようだ。
13節を終えて、ブンデスリーガのGKたちが犯した失点に直結するミスはわずか10回だった(つまり1試合に1回もなかった)。これはデータ収集が始まった1992/93季以降では2番目に低い数字だ。
 
さらに注目すべきは、失点に直結した10回のミスは、10人の異なるGKに分散していたことである。
つまり、今季は1人のGKも1回以上の失点に直結するミスを犯していない。
これは、ヨーロッパ全体で見てもワールドクラスだ。
 

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