ハズビンホテルの感想

とりあえず一周したので思いの丈をぶちまけたい。めちゃくちゃいい作品なので全世界の人に見てもらって語り合いたい。ちなみに私の性格の悪さがかなり際立つ感想を書こうとしているので、性格の悪い人や意見が苦手な人、傷つきやすい人に怒りっぽい人は帰ってほしい。

前提どんな話かというと、キラキラ陽キャ女子が地獄を舞台に「地獄だってもっと良い生活があるはず!みんなにだって良心があるはず!セカンドチャンスは必要よ!贖罪の後に良い世界が作れるはずだわ!!!」と悪戦苦闘する話だ。めちゃくちゃ暴力的でいい。そのままの地獄が心地いい人・そこでしか暮らせない人をまったく考えていない。皮肉ではなく、そういう力こそが世界を変えるのだから「いい」のだ。彼女はある種の必要悪でもあるし、一方で地獄を舞台とした聖女ジャンヌダルクの快進撃のような物語にも取れる。頼れる仲間はみんな目が死んでいるので別物だけれど。

わたしはこれから大好きな彼女・主人公チャーリーが奮闘の後、地獄の改善が進み、その影響で出てくる問題に直面して困る姿を見るのが楽しみでならない。例えば、作中でも示唆されていたが天使たちによる虐殺や地獄から天国への行き方の想定がないというのも、何かしら意味があるだろう。世界の均衡とか、調和と言うやつだ。地獄が地獄として天国が天国として機能し始まったことには理由が必ずあるはずで、その決まりを破るということはつまり新しいルールとそれを維持する力が必要になる。例えば、地獄から良心のある者が減っていった場合に地獄の煮詰まり具合は酷くなっていくだろう。その結果自滅していくならまだしも、平和な世界への浸食・戦争になる危険性もあるだろう。例えば「あの頃の地獄の方が寛容でよかった」のような意見もあるだろう。お前が壊したんだと、生きやすかった世界をお前は壊して新しい世界に連れてきた。しかしこれは幸せなのか?と問われることもあるだろう。チャーリーがどんな答えをだすのかが楽しみでならない。意地悪で言っている訳ではない。いや意地悪で言っている部分もある。大いに。でも純粋に現代のわたしたちが向かい合わなければならない問題でもあって、それに答えをだすのは容易じゃない。だから創作の世界で、もっと酷い(だろう)地獄の世界を変えようとする彼女がどうしていくのかが気になってしかたがない。できるだけボロボロになって、それでも立ち上がって、歌い踊りながら彼女の暴力的な正義の着地点を美しく見せて欲しい。彼女の歩む過程がすでに美しいのだから、虚淵監督作品のような終わりでも私は満足だ。あんなうまくいかないよね、とか。ほら見たことか、とか。彼女を笑いながら小さな闘志のようなものを少しの時間また取り戻したい。ですね。

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