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喫茶店卵 投稿日: 2011年9月3日

  消え去る運命の過去の「よみもの」を暇に任せてアーカイブしていきます。


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昔、小さな街の喫茶店でアルバイトをしました。
モーニングを食べに来る客用の調理補助スタッフでした。
毎朝、パジャマ替わりの赤いジャージを颯爽と着こなし出勤していました。
モーニングは「A」がスクランブルで「B」が目玉焼きで「C」がゆで卵でした。
新人の私、出勤しての最初の仕事は「C」に付けるゆで卵作りです。
一抱えもある鍋で卵を5〜10パック(奥さんが「今日は雨だから6パックね」とか指定をしました)を一度に茹で、水にさらしながら殻をむきます。
半熟の卵の方がうまかろうと早目早目を心掛けてました。
職場の先輩に女の人がいました。5つ下の高校生でした。
最初はこいつは喫茶店の経営者夫婦の娘なんだろうと何の話もしませんでした。
夜、カラオケ屋でたまたまその彼女と遭遇しました。
「何故、いつも赤いジャージなんですか?」
「あ〜あれパジャマなんやわ」
「ありえませんよ〜」をきっかけに話をする様になりました。
経営者夫婦の娘でも身内でもない事や常連のバアさんから「最近ゆで卵が柔らかい」とクレームがきた事をその時聞きました。
数日後、卵を茹でてました。彼女がやって来て「替わりにあの人の注文を聞いて欲しい」と言いに来ました。
そのジジイがちょいちょい尻をさわるらしく、それが嫌だとの事。
「よっしゃ」と替わりに水を持ってジジイに近づきました。
たいていの客は座る席も注文も決まっており、スポーツ新聞やらを読みながら「A」とか「B」とボソッと言います。
その助平ジジイのスタンダードは一番奥で「C」指定のはずです。
「ご注文は?」と聞いた私にジジイは最初ビックリしてました。
やがて
「なぜジャージなんだ、しかも赤」「威圧的すぎて店の雰囲気に合わない」等の私批判を始めました。
「注文もお前なんかに言う程、俺は落ちぶれてない」に我慢ならなくなった私は「うっさいジジイ!女のケツ触ってお前アホやろ!二度と来るな!」と言いました。
で喫茶店をクビになりました。
その助平ジジイは奥さんの父親だったと後から彼女に教えてもらいました。彼女も店を辞めてました。
その月のバイト代12000円は貰いに行ってません。

カテゴリー:グルメ

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