2019 第23節 : 湘南ベルマーレ VS サガン鳥栖
2019シーズン第23節、湘南ベルマーレ戦のレビューです。
■ システム
--------------
■ 試合
曺貴裁監督のパワハラ問題で揺れる湘南ベルマーレとの対戦。移籍マーケット締め切り最終週に、名古屋グランパスの金井のサガン鳥栖への期限付き移籍が発表されました。金井は2014年以来のサガン鳥栖復帰となり、早速左サイドバックでスタメン起用となりました。引退試合まであと2試合というところだったトーレスは、累積警告の影響かはたまた水曜日の天皇杯出場によるターンオーバーか、スタメンから外れて金崎がスタメン復帰となりました。右サイドバックは小林が外れ、原がスタメン復帰となっています。夏場の連戦を、上手にターンオーバーしている印象です。
前半開始早々、金森、金井という、新加入の選手がそれぞれの持ち味を見せてくれました。
金森は、攻撃参画していた杉岡、大野の背後のスペースをついて走りこみ秀人からのフィードを受け、前線にドリブルでボールを運んで攻撃の起点となります。アタッキングサードでのボール保持の後に、鳥栖のひとつの形である右サイドのヨンウに展開。その隙に、左サイドの大外から金井がゴール前に飛び出しを見せ、原川からの浮き球のパスを引き出します。
実は、開始1分も経たないこの時点で「なぜそこに金井」という自己紹介は既に完結しておりましたが、みなさんお気づきだったでしょうか?(笑)
■ 金井加入の効果
「なぜそこに」というのは、通常では考えられないポジショニングだからそう言われるのであって、彼個人にとっては「当然の動き」なのかもしれません。スペースを見つけると積極的に前線に飛び出していくのは、彼の持ち味でもあり、思い切りの良さであり、いわゆる個人の資質の下で備えられたプレイスタイルになります。
三丸が左サイドバックで出場したときは、
「ハーフスペース前方クエンカ、ハーフスペース後方原川、アウトサイド三丸」
という配置が鳥栖の基本スタイル。それは、三丸の武器である左足からのクロスを生かすためのシステムでもあり、中央でボールを保持して相手を引き寄せ、最後は大外から三丸がクロスを上げてゴール前にはトーレス、豊田というのがひとつの攻撃パターンでした。
それが金井に代わって、このポジショニングに変化が生まれます。金井の持ち味であるスペースを見つけて入り込むランニング。これをサガン鳥栖に来ても臆することなく序盤から積極的に披露しており、周りも金井の動きに呼応して、4分には、クエンカ、金井、原川が、ハーフスペース前方、ハーフスペース後方、アウトサイドのポジションを目まぐるしくチェンジする動きを見せていました。サガン鳥栖の成長がみられるのは、左サイドにおける「ハーフスペース前方、ハーフスペース後方、アウトサイド」というポジショニングが選手たちの頭の中に入っていて、選手が別の場所に移動しても他の選手との連動でしっかりとそのトライアングルが確保されていたところです。
また、金井が最終ラインにいることよって、かならずアウトサイドにポジションをとるのではなく、例えば、これまでは、右サイドバック+両センターバックでボール保持し、三丸はアウトサイドに張らせるという攻撃から、金井+両センターバックでボール保持して、右サイドの原を押し上げるという形を作り上げることもできました。最終ラインのボール保持の形にバリエーションが生まれたことになります。
攻撃で必要なのは意外性です。本来そこにいるはずではないポジションの選手が入ってくると、守備側に誰がマークにつくのかという問題を突き付けることができます。守備側にとっては、相手が動くというのは「ついていく」「受け渡す」の選択をしなければなりません。
ただし、ポジションチェンジは攻撃側も簡単ではなくて、選手が動いたら、空いたスペースに流動的に(時間をかけず)新たな選手が適切なポジションをとらなければなりません。そうしないと、それぞれが勝手な動きを見せると、ボールを循環する先が行方不明となってしまって、動くのは良いけど誰がどこにいるのかわからないという状況を生んでしまいます。
川崎やC大阪はポジションチェンジを効果的に活用し、誰かが動くと誰かが入ってきて、そして選手たちの意思疎通がしっかりと取れている流動的な攻撃を見せる印象です。逆に、大きくポジションを変えずに、配置に基づいた選手のストロングを生かして攻撃を組み立てるというのもひとつの策あり、FC東京や、鹿島は、自分たちの配置をしっかりと保ちながら、その中でボールを循環する攻撃を行っています。
前述の例で行くと、金井を生かすためには流動的なポジショニングで相手を攻略する攻撃戦術で、三丸を生かすためには、配置をしっかりと保って最後は彼のストロングを使うという攻撃戦術になります。三丸がハーフスペースに入って相手を引き付けてパスを送り込むというよりは、彼の左足をクロスとして生かしたいですよね。
金井のストロングポイントはクロスではないため、アウトサイドで張っておくというよりは、外から中に入ってきてアタッキングサードでのつなぎや、ゴール前への飛び出しで相手をかく乱する動きの方がより彼を生かせるでしょう。実際、この湘南戦では、金井は2本のクロスしか上げておりません。三丸の印象と比べるとやっぱりクロスは少ないですよね。
その反面、最終ラインから人が飛び出していくということは、そのリスクを誰かがマネジメントしなければならないという課題も発生します。そのバランスを取る役目は福田と松岡。これがボランチ原川だと、彼が攻撃の方にストロングポイントがありますので、また別の展開だったかもしれません。(楽勝だったかもしれないし、敗北だったかもしれません。それはわからない(笑))
右利きの金井が入ったことによる影響は、ビルドアップでも若干発生していました。鳥栖のビルドアップの一つのパターンである、相手のプレッシングを引き付け、高丘が左サイドの三丸へ中距離のパスを送るという組み立てですが、三丸がボールを受けた際には、彼は左足でボールを持つので、相手が中央からプレッシングに来ても、外側の足で、外側を向きながら縦に前進することができました。金井は右利きですので、高丘からのボールを中央に向いて受けるので、ボールを相手から遠いサイドに置けずに、相手のプレッシングをまともに受けてしまってからのボールロストが何度かありました。高い位置で奪われた危うくというシーンもありましたよね。そのあたりは改善されるかとは思いますが、右利き、左利きの違いは少なからずやビルドアップの局面で発生していたことにはなります。
三丸、金井、原と小林も含め、それぞれストロングポイントもあればウィークポイントもありますので、監督が上手に選手配置と役割付与をすることが重要ですし、多くのバリエーションを持つことは非常に大きな武器となりますよね。
--------------
さて、金井のプレイで一つ見逃せなかったのは19分15秒のシーン。秀人がプレッシングにくる野田をぎりぎりまで引き寄せてからジョンスにパスを渡した時に、ナイスプレイの拍手を見せていました。そして、その後、ジョンスに対して早く持ち上がれとのジェスチャー。まさに、ボール保持の肝の部分なのですが、相手の1列目のプレスを秀人がパスで攻略してくれたので、前方にあるスペース目がけてジョンスがすぐに運んで前進しなければなりません。そうすることによって、相手の2列目を引き出してパスコースを作り、ビルドアップの到達地点である、前線へのルートがさらに開けることになります。1列目攻略を無駄にしないためにも、いち早く2列目攻略に取り掛からなければならないのです。
ところが、持ち上がれという金井のジェスチャーもむなしく、ジョンスはそのまま湘南ディフェンスが網を張って待ち構える右サイドの原へと展開。原はサイドで窮屈な状況になって慌てて金森に渡すものの、湘南のプレスに捕まってしてしまいました。ジョンスに必要だったのは、秀人が攻略してくれた1列目の裏のスペースを持ち上がって、次は湘南の2列目を引き出すこと。相手が網を構えている状態でパスを出してもそのまま網にかかるだけであるので、まずは前進して相手の守備の基準点を動かすべく、プレッシングを自分自身に向けなければなりません。それを怖がっていたら、ボール保持によるビルドアップ攻撃は意味をなしません。豊田に向かってロングボールを放り込んだ方が、幾分も効率的であるでしょう。いまのサガン鳥栖はそういう方向性ではありませんよね。ジョンスのこのプレイの選択は、トレーニングの中で、ミョンヒさんの熱い指導によって修正されることと思います(笑)
金井は分かっています。ボール保持の為、2列目攻略の為、ビルドアップの最終到達地点に向けて、何をしなければならないのかを。マリノスによって、名古屋によって成長し、会得してきたボール保持戦術の考え方。彼の加入はプレイのみならず、戦術、定石、思想、そういった目に見えない部分を向上するための波及効果が大きいかもしれないなと思ったシーンでした。彼が慣れてきて遠慮なくピッチで指示ができるようになると、サガン鳥栖のボール保持の質がまたステップアップする可能性は大いに秘めていると思います。
--------------
この試合は、この金井がアディショナルタイムの勝ち越しゴールで劇的な勝利を演出してくれました。彼がゴール前のポジションにいたことによって、久しぶりに「NSK:なぜそこに金井」という言葉を聞くことができました。ただ、「NSK:なぜそこに金井」のままでは、金井の個人の資質や意外性に依存したままの攻撃であるということになります。金井の特長である積極的なポジショニングを生かし、彼が上がっていくことによるリスクをチームとして把握して、それをチーム戦術の中に溶け込ませる事ができれば、「YSK:やっぱりそこに金井」として再現性のある攻撃へと変化するでしょう。
ただし、再現性が出てくると相手チームが対応を始めるという事も言えます。「意外性」と「再現性」。どちらも相反するものでありながら、どちらもサッカーにおいては重要な要素であるというのは、なかなか面白いですよね。
■ 金森の効果
今節変化が見られたもう一つのポイントはツートップである、金崎と金森の関係。これまでは、金崎がトーレス、豊田、チョドンゴンと組む機会が多かったため、いわゆる衛星的な役割は金崎が果たしていました。それが、金森が入ったことによって、金崎の役割(ロール)が変更となり、明確に起点としてボールを受けて引き渡すというプレイに専念できるようになります。
この役割分担によって、金崎がこの試合でポストプレイからのレイオフ(後方から入ってきた前を向いた選手にボールを受け渡すプレイ)を多用するスタイルへと変革し、湘南ディフェンスのピン留め効果とスペースへの侵入における効果を発揮していました。後述しますが、先制点はゴール前で金崎がボールを受けて原に落としたところが起点となりましたし、追加点もアタッキングサードのボールの循環で、中央で金崎がボールを受けて金森に落としたところからサイドへの展開が始まっています。後半開始早々の原のビッグチャンスも金崎のレイオフからでした。
また、金森が縦横無尽に動き回ってゲームメイクに加担する効果は、クエンカのポジショニングにも波及しておりました。左サイドでのボール保持から右サイドへ展開する際には、多くのケースでクエンカが左サイドから中央へのドリブルを見せてからの展開が鳥栖のパターンではありました。この役目をクエンカが果たしてしまうと、クエンカのポジションは、ペナルティエリア手前で滞在することになります。
今節は、金森がその役目を担うことにより、左サイドでボールを受けた金森が、金崎との受け渡しなどを活用しながら、右サイドのヨンウへ運ぶ動きを見せました。これによって、クエンカが左サイドの高い位置にポジションを置いたまま、右サイドからのクロスに飛び込める状況を作りました。先制点、追加点と、クエンカにフィニッシャーとしての役割を与えることによって、ゴール前での的確なポジショニング能力と冷静なフィニッシュ能力を生かすことができました。得点シーン以外にも、例えば16分など、右サイドからのクロスに対してクエンカがシュートを放っています。惜しくもポストでしたが、クエンカがフィニッシャーとなるシーンの演出はゴール以外にも何度か訪れていましたよね。
今シーズンの序盤から、セカンドトップ型のフォワードの必要性をレビューで記載しておりました。トップで起点となりえるターゲットとなるメンバーは多数いるのですが、その起点によって作られるスペースを運動量豊富に活用し、効率的にボール循環やフィニッシュに貢献できるセカンドトップ型のフォワードが不在で、鳥栖にとって必要なピースでありました。金森の補強によって、この問題を解決するピースとなりえてくれたのは非常に大きいと思います。
↓ 今シーズン序盤のレビュー
■ 両チームの狙い
鳥栖は試合開始当初からボール保持。ビルドアップの局面で相手がプレッシングで前に出てきて窮屈になったら、躊躇せずに湘南の両ウイングバックが出てきた裏のスペースへボールを送り込みます。そのスペースでボールを保持できたら当然OK。金崎、金森のツートップが走りこんで起点を作りヨンウ・クエンカのサポートを待ちます。もしはじき返されたとしても、湘南が中盤から前がプレッシングに出てきているため、セカンドボールを拾える確率は高まります。
アタッキングサードの局面においてもサイドで幅を取る選手(ヨンウ・金井)に対して湘南がウイングバックをぶつけてくるので、両ストッパーの前にフォワードを置いてピン留めさせ、そこでできたスペースをハーフスペースにいるセカンドトップ・セントラルハーフ(金森・原・福田)が飛び込みを見せます。
湘南は、前半から、最前線にプレッシングに出てくるのが主に山崎と松田の2名。山崎の誘導はどちらかというと左サイドで、松田の方でプレス強度を上げたいように見え、野田も含めて残りの選手で中盤に網を張る形の守備組織を構築しておりました。鳥栖が躊躇しないロングボールも織り交ぜながらの攻撃であったため、ボール支配はやや鳥栖より。湘南としてはカウンター攻撃に策を見出したいところでしたが、鳥栖としては、湘南はカウンターでまずはトップにあてるので、そこで秀人がつぶせるかどうかがポイントでした。鋭い出足でパスカットできた際には、カウンターの目を狩り取ることに成功し、二次攻撃につながる展開を作ることができました。
鳥栖の度重なるロングボールの対応で湘南は前半の中ごろから疲れもみえはじめ、プレッシングの強度が落ちてきたところで鳥栖が2点を上げますが、その後、すぐに右サイドからのクロスによって湘南が1点返します。
後半に入ってからの湘南がどう構えるかというところだったのですが、湘南がとった戦術は前線からのプレッシング。体力がきつい時期にも関わらず積極的に前に出てくるのは、これが湘南スタイルなのでしょう。後半開始当初はやや様子見だったのですが、徐々に野田、杉岡を前半よりも高い位置に上げて、高い位置からボールを奪取しようとしかけます。この動きが功を奏して同点に追いつきました。
同点になってからも一気呵成にプレッシングにでる湘南。鳥栖は、原川というひとりはがせるプレイヤーが不在であるため、プレッシングを同数で揃えられるとボールを保持するだけで苦労していましたが、それでも、簡単にロングボールに逃げることはせず、なんとかボール保持の中で活路を見出そうとします。実は、この動きが最終盤で効いてきたのでありまして、鳥栖がボール保持することによってプレッシングで動かされた湘南は、優勢だった時間帯に逆転ゴールまで届かなかったことにより、80分頃から足が止まり始めます。
勝ち点3を奪うべく、豊田、小野と攻撃的な選手を投入した鳥栖。豊田へのロングボールをきっかけに、小野がサイドの裏のスペースに流れる金崎に展開。金崎のクロスに対して飛び込んできた福田が惜しいヘディングシュートを見せます。
これをきっかけに再度ボール保持をもとにイニシアチブを握った鳥栖は、アディショナルタイムに、交代して入った小野がこの試合の狙いどころであった湘南3バックの脇のスペース(ウイングバックの裏)にランニングで入り込み、豊田のヘディングに飛び込んだ金井が劇的な勝ち越しゴールをあげて勝利で幕を閉じることとなりました。
■ 鳥栖の先制点(再現性のある崩し)
サガン鳥栖の先制点のシーンを振り返ります。
スローインからの流れだったのですが、最大のポイントはツートップによるセンターバックのピン留め。試合が始まってからウイングバックの裏のスペースを執拗に突いてきたというところもあり、金森がアウトサイドに出ようとする動きに対するケアとしてセンターバックの大野がマークにつきます。また、金崎は、この試合の彼のタスクであるレイオフ対応を行うべく坂を背負う状態。これによって、湘南のセンターバック間にスペースを作り出すことができました。あとは、ここに誰が飛び込んでくるのかというところでしたが、スローインからの流れでパンゾーロールポジションを取っていた原が金崎を上手に使って侵入。この試合のシューターであるクエンカにクロスを上げて、センターバックの死角となる背後からうまく飛び込んで先制点をゲットしました。
サガン鳥栖のアタッキングサードでの攻撃はこの形を再現しており非常に効果的でした。後半開始早々の原のシュートはまったく同じ攻撃の作り方でした。金崎にセンターバックを背負わせ、ヨンウと金森をサイドに張らせて相手のディフェンスを誘導し、空いたスペースに原が飛び込む。そしてゴール前にはクエンカがクロスを待ち構える。原の選択はニアサイドへのシュートだったのですが、このシュートは決めたかったですね!得点シーンもよかったですが、得点シーンよりもやや中央よりで崩せただけに、クロスではなくシュートという選択を持ちましたが、本当によい攻撃でした。
■ ハードワークについて
過密スケジュール、夏場の過酷な気候、苦しい時間帯、よく最後まで走り切ったと思います。ひとくちにハードワークと言いますが、ランニングは、「ベクトル的」な要素が必要であり、「正しい方向に」「正しい力で」走る必要があります。そうでないとチームに効果を及ぼさない無駄な走りとなり、体力を消耗するだけでなく、相手に不用意にスペースを与えたり、パスコースがなくなってボールの循環が停滞するなどの悪い作用が生まれてしまいます。
サガン鳥栖が80分頃から息を吹き返して、再度イニシアチブを握ったのは、フレッシュな選手の投入もさることながら、ボール保持によって「相手を走らせ」そして攻撃の時だけ力を入れるという「賢く走る」を具現化出来たのかもしれません。
ここで一つのデータですが、この試合でのチーム走行距離は107kmです。過去の平均を見てみると
2017年の平均114km
2018年の平均112km
2019年の平均112km
となっており、平均より、5km近く走行距離が短いです。これは、ボールを持つことによって相手に走らされるのを少しでも減らしつつ、勝点3を得られたという、省エネサッカーを示しています。
夏場の体力が必要な状況では、体力の使い方が次の試合にも影響がでますから、可能な限り少ない走行距離で勝てるというのは、非常に大きな成果です。「必要な時に」「必要な分だけ」のハードワークという、サガン鳥栖が一歩上のステージにステップアップをしようとしているのではないかと思えるデータでした。
■ おわりに
金森も金井も前チームではなかなか出番をもらえなかった選手。サガン鳥栖よりも上位に位置する、鹿島や名古屋には、金森や金井よりも個人能力にも戦術理解度にも優れた選手がたくさん存在するという事です。そういった選手たちが所属するチームに打ち勝つには、やはり組織戦術の洗練と体力強化、そして技術の向上。どれが一番大切であるかというのは一概には言えませんが、もって生まれた資質や性質というものがある以上、技術や体力の向上には頭打ちがあると考えると、組織戦術を磨くことによって、ひとりひとりのストロングポイントを何倍もの効果が発揮できる状況まで引き上げるのはもっとも手っ取り早い策であるかもしれません。金井、金森の加入によってこれまでのサガン鳥栖とはまた一歩異なる試合展開を見せてくれました。次節から続くシックスポイントマッチが非常に楽しみですね。
■ Appendix < ざっくり用語解説 >
・ ビルドアップ
ゴール前にボールを運ぶための仕組みづくり(パス交換の仕組みづくり)
・ トランジション
攻守の切り替え
・ ポジトラ
ポジティブトランジションの略。守から攻への切り替え。
・ ネガトラ
ネガティブトランジションの略。攻から守への切り替え。
・ ハーフスペース
4バックだとセンターバックとサイドバックの間。3バック(5バック)だと両ストッパーの位置
・ デュエル
相手との1対1のマッチアップ
・ ディフェンシブサード
フィールドを3分割したときの自陣ゴール側
・ ミドルサード
フィールドを3分割したときの中央
・ アタッキングサード
フィールドを3分割したときの相手ゴール側
・ リトリート
自陣に引いている状態、もしくは自陣に下がる動き
・ レイオフ
ポストプレイからの受け手が前を向けられる落としのパス
・ オーガナイズ
組織化されていること。チームとして秩序が保たれている事
・ 偽サイドバック
サイドバックがポジションを変えてセントラルハーフのような役割を演じる事