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おわりのうたをうたうとき

恥は全て濯いでしまおう
大きな声で
高らかに
届くや届かずや
おわりのうたを謳うのです。

満たされず、のたうち回った
湿った布団の上

思えば、
あれは生きていたのです。

情けない涙にまみれて、
わたしは生きていたのです。

視線に触れることなく
空気に触れることなく
ひしゃげたプライドを傍らに。

あの時、狼狽を表に出していたならば
あの時、甘えた声を出せていたならば
きっと、今頃。
ぼくがぼくを見離すことはなかった。

僕のおわりのうたをうたうとき。

僕の全ての恥は
全て濯いでしまおう、大きな声で。
高らかに
届くや届かずや
おわりのうたを謳うのだ。
合掌。

令和2

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