少女は【毒の味】を選んだのではない。 ~二度と選べなくなるということ~

毒の味についての解説文】

「「少女は何も選べなかったと思うのだ」・・・《毒の味》」さがん

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誰だって、この寒空の中、
食べるものもそこにはなく、
痛めつけられている自分、
この世で独りぼっち、
そんなことを一つ一つ確認したくはないと思う。

それでも、彼女はひとつひとつ確認したのだと思う。せざるをえなかったのだとおもう。
瞳閉じるまで。

それは地獄だよ。

誰だって、今月は良く働いたから、
ちょっと自分にご褒美、だとか、

んー。まだまだローンが続くから、
ちょっと贅沢できないなぁだとか、

そんなことを思いながら、
日々、働くわけだけど、

僕やあなた達がそんな風に働くその向こう側で、
人はごろりと死んでいってるのかもしれないね。
ごくあたりまえに。

それはそれとして、
そこが地獄だってこと、
あなたは気づいていただろうか。
そして僕は、そんなこと気づいていただろうか。寝ぼけているような視界。
ノイズが走る世界、磁界。

決して、
彼女は、
そんなことを「誰かに気づかせようとした」んではないし、
そんなくだらないことの為に死んだなんてことあるわけもない。

ただ、死ぬ以外の道は消去法のもと、
閉ざされた、
それだけだろう。
この世にもある地獄。

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誰か買うかもという見込みで、
たくさんたくさん生み出された恵方巻。
買い方が少ない判断が為された時点で、
号令と共に
捨てられていく。全国各地で。

かたや、芦屋の韓国籍の老女は、
腹すかせて、盗みを働いた。恵方巻きを。
寒空にとっ捕まる。悪いのはその婆アだよ。
ごくあたりまえに。

それはそれとして、
そこが地獄だったってこと、
あなたは気づいていただろうか。
そして僕は、そんなこと気づいていただろうか。寝ぼけているような視界。
ノイズが走る世界、磁界。

同じ日に、同じ国の、地面が繋がったこの地獄。

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彼女は親を選ぶことができなかった。
彼女は下手を打ったんじゃない。
彼女は未来を選ぶことができなかった。
僕たちが、住んでいるココと地続きの場所で。

僕たちは誰も、
生まれ落ちる場所や時、状況、親を選べない。

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一歩、足を踏み出した先、そこにある地獄







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