「らしさ」を纏え アイドル鬼龍紅郎の矜持
2024年1月26日。鬼龍紅郎くん、お誕生日おめでとうございます。
紅月Pとして出戻りおよそ1年。ようやく、ようやく、あなたのお誕生日をこうしてお祝いできて嬢ちゃんは感無量です。本当におめでとうね。
鋭い双眸に、低い声。両耳に幾つも開いたピアス。
すれ違った相手が思わず萎縮してしまうような、イカつい風貌をしている鬼龍くん。
そんな見た目とは裏腹に手先が器用で、幼少期よりお裁縫を嗜んでいる。
そのため学生時代は自ユニットはもちろん、他ユニットの衣装制作も手がけた職人気質の持ち主である。
そして、恵まれた体躯から繰り出される雄々しいパフォーマンスは目を見張るものがある。いよっ大将!日本一!!
蓮巳くんのお誕生日の時と同様に、今回も鬼龍くんのアイドルストーリー「軌跡を纏う」を読み返すことにした。
個人の「教育番組のナレーション」という仕事を終えた鬼龍くん。
仕事終わりに、かねてからアイデアを膨らませていた「専用衣装」のデザイン案を私に見せてくれた。
彼なりに諸々を配慮したうえで提案してくれたデザインであった。
しかし、私の反応も、この後一緒に食事に集まった級友たちの反応も芳しくない。みな口を揃えて「鬼龍くんらしくない」と評した。
妹さんからは「ダサい」と言われてしまう始末だったそう。
気心知れた仲間からの歯に衣着せぬ批評を受け、鬼龍くんはデザイン案を再考することになるのだが、私もそこでふと考えた。
…鬼龍くんらしさって何だろう?
良い機会だ。鬼龍くんの「らしさ」について、思考を巡らせてみようと思う。
鬼龍紅郎と「強さ」
鬼龍くんを語るうえで「強い」という言葉は欠かせないだろう。彼をよく知る者なら、必ずと言って良いほどこの言葉を口にするはずだ。
もちろん、この「強さ」には「腕っぷしが強い」という意味が込められているのだろう。彼が中学時代に地元では名の知れた不良であった過去を知っていれば、なおさらである。
では、鬼龍くん自身は「強さ」についてどう考えているのだろう。
強いやつであること、それは、相手に自分の弱みを見せないこと。
やはり彼の根底には、「相手に舐められないようにツッパる」とする不良マインドが良くも悪くもしっかりと根付いているようだ。
芸能事務所に身を置いたはいいものの、なかなか頭角を現せず燻っていた「紅月」。
そんな現状を周囲に悟られぬようにと、加えてまだ学生である颯馬くんの負担にならぬようにと。鬼龍くんは蓮巳くんと共に、日夜、打開策を練り続けた。
自分を慕ってくれる仲間や友人、後輩に情けない姿は見せたくない。
彼らが自分に向けてくれるキラキラした羨望の眼差しを、己の不甲斐ない姿で曇らせたくない。
どんな厳しい状況にあっても狼狽えず、どっしりと構えてそれを迎え撃つ。
そうして周囲の期待に応えること。
これが鬼龍くん自身が考える「強さ」ではないだろうか。
鬼龍紅郎と「アイドル」
暴力に明け暮れる日々を過ごしていた鬼龍くんがアイドルを志したきっかけは、「妹の笑顔を取り戻すため」である。
妹さんの話題となると、彼の仏頂面が途端に綻ぶ。年が離れているゆえまだ手のかかるところはあるものの、「妹は自分の宝物」だと優しい面持ちで話してくれる。少々盲目になりすぎているところもあるが、それはまぁ、ご愛嬌ということで。
そんな愛しい存在を守るために、不良から足を洗い真っ当な兄貴になる。それが亡き母の代わりに自分がしてやれる、せめてもの罪滅ぼしだと。
明日への希望すら見出せなかった空っぽの鬼は、「人」に、アイドルなろうと決意した。
鬼龍紅郎「らしさ」とは
アイドルは、言動や行動、所作の一つひとつにおけるまでパブリックイメージがつきまとう。
一般人である私ですら、「自分らしさとは何か」自問自答する日々を過ごしているのだから、本来の自分とは一線を画す「キャラ作り」が求められるアイドルは本当に難儀な職業だと思う。
思えば鬼龍くんが当初、デザイン案として和装を挙げていたのも、自身が「紅月」という和風ユニットに所属しているからだ。
しかしそれこそ、パブリックイメージに引っ張られた考え方である。鬼龍くん本人からはあまり和の雰囲気は感じられない。
さて、鬼龍くんが再考した「専用衣装」のデザインだが、最終的に「刺繍の入った学ラン」がモチーフとなった。
衣装の制作現場に別件で居合わせた蓮巳くんは、「不良であった過去を想起させることになり、マイナスなイメージが付いてしまうのでは」と鬼龍くんを気遣ってくれた。
確かに、不良である過去は拭えない。時にそれが足枷になり、自分を苦しめることもあるだろう。
現に昨年冬に行われた「天地鳴動」の番組制作にて、鬼龍くんは己の学のなさに愕然とし無力さを滲ませていた。
それでも、不良時代を薄暗い過去として蓋をするのではなく、むしろアイデンティティとして自分の武器にしてしまう。
鬼龍くんは不良という要素を彼らしさとして衣装に取り入れた。
そもそも、蓮巳くんがそうやって心配してくれるのは、彼が不良時代の鬼龍くんを知っているからであり、ファンはそんなこと知る由もない。
鬼龍くんの前向きな想いを受け、蓮巳くんも納得してくれた。
妹さんも「今までで一番マシ」と褒めてくれたそう。
自分自身と向き合い、己が纏うに相応しい衣装を自ら作り上げた鬼龍くん。
和装でも王道のアイドル衣装でもない、まさに「鬼龍紅郎らしさ」が存分に詰まった一張羅が完成した。私もあの衣装をとても気に入っている。
また、学ランというデザインを選んだことについても、鬼龍くんが学生時代を「それなりに楽しかった」と思えていると窺い知ることができて嬉しかった。
チンケで自棄っぱちだった不良時代、失うものは何もなかったからこそ無茶ができた。
けれど今は違う。アイドルとなった鬼龍くんには守るべき大切なものがたくさんできた。
これからも、鬼龍くんはアイドル活動を続けていく。
「自分はどんなアイドルになりたいのか」時に壁にぶつかり葛藤しながら、その答えを模索し続けていくことになるだろう。
しかし、その大きな背中で、力強い歌声で。己の進む道を切り拓いてくれると期待している。
なぜなら、彼は本物の「強さ」を纏っているのだから。
拳は気に食わない現実に向けて振りかざすものではない。
自分を支えてくれる周囲の感謝と期待に応えたいー
そう心に宿した誓いを天高くかざすために固めるものだ。
それが、アイドル鬼龍紅郎の「強さ」であり「らしさ」なのだと思う。
余談 今宵の月は
本記事を執筆中に、たいへん興味深い記事を見つけた。
暦の上では、今宵は2024年最初の満月らしい。
部屋から空を覗くと、大きく綺麗な満月が天高く昇り、煌々とこちらを照らしていた。
満月には「物事が一定ラインまで到達し、振り返りと調整を行うとき」という意味合いがあるそう。「今」と「自分が本当にありたい姿」を見比べることで、改めて自分の「やりたいこと」と「やるべきこと」が定まってくのだという。
先の「天地鳴動ライブ」を通して自分たちの可能性に気づき、過去に囚われず絶えず進化してこうと決意を新たにした「紅月」。
今日の満月を機に、改めて彼らなりの表現を磨き続けてほしいと切に願う。
私も自問自答を怠らず、「私らしさ」を突き詰めていきたい。
彼らにとっても私にとっても、良い満月でありますように。
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