君の声が消えた日
イベランの息抜きにと、『スカウト!カラーコード』を読み進めていた時。
天満光くんのボイスが消えていた。
慌てて公式Xに飛ぶ。
ルームボイスやスキルボイス、リザルト画面に至るまで。
どこからも彼の声が聞こえなくなった。
「…つらすぎる……」思わず声が漏れていた。
一連の騒動を受け、運営が迅速に対応してくれたことは英断だと思う。
報道があった当初は、驚きもあったが心のどこかで「最推しじゃなくてよかった」と安堵していた。
しかし、今回のスカウトストーリーで、全く声を発さない光くんを見て、心が締めつけられるような思いがした。
天真爛漫でいつも元気な"あの"光くんの声は、もう帰ってこない。
思った以上にショックを受けている私がいた。
私は、鬼龍くん最推しの紅月Pである。
鬼龍くん周りの人間関係はまるっと推す、割りかし節操のないプロデューサーだ。
ユニットメンバは勿論、クラスメイトや幼馴染に部活の後輩、サークルメンバ等など…
だから、鬼龍くんと同サークルに所属する光くんももちろん大好きだ。
わんぱくで屈託のない笑顔で、先輩にも後輩にも分け隔てなく接する光くん。名前の通り、太陽のようにいっぱいの光でその場を照らしてくれる。
陸上選手としても優秀で、お偉いさんからスカウトされるほどの実力の持ち主。
しかし彼は、陸上ではなくアイドルの道を選んだ。
自分がかつて見たアイドルに近づけるようにと。
常に元気で校内外を走り回っては、先生に注意される。
そんなお調子者の光くんだが、所属ユニットであるRa*bitsのこと、そこに自分が所属し続けることを誰よりも考えていた。
自分たちは男子高校生。身長だって伸びるだろうし、体つきも変わる。
いつまでも「可愛さ」にこだわることができるのだろうかー
「可愛く」なくなっても、Ra*bitsでいられるのだろうかー
「可愛く」無かったら、Ra*bitsではないのかー
自ユニットのコンセプトと、自身の男性への成長に板挟みになり、ここまで葛藤してくれているなんて。
改めてストーリーを読み返し、胸が張り裂けそうになっている。
あぁ、そっか。
大人になっていくということは、身長が伸びて体つきが変わるだけでなく、声変わりもするということではないか。
でも、こんなこと、今回の騒動を受けて考えたくは無かった。
「変わるべくして変わったこと」と、「変えざるを得なかったこと」は全く異なる。
そして何より、なぜこんな鬱屈とした気持ちを抱えながら推しユニイベを走らなければいけないのだと怒りすら湧いている。
このやるせない怒りを鎮めるため、自分の気持ちを整理するために筆を執った。
兎に角、今の私にできることは、紅月イベを最後まで楽しく走ること。
時が満ちるまで、穏やかな気持ちで光くんの帰りを待ちたいと思う。
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