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柔らかい人間の体に効く打撃とは

人体は、その構成の70%が水分である柔らかい物です。

素手で行う空手や、脛という硬いところで蹴って柔らかい人体に効かせるにはどうしたら良いのでしょう?(もちろん殴られたり蹴られたりすれば痛いですが、痛いだけでなくダウンやKOを奪えるように効かせるという意味です)

答えは簡単、力を抜いて体を柔らかく使えば良いのです。

しかし空手などの試し割りで、瓦や木の板といった硬い物を割ることもありますよね。そんな時はそう、逆に力を入れて体を硬くすれば良いのです。硬い物同士の親和性を作れば良いのです。

力を抜いて打撃を打つことの利点がもう一つあります。

それは重力を利用出来ることです。力を入れてしまうとどうしてもブレーキがかかってしまい、重力を利用し切れません。重力を利用すると重力加速度9.8m/s²を利用することが出来るわけです。実に拳の重さの約10倍の力で打撃が打てるわけです。やはり脱力力が重要なのです。

他のスポーツだと重力に打ち勝ってより高く跳ぶとかより遠くに跳ぶという場面が多いですが、格闘技はむしろ重力などの物理法則を利用して、地球と一体化して相手を制するスポーツなのです。  

近年の総合格闘技では寝技状態での顔面打撃が認められており、上からパンチを落とすようにすれば重力を利用したパンチになりますが、拳とリングに頭が挟まれるようになって力の逃げ場がなく、危険であることは確かです。  

制限を減らせばエキサイティングだったり、打撃系の選手と組み技系の選手が公平に闘えるとも思いますが、制限が多ければその技術がより洗練されていくとも思います。

また総合格闘技というくらいですから、打撃の技術も組技の技術も高いのが望ましいかな、とも思います。

総合格闘技が一本勝負になった(以前は打撃についてはダウンしたらダウンカウントが数えられ、10カウント数えられればKO負け、あるいは1ラウンドないし一試合中に5〜3度程度ダウンすればTKO負け、サブミッション((後に詳述しますが、関節技や絞め技、痛め技の総称))については、極められた技から逃れられそうにない場合は、ロープに逃げるロープエスケープが認められていました。こちらも1ラウンドないし一試合中に何度も繰り返すとTKO負けになります。

こういった試合形式はいわば「ポイント制」のルールで、ダウンやエスケープをすることで減点方式にポイントを失っていき、ポイントを失うことを「ロストポイント」、全てのポイントを失ってTKO負けを喫することを「ポイントアウト((によるTKO))」と呼んでいました。

こういった時代による変遷を追うのもプロレスや格闘技の楽しみ方の一つです。

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