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05_補強する壁はN値で判断!


『耐震補強の3要素』のその②です

前回のその①は、耐震補強は強い壁を入れるだけでなく、柱の補強も必要であることを説明しました。

それと関連しますが、今回の解説は補強設計ポイント②


【1】N値を参考に補強する壁を決めよう!


耐力壁を出隅に設置されているプランをよく見かけます。

N値はどれくらいですか?と伺うと「何それ?」と反応されることも・・

例えば下記の事例では、居間の左右の出隅部分にY方向2か所の壁補強が設計されています。ただそのN値をみると、4.52~5.56の数値が出ています。

キャプチャ3

居間の玄関側の出隅のN値5.56がどれくらいの引き抜け力がかかるか計算してみます。

5.56×1.96(係数)×3(階高)=32.69=約3.3トン

これは旧耐震や新耐震住宅に設置されている接合金物(0.1~0.3トン)をはるかに超える引き抜け力が発生することが分かります。

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N値とは、柱を中心にしたときの左右の壁の倍率差になるので、片方しか壁がない出隅のN値が最も大きくなることは当然であり、高耐力壁ほどその倍率差が大きくなることも必然だと言えるでしょう。


【2】ベテラン設計担当者の壁補強の考え方


そこで、ある程度実績を積んだ設計担当者は、下記のような箇所に耐力壁を設計すること増えます。

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出隅から一つ内側の壁を、N値を抑えるために補強対象とされるのです。

N値は出隅の5.56が一つ内側の柱は2.50と半減以下になり、対となる柱に至っては0.30とほとんど引き抜けの力が発生していないことが分かります。

『耐震補強の3要素』のその① 耐震補強=壁+柱補強 で説明したとおり

N値が小さいと、小さな接合金物でも引き抜け力に対応することができ、接合ランクⅠとして計算できるので耐力壁の低減(マイナス評価)もかかりません。

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結果として最小枚数で最大限の効果が見込める補強プランとなるわけです。

補強設計ポイント② N値をみて補強する壁を決めよう!

を是非、設計のご担当者は意識するように心がけください。


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エイム㈱ 大阪特販事業部 担当 田中

京都生まれの滋賀育ち、大阪勤務で奈良在住

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