UFOと流星

私は61歳だが、今までに流れ星を見たことは5〜6回しかない。
多くの人はもっと見てるのかな?
いや、案外そんなものじゃないかな?

私が流れ星を初めて見たのは、1969年。7歳の夏休みだ。
ぼんやり夜空を眺めていると、星がサーっと動いたので「あ!」と声を出した。
これが流れ星か……と、すぐに理解はしたが、動かぬはずの天体が動く様を見た驚きは、正直「恐怖」に近いものだった。

翌朝、興奮冷めやらぬ私は、近所に下宿している「シラミのお兄さん」(と呼ばれて嫌われていた大学生)に
「昨日、初めて流れ星を見た!怖かった」
と報告した。
シラミは
「流れ星なんか、一晩中、夜空を見つめていたら、必ずと言っていいほど見えるんだよ」
と言い「自分はギターを爪弾きながら一晩中空を見るような粋人である」と自慢した。

私は小学生だったが「僕はそんなに暇ではない」と思った。
流れ星を見ることが貴重な体験なのは、多くの人が暇でないからなんだな……と悟った。

さらにシラミのお兄さんは
「自分は流れ星を見慣れているから、そんなもん全然怖くない。でも一度だけ真っ直ぐに飛ばない流れ星を見たことがある。その時は、ちょっと背筋がぞくっとしたよ。あれは流星じゃなくて所謂、空飛ぶ円盤だったんじゃないかなぁ?」
と気になることを言い、舌を出して恥ずかしそうに笑った。

いや、それをいうなら、私が見た昨日の流星も、本当に本物の流れ星だったのか?はわからない。
直角には曲がらなかったが、あれも空飛ぶ円盤だったのかもしれない。
「動く天体」という一点において、流れ星と空飛ぶ円盤を区別するものはない。
あるいは空飛ぶ円盤?
その微妙な可能性が「恐怖」の正体だったのだろうか?

特に初めて見る流れ星は、UFO目撃と同じだ。
シラミだって、初めて見た流れ星は怖かったんじゃないかな?

(当時はまだ「UFO」という言葉は一般的ではなかった。テレビ番組「謎の円盤UFO(ユーエフオー)」の放送は、翌年1970年からで、日本テレビのスペシャル番組枠が「ユーフォー」を取り上げるのは、さらにその後だったはずだ)





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