世界茶屋探訪026 Ginger apple soda
ナマステ~!厳重な警備をくぐりぬけ、手厚く誘導されながら、受付に向かう。美術館のような廊下をうっとりしながら行く。
ウェルカムドリンク
手続きを待つ間、「受付の横でくつろいでろ。」と英語で話しているのに話の通じない受付嬢に促され、椅子に座る。シャンペングラスに注がれたウェルカムドリンクが運ばれてきた。静かに発泡するドリンクを通して、ステンドグラスを見る。「うまっ!」ショウガの香りが口にひろがり、適度な甘さと辛さがあり、フルーティな香りが「歓迎されてる感」を煽る。
手違いが多く、結構やっちゃう従業員さん達に苦笑いしつつ、ラグジュアリーな部屋に無事到着。
10ルピーの価値
チベタンキャンプに滞在中から、ヒマラヤ滞在中の紙幣の事、ずっとお金の価値について考えていた。この前も話したけど、私は交渉が苦手で、10ルピーを必死で、または小ズルく上乗せして要求されると、たかが10ルピーで君がにっこり笑えるならいいよ。と思う。塵が積もっても大したことないし、10ルピーを笑った事も、10ルピーに笑われたこともない。
このゲートをタクシーで通る時、運転手さんが警備員さんと話しているのを後部座席で見ながら、私は、ついさっき大きな交差点に停車中、中央分離帯で「カナ・カナ」と手を口に持って行くジェスチャーで「食べ物を下さい。」と言ってくる5歳くらいの男の子のことを考えていた。「カナ」はヒンディで「食べ物」のことで、タクシーの運転手さんは窓越しに「カナじゃなくて10ルピーと言った方が良い。」とアドヴァイスしていた。そのことをずっと考えていた。
私は、物乞いの方々にお金を渡したことがない。お恵みや施しを与えるほどの人間ではないからだ。どんなに不憫に思っても、または、思うよう仕向けられ、施しを与えないことへの罪悪感を擦り付けられても、そこが彼らのセールスポイントであって、また商売道具だから、リスペクトはしている。私の目からは個性や才能を活かした仕事に見える。
But the end I'm not too bad
"Trouble is my middle name"とHooverhonicのMad about youの一節が頭の中に流れた。「インドに来ると太る人なんて今まで会った事がない。」と、何ヶ国かの旅人に言われたくらい、インドで腹を壊したことがないクルちゃんが、とうとう、このタイミングで腹を壊す。ジャブが効いてきた訳じゃなく、不意打ちのクリーンヒットが、時間差で来た。でも、こんなところで倒れないぞ。と心に誓った。
今更インドの洗礼喰らった。というか、アビシェーカを受けたってことにしよう。これを乗り越えられたら弟子にしてもらえるのさ。
私の体は、とても優秀で、要らないものは取り入れないし、もっと言えば要らないものには近づきもしない。自分の感覚を大事にしているので、頭を使わなくても、正確には、頭を使わない方が的確にわかる。昔から、鼻が効く。子供の頃から不要なものは、断固拒否してきた。視覚では、美しい物やかわいいものを中心に、たくさん見てきたし、嗅覚では、好きな匂いを中心に嗅ぐようにしてきたし、臭い所には、そもそも近づかなかった。5感の中で嗅覚は一番距離イケるので、遠くからでもわかるから近づかなくていい。しかも、ダイレクトに脳に働きかけるので、記憶や感情を動かす力が強い。
チベタンキャンプは、独特の悪臭があって、日本のサービスエリアで「あ!ここマジュヌカティラの匂いがする!」と言って笑ったくらい、匂いと記憶は密接。
しかし、距離的に一番イケるのは、やっぱり第六感。遠隔も効くし、私の経験では、最長7000キロ飛ばせる。精度をあげれば宇宙にもイケちゃうしね。
目に見えないものを感じることが出来ない鈍感な人に「気」の説明をするとき、この晴哉先生の言葉を引用する。
または、オーラについての説明に旅で出会ったゴシャが言った。
聴覚も、距離イケるけど、音の種類によってだし、高周波とか低周波とか、誰かのイケない念とかが邪魔をするので、場所と体調によるところが大きい。でも、気や感情のコントロールをするので、「気を引く」力は強い。
で、まぁ、腹を壊す原因を追究した。感覚器官は、危険予知機能の役割も果たすので、食べ物に限っていえば、まず、見て、匂いを嗅いで(距離は近づけない。吸い込むのは良い香りだけ。)、味わって、飲み込んで、胃で合否が決まって、腸で要る物と要らないものを分別して、誰に教わったわけでもないのにオートマティカリーに血となり肉となり骨となる。
そして、腸!ここで、最終的に「喰わんでもわかるように成長しろよ!」とクレームが入るわけだ。
そして、さっきの歌詞の続きの一節"But in the end I'm not too bad."で今日を締めくくる。
二人のシヴェンドラ
インド帰してくれないなぁ。とボヤきながら、病院の診察台に座って、薬も治療もいらないと、インド人通訳さんに説明して、熱測った位の処置で放置されて足をブラブラさせていた。トイレの時間の波がやってきたので、通訳さんに「トイレ行ってきます!」と言って足早にトイレに向かう。
波が去り、次の波までの間にタバコを吸いたいところ。ちょうど、通訳さんが経過を報告しに来てくれて、どっかタバコ吸えるところありませんか?と聞いてみた。敷地内は無理だから、裏の門を出た路上で吸えるよと教えてくれた。僕もタバコ吸いたいから一本もらえる?と言ったので、もちろん!と言って一緒に外へ出る。夜10時のインドの裏道は、街灯も無く、一緒に来てもらって良かったなぁ。と思った。
タバコに火をつけて、二人で一服目を大きく吐いたあと、自己紹介をしあった。彼の名はシヴェンドラ。日本は、どこに居たの?と聞いたら、日本に行ったことがないという。はい?何で、そんなに日本語しゃべれるの~?と驚いたら、大学にいる時にビジネスのために日本語を選択したそうだ。それだけで、こんなに喋れるようになるとは、インドはどこまで私を驚かせるのか。
今の仕事は、会社にいる人が日本人ばかりだから、その人たちに教えてもらいながら上達しているとのこと。医療用語や薬の名前が必要だから、日常会話よりも大変でしょ?というと、大したことないと言っていた。
こんな遅くになっちゃってごめんと謝ると、仕事だから大丈夫とのこと。近頃のインドの物価の話をして、ローカルだったら、まだダバで50ルピーで腹いっぱい食べれるよ。と言っていた。ローカルが50ルピーで腹いっぱいになるのなら、ツーリストとしてありがたいことだ。
また、昼間のタクシーで見た男の子のことを思い出していた。
ホテルに戻っても、波の合間を見て、ホテル従業員のやらかしの回収をしなければならず、お前じゃ話にならんから、上司を呼んでくれと言った。サチンが来て、その後の担当が二人目のシヴェンドラだった。
既に迷走中。てか瞑想中。
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