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ヒマラヤ便り8号 चंद्र チャンドラ 月

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チャンドラは、私を「ジャパニ」と呼ぶ。間違っていないし、小学生の時、仲良くしていた朝鮮人のおばさんを、親しみを込めて「朝鮮のおばさん。」とか、「角のおばさん」と呼んでいた感覚と同じと思う。チャンドラが奥のキッチンに居て、近所の少女が店にいた時、恥ずかしそうに私の来店をチャンドラに知らせてくれた。チャンドラは、調理中で声が聞こえにくく、大きな声で「え?ジャパニか?」と言った。少女は、私の方を見て答えにくそうにしていたので、「はーい!ジャパニです。急いでないので大丈夫です!」と返事をしたら、笑い声が聞こえた。

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チャンドラは、店先でよく編み物をしている。ある日、「足のサイズを教えて。」と言われ、脳内でヒンディの数字を引き出していると、「靴を脱いで、足を出せ。」と言う。面倒くさいので、肘から手首までを差し出して、「これが足のサイズ。」と言うと、最初は訝しげに、理屈がわかると大喜びしていた。      次の日、「ほら、編めたよ。」とかぎ針編みの素敵な靴下をプレゼントしてくれた。「編むの早っ!」と驚いてると「この程度なら3時間で編める。」と言った。サイズもジャストフィットで感心した。

私のリバーシブルのスヌードや、ポケットと帽子付きのマフラーが気に入ったらしく、どうなってるのか見せてくれと言った。いつもは、型紙をどうしてるのか聞くと、本を見ることもあるが、実物を見て、再現するという。

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いつも私は、店の商品を興味深く見ながら、棚に戻す。必然的に整頓されて行く。それを見たチャンドラは「日本のスーパーマーケットになっちゃった。」    と笑った。仕入れは、ほぼ毎朝ビジェが徒歩で隣町へ行く。

隣がカフェになっているので、チャイやミルク、軽食が頂ける。        ミルクは、午前中ならローカルミルクを出してくれる。            なみなみに注がれたチャイやローカルミルクを「ガラン、ガラン(熱い、熱い)」と運んでくれる。

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ある日、「チャンドラがあなたを呼んでいる。」と村の子供が来て、何事かと慌てて行ったら、指にトゲが刺さってしまったとのこと。毛抜きを持って来て、抜いた。

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ビジェが数日間家を開けた時は、街に行く私を見つけて、ジェネラルショップの隣の八百屋さんから、ショッピングバックをひと束もらってきてくれと頼んできた。場所はわかるが「八百屋でショッピングバックをもらう?」とハテナな私に  「チャンドラから頼まれた。と言えばわかるようになってるから!」とのこと。

街の八百屋のおじさんに、恐る恐る尋ねると、無表情、無言のまま新聞紙でできた紙袋の束を渡された。「お代は?」と聞くと、「チャンドラ」と言って、首を動かした。たぶん、電話で「ジャパニが行く。」と伝えたに違いない。

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