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着用するものをデザインして社員に当てるまでの話

こんにちは。クックパッドのデザイン戦略部のデザイナーせみ(@saemimon)です。今回は私が担当した「クックパッド社員の、クックパッド社員による、クックパッド社員のための」パーカーを制作した話を伝えたいと思います。

前回のパーカーを作ってからすでに5年も経ってしまい、他社のパーカーを着て過ごしてる人も増えてきて、なんでだろうと思っていたので、デザイン戦略部は愛着を持ってもらえ、より長く使えるような高品質を目指し新しいパーカーを作ろうと考えました。

1. パートナーの選定

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(出典:Uniform Circus BEAMS公式ページ)

パートナーをいくつか検討した結果、実績の多さと、品質の高さから、Uniform Circus BEAMSを採用しました。

2. 生地の選定(オンス/裏地/色)

- オンス
オンスは生地の重さを表す単位です。8オンスから12オンスまで生地の厚みのバリエーションがありましたが、1年中着用できそうな厚みの10オンスに決めました。

- 裏地
裏地について、社内でミニアンケートをとってみました。

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アンケートを行う前までは、さわり心地のよい裏起毛が圧倒的に多いだろうと思っていました。ですが、世の中に「絶対」ということがないように自分の考えとは全然違う結果になりました。改めて思い込みには気をつける必要があることを肌で感じました。

- 色
色はクックパッドのブランドカラーであるオレンジも考えましたが、みんなに着てもらえるように、合わせやすいグレーとネイビーを選定しました。

3. プロトタイプの作成

加工の方式はプリント、シート圧着、刺繍の中から、高級感もありアピールポイントになるために刺繍に決めました。

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刺繍するものはロゴと会社のミッション「Make everyday cooking fun!」に決めました。ただ、刺繍で表現すると面積と色数によって値段が変わるので、デザインはなるべくシンプルにする必要がありました。

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 また、上の画像のように袖の部分は加工できる箇所が決まっていて、肘の近くだとミシンが通らないので避けてほしいとのことでした。

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結果、上記の位置で刺繍してもらうことを決めました。コンセプトとしてはクックパッドへの愛着心が持てるように心臓に近い位置にロゴを配置したプロトタイプを作成しました。ここで私がこだわった点は、社名の次にミッションを見てもらいたかったので、ロゴとミッションの位置について細かく要望を出し、なるべく自分がイメージしていた位置に近づけてもらいました。

ここでのやり取りもBEAMSさんと直接行えたのでスムーズに進行できました。

4. サンプルチェック

- 1次サンプルチェック

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1次のサンプルを見てBEAMSさんへのフィードバックは、

1. マークの円がきれいに表現されず、スカスカ&ギザギザしてる感がある。
2. 文字の cookpad / Makeの「a」が潰れてしまっている。
3. 文字同士で糸が繋がっているところがある。

もちろん柔らかく厚みのある商品の特性上、丸い形や細かく小さい文字の部分を綺麗に仕上げるのは難しいところがありました。でも、やるからにはクオリティをあげたい気持ちが強かったので改めてサンプルの作成を求めました。

- 2次サンプルチェック

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1次のサンプルの時と比べると円はしっかり表現されましたが、社名の文字サイズがどうしても小さいため、どうしてもキレイに表現されないので、刺繍全体のクオリティを保つために、社名を入れることを諦めてマークのみにするという決定に至りました。再度デザインを調整し、BEAMSさんに量産を依頼しました。ここでも減らす作業が重要であることが分かりました。

5. 商品の完成

刺繍の位置や加工がキレイに仕上がっていて、満足の結果だと思います。

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6. 販売準備

社員にちゃんと訴求できるように、社内のカメラチームに依頼し、販売のための撮影準備を開始しました。写真撮影で大事にすることは商品に対する情報だと思います。商品の種類によって情報の伝え方が変わるので、ふさわしい雰囲気になるようにコンセプトに合う参考例をボード化してカメラチームに共有しました。撮影での気付きとしては、同じ商品でも照明の位置によって生地の質感と色が異なって表現されるので、ライティングの重要性をとても感じました。

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撮影をしてもらった画像を使用して、ついに社内のブログに告知して販売を開始しました 🎉

7. まとめ

販売の結果は良い結果には至ってないと思われます。それの理由を私の中で振り返ると、1つ目はサイズごとの発注量が見事に外れたことです。サイズごとの枚数を決める前にアンケートをとったデータを踏まえてMサイズに注力しましたけど、「アンケートをとった人=購買をする人」ではなかったため、間違いがあったデータでした。2つ目はサイズの範囲が狭かったことです。ジャストサイズよりオーバーサイズに寄せたため、買えない人が多数現れる問題がありました。もし2つの判断が上手くできたらより良い結果を得たのではないかと思います。

社員に当てるまでの流れを通して大事だと思った1つ目は人の声を聞くことです。人に使ってもらうためには、自分が良いと思うことをただ押し付けるのではなく、人の声を積極的に聞いて反映して行くのが当たり前で大事であることです。それは自分の思い込んだことが崩れて、視野が広まる行為だと思いました。2つ目はよいデザインは要素を足すのではなく、取り除いていく必要があるということです。品質が保証できない商品は人に愛されない結果をもたらします。なので、減らすことでクオリティが保てる仕上がりになれたと思います。最後はパートナーとの直接のやり取りをすることです。パートナーとのやり取りはメールで行うのが楽かもしれませんが、文字だとお互いの認識がずれやすくなるところが減ったり、より早めに決断が出せたりするなどスムーズな意思疎通になります。

なので、今回の学びを踏まえて使ってもらう人の気持ちをちゃんと読み取ったものがどんどん作れるように頑張っていきます💪🏻

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