脱皮の記

夫が亡くなったことは、間違いなく私の人生のいくつめかの区切りとなった。秋から冬にかけて、何かに憑かれたように家を片付けていた。疲れて仕事から帰った夜も、休日の午後も。

私の好きなnoterさんが,様々なものを買い替える様子を「脱皮の時期」と表現していた。

私が家の中を片付けることも「脱皮」なのだろう。

目の前から消えたものは、いつか記憶からも消える。せっかくなので、文字で残すことにする。

第一段階

最初は,自宅で看護するために購入したものを処分。

それ以降は,ここ2,3年ほど,家の片付けが後回しになっていたために捨てていなかった物。心境の変化でいらなく思えるようになったもの。オットに処分するのを反対されたため捨てられなかった物たち。そしてオットが誰かや何かを懐かしむために保管していたが、私は同じように懐かしむことができない物。

大人用おむつ 義母の老人ホームへ寄付。

しびん あっという間に容態が変化し,歩けなくなった翌日にはおむつ生活だったので,新品のままだった。

身体拭きシート 自分が体を拭いたり,お掃除に使ったり。

私の服 これが物量では一番多い。随時不要な服は処分していたけれど、本当に着て喜びを感じる服以外は着たくなくなった。なんとなく着ていた服たちとはさようなら。

ポールハンガー 前から処分予定だった。

電気スタンド2つ

ふとん,マットレス

座椅子

こたつ板 オットの叔父が職人になって初めて作ったもの。まだ若くして亡くなった叔父の形見。うちにこたつはないけれど,こたつ板だけあった。新婚当初はじゅうたんに直置きしてテーブル代わりにしていた。

オットが定期購読していた雑誌 オットの仕事の資料と雑誌が混在していたので,雑誌だけを抜き取った。郵送時の袋に入ったままのものは袋から取り出して。かなりの量で,これを処分するだけでオットの資料の箱が半分減った。

5万分の1の地図 図書館で最新の地図を購入したため不要になって処分されたものをもらってきていた。地図を眺めるのが好きなオットが,老後の楽しみに保管していた。何枚あったのだろうか,重ねたら30センチくらいの高さになっただろう。

オットの下着 オットは服を処分しない人だったので30年前のセーターも着ていた。肌に触れたものは、気持ちが残っていてすぐに処分する気にはなれない。しかし衣装ケースを1つ空けたかったので,とりあえず下着類を整理。新品は実家へ,靴下は息子へ。

プリンタ 大学生の娘はオンライン授業を受けるため,多くの資料をプリントするので,両面印刷できるものに買い替えた。

電話 たまたま壊れた。

クリスマス用品 子どもたちが小さい頃に保育園や学校などで作ったリースなどは、本人に残すものを選ばせて処分。クリスマス用に夫が買ったイルミネーションは一度しか使わなかったけど残した。クリスマスなんて興味がなさそうな人だったけど、子どもが小さい頃は精一杯にクリスマスを演出しようとしていたのだ。

第二段階

オットの本の処分をきっかけに,加速がついた。本の処分の話は別の記事にして書くつもり。

オットの趣味のビデオテープ その趣味の人には貴重な内容で,DVDに変換することも考えたが,たぶん見ないな,と思い切って処分。

ハムスターのかご 結婚前に私が飼っていた。2つ持っていたので小さい方を処分。

5年以上前の年賀状 箱にしまい込んで,存在すら忘れていた。ついでに年賀状作りのためにスタンプも処分。

絵葉書 絵葉書が靴箱くらいの箱1つ分あった。保存するもの,使う物に分別。あまり気に入らない絵柄は処分。

オットの靴,登山靴 普段用の靴と登山靴はさようなら。冠婚葬祭用の靴は息子に譲るか,寄付する予定。 

なべ 使う物だけを厳選して残した。

誕生日ケーキ用のろうそく ケーキ屋さんでサービスでつけてくれるもの。1回使った後も保管していたが,再び使うことはなかった。

旅行用シャンプー オットが入院した時に買ったもの。私が使い切った。

歯間ブラシ オットが使っていた。義母へ譲った。

水筒 1リットル入る大きな水筒は,子どもが保育園の頃,運動会に義父母や実家の両親を招いてお弁当を食べたときにお茶を入れて持って行った思い出の品。大勢を引き連れて外に出かける機会がなさそうだし,もしあったとしても各自に水筒を持たせればいいので,処分。

キャンプ用品 修学旅行で使った大型リュックサックや雨具と、コッフェル,コンロ、飯盒。コッフェルとコンロはオットが使っていたものだが,コッフェルは金属製なので食事の時に熱くなって持ちづらい。コンロは今どきのオシャレなキャンプ用品でなく,オットが若い頃に使ったものと同じ型。使い方が難しく,私には使いこなせないので処分。

タッパー

電動バリカン 息子が小さい頃はこれで髪を切った。オットが抗がん剤を始めた頃に丸坊主にしたのもこのバリカン。中学生の息子は美容院に行き始め,もう母ちゃん床屋をすることもないので,処分。

散髪バサミ,髪漉きハサミ 散髪バサミは新しいものがあるため。髪漉きハサミはオットの眉毛用だった。

電気カミソリ オットは普段は剃刀でひげを剃っていた。オットの初めての入院で必要になり,慌てて近所の電気屋で買った。亡くなる半年前に2代目の電気カミソリを買い,今は息子が使っている。

バスタオル用ハンガー オットがいた頃はバスタオルを使っていた。最近は浴用タオルで体も拭くので不要。

ブーツ用スタンド ロングブーツはしばらく履いていないので。

大鍋,フライパン,電気ケトル noteで知ったフリースクールさんへ寄付。

洗濯機 買った当初から脱水の途中で止まるので、我が家で「半自動洗濯機」と呼んでいた。消費税増税前に買い替えたかったが,オットにまだ使えると反対された。最近は止まる頻度が多くなったので、買い替え。止まらずに洗濯が終わるという当たり前のことに感動。ここ半年は私が洗濯していたのだから,もっと早い時期に買い替えを主張していてもよかったのに,なぜそうしなかったのか。

私の長靴 膝下まである下手するとゴム長靴のように見える長靴を処分。暴風雨のときは足元がずぶ濡れになってもいいと割り切った。

本の処分や、片付けてどうなったかは、後日書く予定。




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