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日体大がプロへ好投手を輩出する理由 書籍の仕事まとめ#11 辻孟彦さん著『エース育成の新常識』

日本体育大学は近年、毎年のようにプロへ好投手を輩出しています。

本書では、日体大の辻孟彦コーチが指導法と練習への考え方、練習メニューを具体的に明かしています。


好投手を輩出するコーチング


日体大からは、2018年に松本航投手(埼玉西武ライオンズ・ドラフト1位)と東妻勇輔投手(千葉ロッテマリーンズ・ドラフト2位)、
2019年には吉田大喜投手(東京ヤクルトスワローズ・ドラフト2位)、
2020年に森博人投手(中日ドラゴンズ・ドラフト2位)、
2022年に矢澤宏太投手(北海道日本ハム・ドラフト1位)と、好投手がプロへ進んでいます。

また、2018年には日体大を卒業後、新日鐵住金鹿島へ進んでいた大貫晋一投手が横浜DeNAからにドラフト3位指名を受け、入団しています。

日体大で投手コーチを務めるのは、辻孟彦氏。

日体大から中日ドラゴンズへ進み、2014年限りで現役を引退。2015年から日本体育大のコーチに就任し、投手を指導しています。

辻コーチは、「100人いれば、100様の指導法がある」と言います。

「コーチ」の語源は、「馬車」。選手を成長させ、目的地、つまり目標を達成できるように導くのが役割です。

1人に教えたことを100人に教える「1対100」のコーチングでは、それぞれを目標に導くことはできません。

「(1対1)×100」のコーチング、つまり1対1の指導を100人にしなければならない、ということです。


指導者の言葉は重い


辻コーチは、選手を見ていて思ったことがあっても、すぐにアドバイスしないようにしているそうです。

なぜだと思いますか?

辻コーチの答えは、こうです。

「たった一言で、その選手の野球人生が大きく変わってしまうかもしれない。その場の思いつきで簡単にアドバイスできません」

その一言を言うために、じっと見守る。明日も見守る。来週も見守る。その間に、「何を、どう伝えるか」を考え抜く。

これが辻コーチのコーチング哲学です。


個性を育む土台として、基本がある


日体大では、指導陣は選手が4年間で結果につながる個性を育むように、指導しています。

「守破離」という言葉をご存知でしょうか?

基本を守ってから、基本を破る。そして、基本にとらわれず、自分だけの新しいものをつくるーーという意味です。

つまり、個性を育むには、まず基本から。

日体大では、1、2年生のうちに「基本」が習得できるように、練習を重ねます。

まず、思いどおりに動く体をつくる。投球の基本動作を覚える。

そのうえで、自分の投球フォームを作り上げていくのです。


動作の基本をトレーニングで覚える


日体大の投手陣は、「専門的トレーニング」を積み重ねています。

これは、トレーニングの動作が投球の基本動作につながっているもの。

トレーニングをやっているうちに、自然と基本動作が身につきます。

言いかえれば、ボールを投げずに、投球動作を習得する練習です。

百聞は一見に如かず。

Amazonなどのサイトで試し読みできるものがありますので、ここで紹介します。

並進運動(捕手方向へ身体を移動させる動き)のなかで、骨盤の回転を抑えるためのトレーニングです。

手順のほか、注意点や悪い例が掲載されていて、とてもわかりやすい!


本書には、
・選手を成長させるコーチングの考え方
・選手を成長させる「専門的トレーニング」のメニュー(25種類)
などが書かれています。

そのほか、辻コーチ自身の経験談、プロへ進んだ教え子たちの大学時代についても明かされています。

指導者の方にも、選手のみなさんにも役立つ内容です。

ぜひ活用してください!

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