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火を灯したい

「世界は作る側が一番強い」と、鼓舞のように、言い訳のように話すことがある。

小さい頃から何かを作るのが好きで、何かを作る人になりたかった。
それと自分が混ざって、役者、という仕事に薄皮1枚を引っ掛けている。

最近、もやつくことが多い。
役者の仕事ができていないことも多いにあるし、年を重ねてアンパンマンの主題歌が脳内をエンドレスループしているということもある。

「何のために生まれて、何をして生きるのか」

パンの彼ですらわからないのに、石ころのような自身にわかるはずはない。


自分が腐っていた頃、それでも腐らせないような防腐剤として「自分はある程度真面目に頑張れる性質がある」、「自分は創作することが出来、それを大事に思える」というこの2点を持っていた。
今思うと対極だなと思う。
このスキル振りを間違えて?今いもしない並行世界の自分を羨ましがる時がある。

毎日仕事をして、寝て、ご飯を食べて、風呂に入って、仕事して、を繰り返す中で、ずっと解消されない思いが年々積もっている。
「自分で何か作りたい」
高校の時は脚本を書いて、何も疑問に思わず舞台に立って、大学の時は、これが正しいと思い込み舞台に立って、卒業して、仕事だからと背負いこみ舞台やカメラ前に立った。
だんだんどこかおかしくなっていたと気づいたのは、数年前で、私はおかしくなった自分に耐えられなかった。
タイミングがあって、心がしなない方法を見つけて、それを真っ当な道だと歩んできていた。

それでも捨てられなかった思いが、薄皮一枚となっている。

生きている気がしない。
しんではいないし、苦しんでいた頃よりはまともに生活をしている。仕事はある程度できる方だと思うし、自分なりの社会との関わり方を見つけてうまくやっていこうとしている。
が、数年前のひりつく、ぎりぎりな、熱に私は焦がれている。

もちろん、それが正解ではなかったと思う。もっと賢いやり方や、今でこそロジックとして、技術として理解できるようになったものはあると思う。
が、根本としてのあの熱がない自分に失望している。

いうて、技術だって、努力だって、熱以外の自分の武器すら研げていない今の自分は頭でっかちのゾンビであるのだが。
熱を取り戻すことを、どこかでずっと願っている。

そら、自分のことなので願っているだけでは何もなく、火種を作り、燃えやすい材を用意し、空気のよく通る形で薪をくべないといけない。
若い頃は勢いで燃やせたが、もう薪を準備する気力も、がむしゃらに火に息を拭き続ける力もない。「なぜ私は火を燃やし続けているのか」と疑問を持ってしまったから、薪を焚べる手を止め、その薪すら探さなくなった。
他の人の火があまりに熱くて眩しくて、私が燃やさなくても良いなとか思ったりした。
でも、あまりにも寒くて、自分の火がないと嫌なんだなと、今やっと気づいたかもしれない。

私は私を暖めたい。
生を実感して、私は私のために生きていると、自信を持って言いたい。

両親は歳老い、兄は社会と離れ、皆いつかいなくなるな、とか。
私はきっとこのまま一人で、最近は意味もなく寂しく虚しい。
人のために火を燃やすこともせず、自分の火もない。寒い日々が続いていたのだとやっと気づいた。

むしゃくしゃしてこんな深夜に久方をnoteを開いたのは、あまりに感化されてしまった漫画を読んでしまったから。
「海が走るエンドロール」という65歳の夫を亡くした女性が、映画を撮る作品だ。

何にここまで感化されたかわからないが、心情表現が美しく、彼女が海に出ることを羨ましく思った。
波が、きた。から船に乗り、海にでた。

私もきっと海に挑みたかったのだなあ、と。本当にくそで嫌なのだが、今私は浅瀬で海を眺め、たまに片足を突っ込んで海と繋がっていると思い込み安心させていてる。
最近は海が眩しくで、「自分陸の生き物だし海とかあってなかったんだわ」とか言い訳がましく思ってたかもしれない。

一巻を読んで、うわっとなって、これは今読まないといけないものだと思って、最新刊まで読んで、心が溢れて、今noteを書かないといけないと思った。
感化されやすい自分が馬鹿らしくも誇りに思えた。

すっごく支離滅裂で、お得意の自分語りも多めに味付けされたが、自分の中で腑に落ちた、ものがあった。

私は、もう苦しい思いはしたくない、けど、創作で苦しみたい。
矛盾しているし、何を生意気なことを、と思うのだが、自分の火を灯し続けていないと、体温が保てないんだなと気づいた。
おそらく昔のように猪のように進むことはできない。が、今の私のやり方で、火を灯し続けたいと思った。
それなりにキツいことや、どうせまた数日経ったらゾンビになって思考を放棄し、熱を忘れようとするかもしれない。
けど、今、私が思ったことを記して残しておきたいと思った。

最近ずっと、モヤモヤしていた。
頑張りたいけど頑張れない。
何にも心を燃やせない。
こんな自分が許せない。
けど辛いことはもう嫌だ。

みたいな。

いかんせん、苦しまないとうまくいかない、みたいな変な呪いから最近解放された反動で、安定させたい思いが強くあったが、そこではある種苦しみたい思いがずっとあって、これからは気持ちよく苦しんで楽しみたいなと思ったりした。
役者の仕事でも。その他でも。

これ以上寒くて冷たいのは嫌だな。

なんか、それなりに生きてきて、「今?こういうこと気づく?は?」みたいな自分の鈍感さを愚かしく思う。が、残念なことに自分は生き続けてしまっているし、能動的に生きない予定はない。むしろ、ちゃんと生きたい思いのが強い。

熱の通った人間になりたい。社会にはあまり適合してないっぽいから魔女を目指していたけど、その前にゾンビを辞めたい。
明日から、ゾンビだったと自覚した自分は、もう少し強くなれると思う。
熱を持ちたい。今自分が持てる熱を。

火を灯して、自分を燃やし続けたい。

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