リンクワーズ雑記

この記事はペンパアドベント2021用に書かれています。

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はじめに

こんにちは。普段はsekkaというペンネームでニコリに作品を投稿しています。言葉系パズルがメイン(というかほぼそれしか掲載されない)なので私を知らない人も多いかもしれませんが、この記事が投稿される2021年12月10日で初めてニコリにパズルが掲載されてから2年となりました。今日発売の177号には掲載されてないのですが…

ありがたいことに、2021年9月に発売されたニコリで私の作ったリンクワーズが4回目の掲載となりました。なんと掲載枠がある号では4回連続です。もともとニコリ編集部内で作られたパズルらしく、最初は読者からの問題を募集しているというイメージがなかったのですが、投稿を受け付けていますという一文をネットで見つけ作ってみたところ今に至ります。

この記事です↓ 例題も記載あり

ニコリのパズルは読者がルールを考案して人気の出たものがレギュラー枠として生き残るパターンが多いですが、リンクワーズは「編集部が問題を発表し正式名称を読者公募と投票で決めそのままレギュラー枠に入った」という珍しいタイプのものとなっています。初登場が2019年9月なので、まだ2年ちょっとしか経っていないんですね。正式名称が決まったのは2020年6月でそこからはほぼ半年に1回掲載枠が与えられています。正式名称が決まった号で自作のリンクワーズが初掲載されたので、私がこのパズル制作を始めてから大体1年9ヶ月になると思います。

ほぼ私しかこのパズルの話題をしてない気がするのですが、だからこそ思ったことを書いてみます。

紙面のスペース取りすぎ問題

このパズルを作っていてよく感じることです。私はあまり大きいサイズの問題を作らないのですが、リンクワーズはどう作っても問題を表現するのに広めのスペースが必要になります。

リンクワーズはリストにある文字を使って3~6くらいの単語を当てることが目的のパズルです。3~6というのは今まで本誌に掲載された問題に限った場合です。紙面のスペースを考えると現状これくらいの単語数が標準的かと思います。単語2つの問題を作ることも可能ですが、簡単になりすぎて掲載されない気がします。

問題は、単語3つのシンプルな問題でも1ページの3分の1ほどのスペースが必要なんですよね。実質小サイズの問題は作れません。小サイズで表現するのが難しいと言った方がいいかもしれません。ルールや例題を載せるスペースを加えると、1ページに頑張っても2問しか掲載されません。6単語の問題でも同じです。

今まで作った問題(未掲載)では8単語を使ったものがあるのですが、手書き原稿を作ったところ問題の図、カギを書くのにそれぞれ1枚の紙が必要でした。原稿ではややゆとりを持って書いているということを考えても、これを実際の紙面に載せるなら1ページ使う必要がありそうです。

現在の問題形式だと単語の文字数を表す枠を図に表示していますが、これをなくせば少しはスペースが減るでしょうか。でもそれだと「太枠に同じ文字が入る」のようなカギが使えなくなりますね…解答を書くスペースも解き手的にはあったほうがいいでしょうし。

あと、単語の数以上にカギができてしまうのもスペースを取る原因かもしれません。例を挙げます。

まず単語がABCの3つである場合を考えましょう。この場合カギは①AとBに共通事項がある②BとCに共通事項がある③CとAに共通事項がある の3つですみます。これはシンプルです。

次に、6つの単語からなる問題を考えます。すると、理論上はこんな問題を作ることもできてしまいます。

画像1

緑の線を一つのカギと考えてください。6つの単語からなる問題に11個のカギがついてしまいました。これは極端な例ですが、リンクワーズは一つの単語から複数のカギが伸びている方が美しく見えるので(個人的感想)凝った問題を作ろうとするとどうしてもカギが増えてスペースを圧迫するのではと思います。

難易度の想定

ヤジリンとか言葉系じゃないパズルは、自作の問題を後から解きなおすと自分が作ったことを忘れるくらい新鮮に感じます。ナンバーリンクだと自分が作った問題が解けないこともあります。

それが、リンクワーズは言葉とカギを組んだ時点で答えを覚えてしまうので記憶をなくして解きなおすことができないんです。他の言葉系パズルや謎解きにも言えることですが…

正直、解き手がここをとっかかりにして単語を埋めてくれるはずというのが想像しづらいです。6単語程度の問題であればおてごろに収まるパターンが多いでしょうか。一般的でない言葉を使えば難易度はいくらでも上げられますがそれだと本誌に掲載されないでしょうし。3単語の問題や、1単語の文字数が3文字以下の問題だとらくらくになりやすい印象です。太枠に同じ文字が入るパターンを使っても難易度が下がりそうです。たいへんレベルの問題を作るのが一番難しいかもしれない。仮に今ストックしている8単語の問題が掲載されるとどうなるのかは気になるところです。文字リストが40字ほどになるのでおてごろではすまなそうですが…

あと、掲載にあたって編集部でカギの表現が易しいものに修正される傾向があるかもしれません。私の記憶が正しければ、「〇〇を使って」というカギが掲載時に「〇〇を熱すると」になってました。抽象的な表現にしすぎるとよくない可能性がありますね。

評価の基準

掲載枠そのものが少ないのでどんな問題が評価されるのかまだ手探り状態のリンクワーズ。一応4問は掲載されてるので、今までの傾向から評価される問題を作るポイントを考えてみます。前に別の記事で同じこと書いた気がするけど気にしない。

①同音異義語の使い方

リンクワーズが他の言葉系パズルと違う点は、同音異義語が使用可能というところにあります。言葉系パズルは基本、一つの問題に同じ単語は複数使えませんし「同じ単語が2つ以上できてはいけない」のが手筋になっているものもあります。

同音異義語を使うのは強制ではありませんが、やはり使えるルールとして活用した方が印象に残る問題になるのではと思います。1つの単語だけでもいいです。あと作問は難しくなりますが、一つの単語に3つ以上の意味を持たせるとよりすばらしくなりそうです。

同音異義語がない場合は、それ以外の部分で解き手を感心させるような仕組みが必要になってくると思います。どういう仕組みだと言われると難しいですが…

②カギのつながり

大半のパズルは盤面の形が決まっています。商業誌への掲載を狙うのであればサイズまで細かく規定されます。しかしリンクワーズは基本自由です。複数の単語を並べて線や矢印で単語同士の繋がりが表されていれば問題が成立します。

かと言ってどんな形でもいいとは思いません。個人的な考えですが、一つの単語からは二つ以上のカギが発生するのが理想かと思います。三つ以上だとさらに美しくなりますが、先述の通りカギの増やしすぎは問題のスペースを増やしすぎるという問題が発生するのでバランスが大事です。1ページの3分の1におさまりそうな大きさの問題であれば現状大丈夫だと思います。大きな問題を載せてくれるかは今後の編集部の判断になるでしょうね。

ちなみに今回の特集の掲載を狙って8単語の問題を送ったら没になりました。やや知識が要求されるカギがあったこと、図が複雑すぎたのが原因だと思ってます。仮に載ったとして1ページで表現できていたかも怪しいです。凝りすぎはやめましょう。

リンクワーズの今後

ニコリに継続して掲載されるパズルは人気の高いものばかりです。現在レギュラー化しているパズルは、読者の投稿作品が多かったり巻末はがきのアンケートで人気があると判断された上で掲載されていると思います。

私は一読者なので何とも言えませんが、今後リンクワーズがいつまで掲載され続けるのかちょっと心配です。4号連続で掲載されるのは喜ばしいことですが、逆に言うとそれだけ競争率が低いと考えることもできます。実際Twitterでリンクワーズと検索してもほぼ私のツイートしか出てきません。ネットと本誌では人気のあるパズルや問題の傾向が違うので、ネットの反応だけを見て人気がないと判断することはできませんが…読者人気に至っては巻末はがきを読む編集部の人しか知らないのでどれだけ人気のあるパズルなのかは本当に謎です。

…と心配してたのですが、10月に発売された数独と推理パズルの雑誌にリンクワーズが3問掲載されているようです。本を持ってないですごめんなさい。でも掲載誌をもらってないので私以外の人が問題を作ってるはずです。この雑誌は今までのニコリ本と趣向が違っていて懸賞パズルがメインとなっているようです。数独や推理パズルをメインにしていることからも、普段ニコリのパズルに触れない層、例えば新聞や雑誌のパズルは解けるけどスリザーリンクなどは盤面を見ただけで拒否反応を示すような人を対象にしているのではないかと思います。

そのような雑誌の掲載パズルにチョイスされたということは、リンクワーズは普段パズルを解かない人にも安心して勧められるパズルだと編集部も感じている可能性があります。実際、同音異義語ルールを除いては説明の必要性がいらないのではと思うほどシンプルなルールですしパズルというよりはひらめきクイズに近いものがあります。

さいごに

いずれにせよ、リンクワーズはまだまだできることがたくさんあると思っています。176号用に投稿して採用されなかった問題では新たな手法を使っていて(知らないだけで既出ネタという可能性もありますが)これがルール上ありなら問題の幅がさらに広がるはずです。自分ではOKと思って投稿したのですが編集部的にはだめかもしれないので、ここはもう少し様子見ですね。

とりあえず、半年に1回、いやもう少し少なくても文句は言わないので掲載枠は残してください!ニコリ本誌じゃなくてもいいので!そのためにも誰か問題を作るか巻末ハガキに「リンクワーズ解きたいです」って書いてくれるといいな。

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