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テレビ屋気取り #55 テレビを見る人と見ない人


先日、幼い頃からの友人とドライブに行きました。
道中の車内では最近見たドラマの話や、昔懐かしいテレビの話で盛り上がりました。

ドライブの目的だった某県の某ハンバーグレストランで食事をしている時に、友人がふと口にした言葉が頭から離れません。

「さすがやな、頭がいい人は…」

後半部分を覚えていませんが、友人から見て私はどうやら”頭がいい人”らしく、私を含めた”頭がいい人”とはテレビをはじめとしたエンタメの話で盛り上がることができるという趣旨だったようです。

友人が大学の授業で「お互いのいいところを10個言い合う」場面があったみたいで、ここでピンときた方は素晴らしいですが、「ハコヅメ」の”メンタルヘルス研修”をマネして、
「髪きれ〜い」(cv.永野芽郁)
と相手の女子大生に言ったものの全く通じなかったみたいです。

それがよほどショックだったのか、私と話していて「髪きれ〜い」が通じた時にはすごく嬉しかったみたいで、思わず「さすがやな」と言ってしまったのかもしれません。

今回はこれをヒントに書いていきたいと思います。




頭を使うコンテンツが増えた


このテーマについては、もしかしたら以前にも書いたことがあるかもしれません。

昔見ていたテレビは、「何がおもしろいかはよくわからないけど笑ってしまう」ものが多かった気がしますが、最近は何が面白いのかを考えてみないといけない番組が増えてきたような気がします。

もちろん私自身が年齢を重ねて、さらには分析的な視点を持って物事を見るようになったことも要因ではあると思いますが、ゴールデンのバラエティも深夜帯のバラエティも、ただただずっと笑いながら見ていられる番組が少ないように思います。

じゃあどういうところに頭を使う要素が増えたのか、それを考えていきたいと思います。



派手さと独特のノリが足りない


この半年くらい、これまで全く興味を示してこなかったユーチューバーの動画を意識して見るようにしてきました。

というのも、3歳年下の妹はテレビ番組を一切見ずに、リビングの55インチのテレビでYouTubeばかり見ています。

彼女の今1番好きなユーチューバーは、コムドット です。

「地元ノリを全国へ」というスローガンを掲げて活動する5人組です。

正直こういうノリは苦手な私ですが、動画を見ていくとそこに強い信念が感じられ、若い世代が応援したくなるのもわかる気がします。

チャンネル登録者数は結成3周年を迎えた2021年10月時点で約242万人。
特に100万人到達から200万人達成までのスピードは異常で、2021年内に300万人に到達することを目標に掲げています。

各メンバーのキャラクターや動画の企画、動画外での言動など、何でも丸く収めようとするこの世の中らしからぬ派手さが若者たちに刺さっているのではないかと思います。

昔ほどお金がかけられなくなったテレビも、セットや仕掛けの派手さは出しにくくなってきたかもしれませんが、YouTubeの動画が視聴者にとって当たり前になっている今、テレビでは考えられないようなエフェクトやCGを多用した編集の仕方によって派手さを演出するのも良いかもしれません。

変な煽りやアバンのVはやめましょう(笑)


テレビはマスメディアである以上、誰もが理解できるような面白さでなければなりません。だから、特に芸人さんは自分たちのファンしかわからないようなノリは避けるようにしています。

考え方としては正しいと思いますが、それで面白さが減っているとしたらもったいない気がします。

オードリーファンとしては、ビビる大木さんがオードリーの二人に握手をさせたり、若林さんを「ゲンゼイ」、春日さんを「アバトゥース」という完全な内輪ノリが好きなので、中京テレビの24時間テレビでしかそのくだりが見られないのが残念で仕方ありません。

”ノリ”とは少し違う観点ですが、この「テレビ屋気取り」でも取り上げた「あたらしいテレビ」や「田村淳のコンテンツHolic」みたいな”テレビのことを語り合うテレビ”も、テレビの考え方的には避けられますが、これからは必要ではないかと思います。裏方も表に出てテレビを盛り上げていく時代がすぐそこにきています。



テレビを見ない人に寄り添っていくべきか


こんなことを言ってしまっていいのかわかりませんが、テレビを見ない人は無視するしかないと思います。

テレビ以外のコンテンツが増えて、人によっていろいろな時間の過ごし方があると思います。それを無視して「テレビを見ろ!」と働きかけていくことは無理があります。

ただ、確信を持って言えるのは「テレビに触れていない人はいない」ということです。

バラエティは見なくても世の中のニュースをチェックしている人はいると思います。テレビのニュース番組を見なくとも、ネットのニュース記事をチェックする。その記事にはテレビで使われたニュース映像が埋め込まれています。

検索エンジンのトップに表示されるネットニュースは、芸能人や著名人のテレビでの発言が切り取られて載せられている。

YouTubeやSNSにテレビの一場面が切り取られて再生回数が伸びている。

テレビでテレビを見ていないだけであってテレビから人が離れてしまったわけではないと言えるのではないでしょうか。

テレビから離れかけている人たちをどう呼び戻すか。

今後親世代になっていく我々平成生まれの若者たちにとって、小学生の頃に夢中になってみていたテレビを思い出してもらい、子ども世代につなげていってもらうために、テレビを見なくなりかけている人に寄り添っていくべきだと思います。


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2021.10.03 作成

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