テレビ屋気取り #58 テレビと欲求
卒業論文を書かないといけないのに、全然進んでいません。
構想すら見えていません。毎週この「テレビ屋気取り」は意地で更新していますが、正直にいうと書きながら方向性を探っている感じです。
現時点で今回何について書こうかは全く決まっていません。
完全なる出遅れ
恥ずかしながら今頃になって「全裸監督」を見ました。
あらゆるサブスクに課金している中、なぜか契約していなかった「Netflix」に今更加入しまして…(正しくは家族が加入)
ずっと気になっていた「全裸監督」を見始めました。
感想は「ファンタスティック!」のひとことです。
「全裸監督」が流行っていた当時、芸人さんがマネする村西とおるのキャラクターが面白かったり、単純にエロいシーンが満載で、それで人気を集めているのだと思っていましたが、それだけではない面白さが詰まっているからこそ、あれだけの爆発的な盛り上がりになったのではないかと思いました。
村西とおるという人間の壮絶な人生に基づいたストーリーにのめり込んだり、もう一人の主人公と言っても過言ではない黒木香の変化、村西の周りの人間たちの思い、昭和から平成という時代に向かって目まぐるしく変化する日本の社会と裏社会など、見所がいろいろなところに散りばめられているからこそ、あれだけの話題を集めたのではないかと感じました。
今週のテーマ
そんな「全裸監督」に影響を受けて、今週は「欲求×テレビ」をテーマに書いていこうと思います。
人間の3大欲求は、日本では一般的に「睡眠欲」「食欲」「性欲」と言われています。
以前Twitterで、放送作家さん(誰だったかは忘れましたが)が「人間の欲求に沿ったテレビ番組を作っていくことが自然な考え方だと思う」というような発言をされていて、それがすごく印象的でした。
よくよく考えれば、「食欲」という観点は正しくテレビに現れていて、情報番組はもちろん、バラエティ番組にも食べ物ばかり出てきます。
最近私がハマっている早朝大喜利番組(ラヴィット!)も、毎日必ず食べ物が登場します。
それは人間の欲求に沿っていて、広告メディアのテレビとしてあるべき姿です。
「性欲」に関しても、ドラマのラブシーンなど、見方によっては「性欲」を満たす要素があると思います。
今でこそコンプライアンスが厳しくなりましたが、昔の深夜バラエティはエロ全開だったというのを伝説のように聞きます。
余談ですが、小学生の頃に祖母が「志村魂」を観に行った際のお土産として買ってきてくれたバカ殿様のDVDでは、殿様に仕えるお世話係の女性たちの乳首が普通に出ていました。もしかしたらこれがエロへの目覚め、黒木香的にいうと性の解放なのかもしれません。(冗談です)
話はそれましたが、「性欲」の部分を真正面から表現するのは今のテレビでは難しいと思います。その代わりに、ネットコンテンツとして配信されたり、Abemaではバラエティでもドラマでも、少し性教育要素も含めて扱われているコンテンツが増えたような気がします。
「睡眠欲」はどうやってテレビに?
「睡眠欲」をテレビに落とし込んでいる例はあるのか?
そう言われてもなかなか思い浮かびませんよね。
そこで、「テレビ 睡眠 テーマ」でググってみたところ、1番上にこんな番組がヒットしました。
誰もが抱えている“明日への不安”に向き合い、安心して眠れるようなトークや企画を、MCの宮藤官九郎と又吉直樹が出演者とともにゆる~くお送りします。視聴者からの「眠いいね!」ボタンがたまるまで番組は終わりません。
番組ホームページに書かれている番組概要からは内容が想像できませんが、「眠い」をテーマに月イチのペースで生放送をやっていることはよくわかりました。
「狭→広」へ幅のある番組を
「おやすみ日本 眠いいね!」の例を見てもわかるように、三大欲求のどれかをテーマにした番組というのは、テレビ番組としてはかなり狭いテーマを扱っていると思います。
ただ、この番組の過去の放送後記を見てみると、「眠い」にまつわる本の紹介や音楽の紹介、そこから派生してスタジオ生演奏など、いろいろな展開に持っていかれています。
私がよくここで取り上げている「キョコロヒー」という番組も、ダンストークバラエティと言いながら、ダンスについて取り上げているのはごく稀というか尺の割合的に少ないです。
このように、他の番組と差別化を図るために、企画の段階では狭く設定していても、レギュラー番組として毎週放送を続けていくには、いろいろな展開に持っていけるような広く扱えるテーマでなければなりません。
タイトルやコンセプトが違っていても、結果的にどことなく似通った番組が揃ってしまっている。
これが日本のテレビバラエティの現状です。
テレビに必要な新たな”欲”とは
テーマに戻ります。
今までのテレビを支えていたものとして「自己顕示欲」があると思います。
演者たちはテレビを通して自分という人間を表現し、それで人気を集めることに喜びを感じる人がこの世界に憧れを抱いてきたのではないでしょうか。
しかしどうでしょう。
今の若者たちはテレビ以外のフィールドでその「自己顕示欲」を満たすことができるため、正直テレビなんて眼中にないでしょう。
これは出る側だけでなく作る側としても一緒で、何かコンテンツを作って発信する場所はどうにでも確保できる時代です。
今の時代、世間の人たちはどういう欲求を持っていて、そこに合わせてテレビがどんなコンテンツを提供していけば良いのか。
マクロな視点で学術的に検討することが必要ではないかと感じる今日この頃です。
とりあえず、その時代を生きてきた父親に「全裸監督」を見せて、何を感じるのか聞いてみたいと思います。
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2021.10.24 作成
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