星空

「なんでこんなこともできないんだ!」
「友達の○○くんは出来てるじゃないの!」

僕は、毎日怒られる。
親にも、学校の先生にも。
自分なりに最前は尽くしてるはずだ。
たしかに、友達と比べてしまったらあれだし
中学2年生という年齢にしては、あまり勉強も運動もできてないけど。
さすがに言われすぎて慣れた反面、「そこまで言わなくてよくないか?」なんて思う日も徐々に増えていった。 
そんな僕がもうひとつ お叱りと共に言われ続ける言葉
それは

「変」。

最初は特に何も考えていなかったけれど、
叱られる度に言われる「変」の言葉の重みを
歳を重ねる度に感じはじめた。
「何を基準にしての『変』なのか?」
「『変』とはなんなんだろうか?」
ひたすら考えてみた。
自分の変な部分も考えてみたけど、
どちらも結論には至らなかった。
友達と喋ってる間に使う「変」は、互いが楽しめているなら 全然問題ないと思うが
何かが苦手な人や、出来ない人たちに向けて言う「変」は、そう簡単に言っていい言葉ではないんじゃないだろうか?
僕やその人たちだって頑張っていると思う。
簡単に言う人たちは、「普通」「変」の基準も分からず言いたくて言っているんじゃないか?
ずーっと考えていたら頭がいっぱいになって爆発しそうだったので、一旦僕は寝た。


次の日 僕は渋々学校へ。
美術の授業は 抽象的なイラストを描く、みたいなものだった。簡潔に言うと。
周りのせいで自分を失いそうになっていた僕は、「「今日ばかりは個性を表す」」そう決めた。

僕の今の気持ちのブルー、ぶっちゃけう○こみたいな周りを表現するために茶色
など 今の自分を足していった。
周りを見渡してみると みんな色鮮やか。
楽しく過ごせているのかな、とか考えつつ僕のイラストを見てみたら ドブのような色をしていた。
少し悲しくなりながらイラストを描き続けてみると美術の先生が来た
「なんだこの変な色!」
また変だよ、と思った。何度言われたことかね!
腹が立ったので、色々な色を足してみてはどうだ というアドバイスに対し頷き、その先生の怒りを表し黒い赤色を足してみた。いい眺めになった。

展示されても僕だけ茶色や青、赤、黒などが混ざりまくっていた
こんなの僕だけだ、周りはこんなに明るく個性が光っているのに、などと思ったものの
「個性を表す」と決めていたことを思い出し一旦僕の心の何かが鎮まった。
テストも返却されたがまたまた友達の半分以下で低く馬鹿にされる羽目に。
何かと自分に言い聞かせてきた僕も、だんだん自分が崩れてはじめていっていた。

家に帰っても「勉強したのか」「今何してるのか」みたいな質問ばっかでうんざり
「今日学校で何したの!」という質問に対して「うるさーい!」と答えていた小学生時代を思い出して そんなような質問も欲しいなぁ、と久々に思っちゃったり。 
 
んな事話してる間にまた叱られ、変と言われ。 

限界なんで、僕は「家出」を決意した。

明日は休日なので、のんびり過ごせるだろう と思い大きなリュックに家を出るための食料やお金やらを とりあえず三日分ぐらい詰めてみた。
タイミングを見計らっていたら、家族がちょうど寝たタイミングでいいな、と思いついたので
12時ぐらいに家を出てみた。
リュックは重いし、よその家も電気消されて暗いし 曇りだし
気持ちは良くないが、あんな環境にいるよりマシだと思った。

ずーっと歩いてみていると、どこか分からない森に来た。
生活にも歩きにも疲れた僕は一旦寝そべってみた。
空はいつの間にか晴れていた。
それと同時に、絵に描いたかのように 空一面がたくさんの星で溢れかえっていた。
僕のありのままの姿はここに詰まっている、そう感じたと同時に 涙が出てきたりもした。
日頃の疲れの涙?感動の涙?変が水滴となってでてきた?
僕にも、よく分からなかった。




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