犬の話  その2               ※虫が苦手な方は御遠慮ください

さて、家に着いた子犬はおとなしく抱かれたままだ。子どもの頃にも家に犬が居たけれど、世話をするのは始めてだ。子犬はもっとはしゃいだり走り回るものだと思っていた。記憶の中の子犬は鳴いたり走ったり飛びついたりじっとしていることはなかった。そして思い切り動き回った後は、スイッチが切れたように眠ってしまった。
知らないところに来て緊張しているのか、車に揺られて疲れたのか。とにかく手の掛からないおとなしい子だねと話していた。ご飯もあまり食べない。慣れるまで少し時間が掛かるかなと思った。
次の夫の休みの日に獣医さんに注射に連れて行くことになり、電話帳で近くの病院に電話したら、狂犬病の注射だけでなく、犬の伝染病の予防の為の混合ワクチン接種やフィラリア症予防も必要なことがわかった。毎年結構な出費になる。改めて大変だなと思った。
子犬は更に動かなくなった。見てみるとお尻から何やら出ている。驚いて引っ張り出すと小さな白いミミズみたいなものが動いている。
とにかくお医者さんに見せなくてはと焦って受診したら、寄生虫だった。
先生はあっさり、「あー、結構いるね。虫下しの薬を飲ませてください」と言った。
病院で処方された薬を飲ませるとすぐに薬が効いて大量の寄生虫が出てきた。
その途端、憑き物が落ちたならぬ腹の虫が落ちて食欲も出て、別犬のように動き回るようになった。顔つきまで違って見える。
子どもの頃に見たやんちゃな子犬が目の前を走り回っている。
結局お腹の虫が気持ち悪くて動けなかったんだねという結論になった。

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