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最後の猫

最後の猫のとらが旅立った。
もう犬も猫も居なくなってしまった。
願いを込めてたくさんのキャットフードを買ったばかりなのに。
もう長く一緒に居られないってわかってはいたけれど。
犬を飼っていた時の経験からあえて手術等の治療を選択しないで家に居たから体重も軽くなり、でも猫らしく軽やかにブロック塀や小屋根の上を歩いていたのに。
いつもはすぐに外に出てしまうのに足元に纏わりついて、ずっと小さな甘えた声で鳴いていた。
これはもういけないんだなと気づいたよ。

最後まで残ってくれてありがとう。
他の子がいる頃はいつも輪の一番外側で、触られるのも避けていた。すばしっこくて、ご飯を食べ終えると何処かへ行ってしまう。探すと一人で家の裏の竹藪に座っていたね。
他の子が旅立っても遠慮しているのかしばらくは距離があったけど、やっと撫でたり抱き上げても逃げなくなったと思っていたのに。
別れの気配を感じていたのかな。
介護で実家に帰っている間も心配だったけど大きな声で鳴いて出迎えてくれた。ご飯もたくさん食べられたからまだ大丈夫だって安心したのに。立ち上がれなくて支えたら勢いよくオシッコが出てジーパンが濡れたのも思い出になる。
待っていてくれたのね。帰宅してから二日目だもの。

もうみんなには会えたのかな。三兄弟のしろちゃん、くろちゃんとまた仲良く遊んでほしい。黒猫のお母ちゃんに会えたら約束通りに最後まで家で世話したけど十分なことをできなくてゴメンと伝えてほしいよ。仲の良かったモヘちゃんとも会えると良いな。

最期を看取った夜にラジオを聞いていたら、まさかの内容が流れて来た。
村山由佳さんの「眠れない貴女に」で猫を亡くした方のお便りを紹介した後に由佳さんが亡きもみじ様の話を泣きながらされていた。どうして今夜……。堪らない気持ちで泣きながら聴いていた。こういう巡り合わせもあるんだね。
今はまだ心の整理がつかないから、誰にも言えないけれど、こんな気持ちを遺して置きたくてここに書いています。

さようなら とらちゃん
もう「とらママ」は卒業だけど、もうしばらくは名乗らせていてね。
お盆にはみんなと一緒に帰っておいで、待っているよ。あ、新盆の時は一足先に帰るんだっけな。一人が心細かったらみんなと一緒に来ればいい。
また会おうね ありがとう。

令和5年5月28日  とら永眠 14歳8ヵ月

 肉球跡車体に小さき虹を見ゆ

追伸
お墓の中は窮屈に感じるかもしれないけれどみんなと仲良くしてください。
          

            令和5年5月31日

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