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2021年のデータを、さだぼー的にまとめて2022年の中央競馬を妄想してみよう!【種牡馬編】

はじめに


2021年も終わりましたね。皆さん成績はどうでしたか?私は若干マイナスになってしまいました。馬券はマイナスサムゲームなので、今年はプラスの人もいるとは思いますが、やればやるほど、賭ければ賭けるほど、統計学上「大数の法則」によって回収率は限りなく75%付近に寄って行きます。

さいころを振って出る目が、最初は偏りがあるものの、何百回、何千回と振るうちに目の出る確率が全て6分の1に限りなく近づくイメージです。ちなみにサイコロはゼロサムですね。

普通に競馬を楽しんでいるファンのように普通に賭けていれば絶対に負ける事になる馬券も、勝てるとは言いませんが、回収率を75%超にする負けない、いや負けにくい戦い方はあると思います。

走らせる側に立って競馬を考えれば、まずレースを絞れる、そして買い目を減らせる。「大数の法則」に立ち向かっていくうえでこれ以上のファクターはありません。

今回のテーマは、「今年のデータをまとめて、来年の競馬を妄想する!」

種牡馬、騎手、調教師、馬主、生産者など、あらゆる角度から、また人的錯綜という観点からデータを紐解いていきましょう。まずは種牡馬から。





2022年度社台SS種付け情報

   馬名      種付数2021 種付け料
1,エピファネイア   218頭  1,800万円(800万円↑)
2,ロードカナロア   155頭  1,500万円(ー)
3,キズナ       192頭  1,200万円(200万円↑)
4,コントレイル    NEW!  1,200万円 
5,サートゥルナーリア 205頭   700万円(100万円↑)
6,ドレフォン     172頭   700万円(400万円↑)
7,レイデオロ     170頭   700万円(100万円↑)
8,モーリス      146頭   700万円(100万円↓)



エピファネイヤ

社台スタリオンステーション2022年度種付け料を見ると、シンボリクリスエス×シーザリオのエピファネイヤが、初年度から牝馬三冠デアリングタクトを出し、次世代も2021年の競馬を席巻した現役最強馬と謳われるエフフォーリアを輩出、2019年産でも、サークルオブライフが阪神JFを勝っており、800万円UPの1,800万円でロードカナロアを抜いて1位に躍り出ている。

サンデーサイレンスの血が遠くなったことで、サンデーサイレンス系牝馬など幅広い配合が可能な種牡馬として期待されており、ジェンティルドンナ、アーモンドアイといった配合相手からも今後の社台の期待が伺える。



ロードカナロア

言わずもがな、名牝アーモンドアイを輩出した大種牡馬で、現役時は世界のスプリント界を席巻した。種付け数も2015年には日本最多種付け頭数を記録し、出生率や、勝ち上がり率も非常に高く、一時は2000万円という高額種牡馬となった。

上記は古いブログに書いていた記事だが、ロードカナロアを生産したケイアイファームとの共同ファンドで、余生株の配当金で社台はもちろん、ケイアイファームも相当儲けている事が分かる。

こうした社台の「種牡馬ビジネス」の背景には、社台にとっての商品である「種付け権利」を買ってくれる生産界は、大事なお客様であり、運命共同体でもあるのだ。

ゆえに、ノーザンファーム筆頭の社台側にとって、コントレイルやデアリングタクトのように、他のオーナーブリーダー達にも活躍の場を与える。そして、活躍した有力牡馬は社台SSに取り込んで共同ファンドに、また牝馬や、社台グループ以外のクラブ馬が活躍することで、さらに社台ブランドの種付け権は売れるし、社台が生産した馬もあらゆるクラブが買ってくれる。

いわゆる社台とその他の牧場は「持ちつ持たれつ」の運命共同体なのである。



コントレイル・キズナ

来年種牡馬デビューのコントレイルは、200万円UPのキズナと並び1,200万円に設定。ディープインパクト産駒の後継種牡馬として、この2頭は今後も伸びていくであろう。なにせ2頭ともに推定ではあるが社台が30口、ノースヒルズが15口を所有する高額ファンド商品なのだから。

上記の記事を見ればわかると思うが、種牡馬のシンジケートというのは、価値が上がれば上がるほど、60口以外の余生株の売り上げが所有口数に応じて配当される仕組みなので、今後、コントレイル産駒とキズナ産駒にとって、社台グループとノースヒルズは運命共同体であり、この2頭の価値を上げるためにがっちり手を組んでくるに違いない。

例えば、重要なレースで有望なコントレイル産駒の馬が出走する時、同じレースでノースヒルズの人気馬がいたとしても、決して負かしに来ることは無いという事。

どちらが勝った方がノースヒルズのビジネスにとってメリットが大きいか、感情よりも勘定を優先して考えるとおのずと答えは出る。大物馬主に生活を支えられている騎手など、何億、何百億のビジネスの前には所詮一つの駒に過ぎないのだ。




サートゥルナーリア

ロードカナロアの後継で、シーザリオ系のサートゥルナーリアは、エピファネイヤの安価版といったところか。ブリーダーズ・スタリオンステーションには、さらに安いリオンディーズもいる事から、重賞を勝つような大物と、平場で稼ぐ小物に分かれてくるだろう。




ドレフォン

米国からの輸入種牡馬は15年ぶりとなるドレフォン。スタートダッシュと二の足のスピードに定評があり、芝ダートを問わない短距離型のオールラウンダー。コンスタントに賞金を稼いでくれそうだ。2022年度は400万円UPの700万円に設定されたが、すでに満口となっているほど人気だ。クラシック路線中心の社台戦略の隙間を縫うカテゴリーでの活躍が期待できるため、小さな牧場や小規模なクラブ用の商品だろう。




レイデオロ

ディープインパクト牝馬との配合で血統的な注目度も高いレイデオロも、2021年はブエナビスタ、ラッキーライラックと交配されており期待は大きい。2021年のセレクトセール2日目では、上場した15頭がすべて落札され、5頭が億超えしており、ここも大物が出てくる予感がする。いずれエピファ
ネイヤやコントレイルとトップを争うようになるだろう。注目だ。




モーリス

安田記念、マイルCS、香港マイル、チャンピオンズマイルを制し、最優秀単距離馬の印象だが、下半期は中距離路線に転向して天皇賞・秋、香港カップを勝っている。あきらかに距離的に融通が利く種牡馬としてのアピールが成功した種牡馬だ。

3代父にサンデーサイレンスを持つモーリスは、「4×3」の奇跡の血量と言われるインブリードが発生するため、ロードカナロア級の可能性も大きい。ノーザン推しの種牡馬で優秀な牝馬と交配しているので、ロードカナロアと同じく、短距離でコンスタントに稼ぎ、そのうちアーモンドアイのような中距離系の大物が出てくるであろう。





まとめ

社台にとって種牡馬は大事な商品であり、毎年利益を生んでくれる大規模なファンド商品でもある。ディープインパクト、キングカメハメハ、シンボリクリスエス、デュラメンテなど、稼ぎ頭を失ったが、それらに代わる種牡馬はいくらでも作りだす事ができる。なぜならレースの、いや、日本の競馬界の絶対的な主導権は社台グループにあるからだ。

上記の記事で書いたが、コントレイルの種牡馬入りの際に、アイルランドの大手牧場クールモアと水面下で交渉していたノースヒルズが、社台側となかなか金銭面での折り合いがつかなかった時期がある。

コントレイルが3冠後にジャパンカップに出走を決めると、社台側は「誰のおかげで3冠取れたのかわかってるのか!」と言わんばかりにアーモンドアイをぶつけてきた。

4歳になってからも、社台側との交渉は決裂。結局大阪杯から宝塚記念に向かおうとしたところにクロノジェネシスをぶつけられてやもなく回避し、この年は全休する事となったのだ。

2021年の秋になってようやく、ノースヒルズは社台側との折り合いが付き、コントレイルは天皇賞からの復帰となる。社台スタリオンステーション入りが決まったという事は、すなわちコントレイルは社台との共同所有となったという事。

社台との共同所有となったコントレイルは、チャンピオンディスタンスと言われる秋天の2000mでは、エフフォーリアに屈した形になったが、長期休み明けというハンデもあった。

無敗の3冠馬コントレイルというディープインパクトの後継者を使ってまで、エフフォーリアの格上げをしてきた社台には恐れ入ったが、ビジネスライクに考えると、1頭の最強馬を作るより、2頭の種牡馬を作ることを選択した社台は、感情より勘定を優先し、ビジネスにおいて当然の事をしたと言えるだろう。

そして社台側が絵に描いたのはクラシックディスタンスである2,400mでの勝利だった。社台側はこの年のダービー馬、そしてキーファーズの協力でジャパンとブルームという世界で結果を出している馬を参戦させる事で、レースのレーティングを上げ、且つコントレイルの勝利の価値を上げてきたのだ。

この時の福永の涙の本当の訳を分かっているか?

騎手は一見華やかに見えるが、競馬界という権力者たちの思惑や、ビッグマネーがうごめく中では、一騎手など小さな駒に過ぎない。福永とてそれは同じで、デビューからお世話になっているノースヒルズと社台グループに挟まれ、全力で走ってはいけないレースもあったであろう。

しかし、ノースヒルズと社台グループの思惑が一致したジャパンカップにおいて、福永はそういったしがらみから解放され、1年ぶりにコントレイルを全力で走らせることができたのだ。

あの涙の本当の意味は、大人たちの事情で全力で走らせられないコントレイルへの申し訳ない気持ちと、しがらみだらけの競馬界において自分の位置や役割を叩きつけられた悔しい気持ちが入り混じった涙だったと私は思う。



次回は騎手、調教師編でもやりますか!
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