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「her」を観た

すっごくわかりやすいラブストーリーのヒット作がしばらく出ていない気がします。そういう、ど真ん中のラブストーリーの大ヒットって、「世界の中心で、愛をさけぶ」が最後じゃないですかね。もう10年以上たちました。

なぜなのかな?という話を、いろんな人としているのですが、やはり「恋愛に障害がなくなったから」という説がいちばん有力な気がしています。「世界の中心で〜」のときは、生死を分ける病気が障害でした。「ハムレット」のころは「身分の差」という大きな障害がありました。

身分の差もないし、連絡だってLINEですぐにつながることができる現代では、恋が燃え上がる理由が見つかりません。この時代に、ど真ん中のラブストーリーはどうやってつくったらいいんだろう?というのは、ここ数年、ずっと考えている課題のひとつです。

先日、映画「her」を観てきました。この作品は、人間の男性とコンピュータプログラムの女性(?)との恋愛ストーリーなのですが、めちゃくちゃおもしろい映画でした。主人公は、コンピュータの女性・サマンサに恋をしながら、機械と恋愛するなんて、と悩むわけで、まさにこの「現代における恋愛の障害」という課題をクリアしているのです。

スカーレット・ヨハンソンが演じるサマンサは、声と頭脳だけの存在なのですが、彼女の魅力がすごいのです。人間を超えた理解力と思いやりがすばらしく、観た人はみんな、彼の恋を納得するのではないかと思います。愛とはなんなのか、機械と人間はいかに共存するのか、なんていうテーマまで考えさせられてしまいます。

最近ずっと、ドワンゴの川上会長にインタビューをしています。川上さんの問題意識も「システムと人間の共存」だと思うのですが、現代の最大のテーマといってもいいだろうその問題と、恋愛という普遍的な人間のストーリーを、うまく重ねあわせてエンターテイメントに仕上げています。時代の転換点を見事に描いた、すばらしい作品だと思います。


※以下、 川上さんが関係ありそうな話をしているインタビューの回です。

人類が解決すべき根源的な問題を「ニコニコ宣言」に記した。
https://cakes.mu/posts/5677

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