30年越しの友達
noteでは、作家のあそうかもさんとNHKさんと連携して、「 #8月31日の夜に 」という投稿企画をやっています。
8月31日の夜は子供の自殺がいちばん増える時期なのだそうです。
くわしい企画趣旨はこちら
を見ていただくとして、ぼくも自分の「8月31日」を書いてみます。
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小学校のころのぼくは、とにかく、学校が大嫌いだった。
とにかく、細かなルールがイヤで仕方がなかった。なんでそんなにイヤだったのか、当時はうまく言葉にできなかったが、いまならできる。多くのルールが、子どものためではなく、先生のためにあるように感じたからだ(実態はともかく、当時のぼくはそう感じた)。
そして、他のみんなが、わりとおとなしくそれに従っているのもイヤだった。先生に従わずにいつも怒られているぼくは、いつもみんなに冷ややかな目で見られていた気がする(これも実態はともかくそう感じていた)。
ということで、学校では孤立することになる。
たのしく感じていたのは、家に帰ったあとに本やマンガを読んでいるときと、お年玉をためて買った8ビットのパソコンをいじっているときだけだったかもしれない。
当時のぼくの愛読誌に「マイコンBASICマガジン」という雑誌がある(略して「ベーマガ」と呼ぶ)。毎月、発売日に書店にダッシュして買っていたのだけれど、日本中のパソコン少年たちが、この雑誌を買って、プログラムを入力したり、つくったプログラムを投稿したりして遊んでいたのだ。
ただ、当時はパソコンを持っているというのは、恥ずかしいことだった。オタクっぽくてキモチワルイ、ヤバイやつということになるので、ひとには言えない。現代では信じがたいかもしれないが、最近読んだ「ミライのつくりかた」(GOROman著)という本にも「まるで隠れキリシタンだった」と書いてあったので、日本中でだいたいそんな感じだったんだと思う。
ぼくはいまIT業界にいるが、ときどきベーマガの読者だったひとと出会う。GOROmanさんもそうだし、ホリエモンも読者だったと言っていたし、聞いたことはないけどドワンゴの川上さんも読んでいたと思う。ときどきベーマガの話ができるひとに会うと、同士に出会った感じがしてすごく盛り上がる。
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ベーマガはだいぶ前に休刊したのだけれど、昨年、ベーマガの読者のつどい的なイベントが開催された。ぼくは速攻でネットで申し込んで、そのイベントに行ってきた。
場所は有楽町のよみうりホールだったのだけれど、会場について衝撃が走った。
古いパソコンで昔のゲームが動いている!!
古いベーマガがたくさん並んでいる!!
というのもうれしかったのだけど、なによりも、
おっさんばっかり!!!!!!!!
なのだ。もちろんそういう自分もなんだけど、40代〜50代のオタクな雰囲気のおっさんがロビーやホールにうごめいている。服の色もみんなめっちゃ地味!!! ほとんどみんなひとりできてるから、みんな無言で無表情なんだけど、でも、どことなくうれしそうにうろうろしている。
もちろんぼくも、その会場にひとりできていて、でもちょっと感動していた。こういうひとたちが、子供のころに全国で「隠れキリシタン」としてパソコンをやっていたんだ。そして、いまでも元気なんだ。40を過ぎてようやく、あのころ会えなかった友達に会えた気がした。
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当時といまの最大のちがいは、インターネットの有無だと思う。いまはどんなマイナーな趣味でも、仲間を探す方法がある。ぼくらの時代は、雑誌がその役割を果たしていたのだけど、ネットはもっとうまくその仕事をしてくれる。学校以外にも社会があって、友達を見つけることができるのは大事だ。
いまぼくが、小学生とか中学生だったらどうするかなあ。どう考えても、ネット、プログラミング、ゲームの3つだけをしている気がする。学校へは、行かなくなる可能性が高い気がするし、それでぜんぜんいいと思う。学校の役割は、友達ができることと、なにかを学ぶことの2つだと思うけど、それはネットでもすませることができるからだ。
いまぼくは、ネット上でコンテンツとひとをつなぐための仕事をしている。そのころしていたことといまの仕事、けっこうつながっているね。
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