チューニング

僕が初めて買った楽器はスネアだった。

高校生にドラムセットを買うお金はなく、必死でバイトしたお金でスネアを買った。

初めて買った楽器、嬉しくて練習場所に行っては、ひたすら叩く日々。

チューニングしてみようと思ってはみたものの、他の楽器のチューニング、つまり「調律」とは違い、基準も何もない、、、

とりあえず「自分の気持ちいいと思う音にしよう」

それが当時の僕の感覚だった。

ドラムを始めたばかりの頃は、もちろんそれで充分楽しかった。

でも、そこから音楽に本格的に興味を持ち始め、「これでいいのかな?」
という思いが強くなってきた。

レコーディングを初めて経験した時に、自分の音を聴いて
「何か違う、、、」
そんな思いが出てきた。

当時は今みたいにyoutubeで色んな映像が見れるような時代ではなく、
「どうしよう?」
と、モヤモヤした気分で過ごしていた。

そんなある日、村上ポンタさんのインタビューで、「チューニングがわかりたかったら、タム一つ持ってスタジオこもって、あらゆるヘッド試しまくるのよ!」
みたいな記事を見た。

頭をガツーンと殴られたような気分になった、、、

ドラムセットとなると、タムやバスドラのチューニングもあるのに、スネア一つすら追求できてない自分を、本当に情けなく思った。

「あれこれ考えず、とにかく自分でやってみよう!」
そう決意した。

当時、有名なレコーディングスタジオの入っている施設でバイトをしていて、音楽業界がバブルだった影響もあったのか、レコーディングで合わなかったという、少しだけ使ったヘッドを捨てておいてと言われる事が時々あった。

そんな時は決まって
「捨てるんだったら、もらっていいですか?」
と言うと、みんな快く、どうぞと言ってくれた。

若くてお金もない僕にとっては本当にラッキーな環境だった。

そのヘッドのストックがあったので、スナッピーや、ダイキャストフープのスネアだったので、プレスフープを楽器屋さんに買いに行った。(裏ヘッドのストックは無かったので、何種類か購入した。)

それを持って、はっきりとは覚えていないが、初日は10時間くらいはスタジオにこもっていたと思う。

表ヘッドだけ変えてみたり、裏ヘッドだけ変えてみたり、フープを変えてみたり、スナッピーを変えてみたり、色んな組み合わせを試すと本当に膨大な時間がかかる。

とにかく手探りで、途中わけがわからない感覚に陥ったり、混乱したりの繰り返し。

でも、そんな状態でも諦めずにやっていると、だんだんと、
「このヘッドはこんな音がするんだな」
とか、スナッピーやフープの持っている音も、”感覚として“わかってきた。

「だったら、この組み合わせ良くない?」
みたいな自分の感覚をたよりに、ハイピッチにしたり、ローピッチにしたり、表をハイにして裏を下げてみたりと、自分の思いつく事を三日くらいかけて全部やってみた。

そんな中、自分の中で、このスネアはこのチューニングが一番いいんじゃないか!とスッと腑に落ちるような感覚が降りてきた。

この三日間をきっかけに、色々とチューニングがわかっていき、もっと前からこういう事をやっておけば良かったと強く思ったのだった。

正しいチューニング法なんて存在しないし、とにかく自分で「うん!」と思えるまでやるしかない!

そのヒントをくれたポンタさんには今でも感謝しかない。

長文読んで頂きありがとうございます♪
この後、K's MUSICに入校し、チューニングや音作りに関して、さらに価値観を変えられる出来事があるのですが、それはまたの機会に書きたいと思います♪

ドラムスクール、K's MUSICのHPはこちらです→https://www.ks-music-drum.com

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