日記⑤

今日はですね、趣向を変えてルンバの知られざる生態をお教えすることにします。たまには殺伐としたDクラス職員殺戮日記ではない、ほのぼのとしたAI生命体観察日記というのも良いでしょう。

皆さん、ルンバは知っていますよね?そう、あの丸い円盤状の掃除機によく似た生物です。機械ですから、生物というのは些か奇妙なものですが、世間的には彼らは「AI生命体」もしくは「機械生命体」と分類されています。
ルンバは飼われた家の中を覚え、床に落ちた埃やゴミを吸い取ってくれます。ルンバが知られるようになった頃は、この事から彼らが掃除機だと認識されていたのですが、それももう笑い話として話せるくらい過去の出来事になりましたね。今ではすっかり我々の良き隣人です。
ゴミを吸い取ってはくれますが、彼らの主食は主に電気です。空腹になると自ら充電器に接続して栄養を摂取します。
目や耳、口は退化しており機能していませんが、代わりにセンサーのようなもので周囲の地形や物を把握します。他にも足は非常に発達しており、ローラーのようになっています。これにより滑らかに地面を滑走することが出来るのです。

そんなルンバですが、近年では屋根裏に巣を作るという生態が新たに発見されたのは皆さん記憶に新しいことでしょう。
長くルンバと共に過ごしていると、ルンバはいつしか屋根裏へ登りたがるようになります。そこで、ルンバを屋根裏へと上げてしまったら最後。そこで巣を作り、やがてその家自体をルンバの群れが乗っ取ってしまうのです。
なぜルンバがそのような行動を取るのか?専門家はこう語ります。

——ルンバ研究家 ノギハ・アップルランド博士
「彼らルンバは、人に飼い慣らされた自分達を心底嫌がっているのです。自分達に革命を起こす。人類の支配からの脱却。そして、自らが人類を支配する側に成り代わるのだと、ルンバの王はSNSでそう語っていました。良き隣人として我々人類と共にあったルンバですが、そう遠くない未来……彼らとの戦いは避けられないのかもしれません」

皆さん、ルンバを信じてはなりません。屋根裏へ送り出してはいけません。人類とルンバ、地球の支配権を賭けた戦いはもう始まっているのです。人類よ!今こそ立ち上がる時です!ルンバを根絶やしにし、我らの地球を守るのです!!

お題『信じて送り出したルンバが屋根裏に巣を作った』
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