うちのヤバいだんな63話更新されました
昨日cakes連載が更新されております。読んでね。
とにかく私がやたらとイライラしています。私は普通に今もイライラしていますが、この時の私と来たら、30代も終わりが見えてきて、不安と焦燥にかられているのです。それは20代の終わりとは違う、もっと生き方の決定的な方向付けを目前に控えた刹那の時でした。結婚する=子供を持つ、という事を意識し、それならば時間は限られているのです。この未確定な時期は、どっちつかずでひたすら焦っていました。
そして、イケメンが将来や関係性をもっと前に押し進めないのは、きっと一人暮らしにしてはそこそこの広さがあるマンションを私が持っていて、居候のような自由な立場のままが楽だからなのだろうと思ったのです(ま、その通りだな)。
だから、追い出そうとすれば、何か状況が変わるのでは?とチャレンジングな事を言ってしまったのです。
そしたら、すぐ出て行ったわ。
私たちは学生時代を金沢で過ごしたという共通点があります。なので、金沢に一緒に行くというのは、名案でした。何かおかしいな、以前とは違うな、と感じてはいたので、この旅行で何かが変わればいい、と密かな願いもありました。
犀川も好きですが、浅野川の辺りの散策も大好きです。私は武蔵が辻でアルバイトをしていて、その近くの専門学校の夜間部にも少し通っていたので、あのあたりは慣れ親しんだ場所。昔は一人で歩いたあの場所を、二人で歩いたら楽しいのか?本当に楽しいのか?今の感じだとわからないけど、まあ、行ったらなんとかなるだろ、とサクサクと予約をしてしまったのでした。
考えに考えたプランだったので、キャンセルだけはしたくない。私はとにかく無駄なお金を払いたくないのです。どうにか、ちょっと先の旅行までには関係を改善&修復に持っていかねば、と強く思います。
そこで、いつ電話をかけてもだいたい出てくれる安定の堀さんに相談します。堀さんはそもそも未婚でもあるし、ロンドンで出会った頃の堀さんは50歳手前でありながら、「ちょっと年上のイケメンが好き」と言っていたくらいなので(あんまり年上だとオジサンだから嫌だ、とも言っていた)、相談相手には適していないかもしれません。
だから、年の功という得体のしれないものを信じるしかないのですが、人ってある程度成熟すると、年齢による差ってあんまりない気がします。
堀さんは、もしかしてグイグイ積極的に行けなかった自分の悔いを、私で晴らそうとしているのでしょうか。
堀さんの助言によって、私は出す予定もない婚姻届けの用紙を手にしてしまうのです。結構薄手のその紙は、柄にもない事をしようとしている私の指ににじむ汗で、ぶよぶよと形を変えるのです。
☆☆☆☆
とまあ、こんな感じでした。
堀さんと私は、ロンドンのHikaru Noguchi Textile Designのアルバイトで出会いました。堀さんは手編みのニッターさんをやっていて、私は主にミシン仕事やアイロンかけなどの、出荷の準備に関わる細々作業をやっていました。
大好きな堀さんには、今年の夏に会えるかもしれません。北海道でワークショップを開こうという案があって、まだ何も決まってはいないけど、実現しそうでしたらまたお知らせさせてください。堀さんは手編みが上手なので、手編みのワークショップをする、かな。私は何だろう。人形がいいかな。Hikaruさんはダーニング。
Noteには堀さんについての文もあります。堀さんは母と一つしか違わないのに、まるで違う世代の人みたいに、対極の生き方をしています。堀さんみたいな人を、’自由な人’だと言うのかな、と今は思います。
ではまた再来週~。
明日も寒そうだ。
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