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兔と亀の頭比べ?(漢字解読-2)

 象形とされる文字達の中で「魚」と「亀」、「魚」と「角」、「象」と「兔」と「免[会意]」、「犭」と「豕」と「豸」と「象」、の各字の共通点と相違点を比べると、象形と言われる字も意味を持つ部首の複合字ではないかとの疑いが生じます。
 そこで特に象形とされる動物に関係する字達を強引に分解して共通な「ク」を取り出し、「ク:=動物」という意味を持つ部首と仮定します。この仮定が「動物に関係ない文字」でも通用するかを「危」と「欠」の文字に適用し検証しました。
 「危」は「ク+厄」と分解し、象形字とされる「欠」は「ク+人」に分解して再解釈します。一方「危」と「欠」を部首とする複合字の中でそれが分担する意味を取り出し(複数の意味がある時は.時間的に意味が繋がるよう並べる)ます。こうして取出した字の意味が、仮定した意味「ク:=動物」と合成した字の意味とが矛盾なく繋がるかを調べます。複合字の成り立ちの解釈を二段階にわたり確認することで基本部首の意味を確定しようとする手法です。


    上図で示したように「ク:=動物」は問題なく受け入れられ部首と言えそうです。従って象形とされる「魚」「亀」「兔」「象」「角」も部首に分解できる見通しが開けてきました。
    また、図から判明しますが「欠」の複合字を詳細に分解 しその使われている意味を検討することにより「欠:=動物的な人⇒口を開ける野性人⇒口を開ける⇒思考に欠ける⇒欠ける」のように部首の意味ばかりか部首の意味の変遷をも抽出できます。  

 参考までに『説文解字』の「欠」と「危」の解説を示します。両者とも会意文字とされていますが、「欠」は象形的解説で、「危」は構成する「㔾」が「卪」にすり替っています。
『欠』⇔‹会意› ⽓(=息)が「人」の上から出る形に象る
『危』⇔‹会意›高所に立って恐れる。「厃(=人が崖の上にいるさま)」から構成され、自ら「卪(=節制)」して止める。


 次に「田」に加わる線の付いてその意味を抽出する例を示しましょう。

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部首「由」の検討

 「由」は「上に動く⇒下から上へ⇒~から・~より」という意味を持っていることがその複合字から抽出できます。

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部首「甲」の検討

 「甲」の意味は「下に動く⇒上から下へ」という意味を持っていることがその複合字から抽出できます。ただし現在の意味は特定な「上の固い堅い具体的のもの⇒甲」に限定されています。

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部首「申」の検討

 「申」の意味は「上下に伸びる⇒上下に動く」という意味を持っていたことがその複合字から抽出できます。ただし現在の意味は特定な「上下に成長するヒトとサル」の内の「サル」の意味に限定されています。

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部首「母」の検討

 「由」「甲」「申」から類推を前提としてその複合字を観察すると「母」の字が「田とそれを貫く横棒」が原型であり何らかの理由で縦棒を二分していることが分かります。


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部首「田」の検討

 「由」「甲」「申」「母」の解析から「田」は成長や動きの原点であり、現在の意味とのつながりまでは不明ですが「誕生の原点」を意味したと考えられます。現在まで漢字の持つ指標字としては「丶」(例えば「刃」⇔刀+丶=刀その刃⇒刃)しか示されていませんが縦横の線が指標字の場合もあることが判明します。同じ「|」でも前回の「|:=棒」を意味する場合や今回の指事字「|:=上下方向」となる場合があり、両者を使い分けられており漢字の構成は更に深淵であることを示唆しています。


 ***本「NOTE」の投稿は漢字の解読を社会に開示すると共に、筆者の最新版として保存しようと考えており、新たな解字や解釈の変更により修正や追加を随時継続して行いますのでご了承ください。[2024.01.14]***




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