妹への手紙

香さんへ

あなたが亡くなった事がわかった日から1年がたちました。

司法解剖の結果は未だに出ていないけれど、死因がわかったところであなたはもう戻って来ないのよね。でも、亡くなった事がまだ信じられなくて、『街でバッタリ会ったら何て声をかけよう』なんて考える事があります。

この1年、あなたの住んでいた街を何ヶ所か訪れて、大好きな街で愛猫に見守られながら息を引き取ったあなたは『幸せだった』という事がわかりました。

この前、お母さんと『食事が取れないほど体調が悪いのに病院に行かなかったのは、まさかこんな事になるとはあなた自身も思ってなかったのだろう』という結論に至ったのだけれど、合ってる？今さらだけど、あなたともっと話したかった。もっとわかり合いたかった。

あなたは、子どもの頃からスタイルが良くて、美への意識が高いが故、たくさんの苦労をしたよね。

中学生の頃、見ず知らずの女の子があなたを家まで呼びに来て、その後、人気のない神社で集団で殴られた時、私は何もしてあげる事が出来なかった。それどころかいつも自分の考えを押し付けていて、私はある意味、あなたを理由もなく殴った人たちと同じことをしていたのかも知れません。本当にごめんなさい。

あなたと仲良くしたかったのに、どうすればいいのかわからなかった。お母さんの言葉を鵜呑みにせず、私の目で見て、私の心であなたの事を理解してあげれば良かったと反省しています。

私は、あなたの『死』から多くの事を学びました。『生きる』という事、『自分らしさ』、『今』を大切にする事…そして、猫の可愛さ笑

余談だけれど、私は黒い犬、あなたは白い猫を飼ってて、こんなところまで対照的なの！と、思っていたけれど、2匹とも愛称が「まーちゃん」なので、やっぱり私たちは姉妹なんだな…と思いました。

マフィンはとても賢い猫だよね。イタズラもせず、電車やタクシーの中でも大人しくしてくれるので、とても助かってます。いつもマイペースで、時々、私たち家族に笑いを提供してくれるマフィンの姿は、まるで『自分以外の何者かになる必要なんてないんだよ』と私に教えてくれているようです。

マフィンの話をすると止まらなくなるので続きはまた今度ね。

お母さんが夢に出て来て欲しいそうなので、そろそろ出てあげてください笑

姉より

最近、バスタブで寝る事にハマってます