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介護タクシー

母の転院の為に入院先の医療連携室が
提案してきた介護タクシーの利用
もちろん寝たきりで
酸素マスクをしているのだから
ストレッチャーで寝たままの搬送
素人ができることではないので
多少の費用が掛かっても仕方がない
病院に手配をお願いした
介護タクシーといっても
母は入院中なので医療保険適用中
だから介護保険は使えない
利用料はそのまま支払うことになる
領収証をもらっておけば申告して
医療費控除を受けられるのだけれども。
ただ今日突然
退院手続きと介護タクシーの同乗を
承諾していた夫が
当日朝の保育園のパートを
休めないのかと駄々をこねだした
もちろん休めるけれど
わたしは仕事が好きなので
有給も押し活以外とっていない
むかしは今と違って有休をとることが
勤労者の権利という考えはなかったので
わたしはその価値観を
引きずっているのだと思う
それと同時に休むと休み癖がついて
働くのをダルイと思ってしまうので
なるべく休まないというのは
自分の精神衛生の為でもある
で、夫がいうには
搬送中に母の容態が悪化して
吐いたりしたらどうするのだと、とのこと
おいおいそこかよ、と思った。
おとこの人は自分の身の始末も
あまりしないから
そういうこと汚いと思うんだろうな
洗濯とかおむつを替えるとかトイレの掃除とか
あっ、でも彼はリフォームの仕事してたから
トイレ詰まりとか手を突っ込んでしてたけど。
まぁ仕事とお金の発生しない
家事、身内の世話は違うのか。
わたしはたぶんそういうの全部できる
保育園でそういうこと毎日してるし
汚いと思うと何もかも汚いけど
汚くなってもあとで洗えば綺麗になる
手もからだも衣類も。
彼にはわたしの母のことで
面倒を掛けるのは悪いとは思うけれど
わたしはあえてそういうことを
少しだけ彼に任せている
なぜなら彼はわたしより10歳年上
順当に行けば次は彼のお世話をわたしがする
彼にはそれがどういううことか
みていてもらいたい
そしてなるべく健康に気を使って
お酒の量を減らしてもらいたい
言っても無駄だと思うので
病気になったらどういうことになるのか
きちんと今の母を看てもらいたい
彼はたぶん大人になってから
病気の人の様子をあまり見たことがない
看病したこともない
たぶん自分の母親だけ
それも和歌山と大阪だったから
入院先へのお見舞いとお葬式と
アパートの片づけくらいしか経験していない
だからわからない
わたしはこの20年
たくさんの身内、親戚、友人の
病気や死を経験した
たくさんの病院に行った
たくさんの施設に行った
認知症も車いすもがん告知も
あっというまに友達が儚くなった
緩和ケア病棟の静かな哀しみ
お通夜もお葬式もわかれ花も
町会の役員をしていたから
いっぱいいっぱい経験した
町会の役員になって初めての仕事が
小学1年生の女の子のお葬式の受付だった
お香典の計算をしながら
みなで泣きながら
女の子のお父様のお話を聞いた
今でも覚えている
病院のキーパーソンになるのも3回目だ
主人の母と奈良の叔母と実母と
経験に勝るものはない
経験しないほうがいいんだろうけど
20年前の主人の母の時と比べれば
今は大変だけれどでもずっとラクだ。
そう思える。


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