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[日常log]ぼろぼろになったお菓子の本

「この本のお菓子をつくりたい!」

9歳の娘がキラキラした眼で一冊の本を取り出した。

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もうぼろぼろになってしまった装丁。

そういえばこの本は2011年に元住吉の商店街の一角にあった本屋さんで買ったな、と思い出した。いまや9歳となり、慣れた手つきで小麦粉を軽量する彼女も、当時はまだ0歳だった。

わたしは、当時この本を買って帰るかちょっと迷ったのを、よく覚えている。新生児を抱っこして、他の買い物袋も抱えて、さらに本を買うのは自分の体力を大きく削ぐからだ。たいした厚みもない本なのに、ばかみたいに真剣に悩んだ気がする。

しかし、9年経ったいま、レシピ本は数あれどこれほど元がとれたものはないとつくづく思う。この本にあるものはほとんど全部つくった。つくってみたらものすごく簡素で、美味しくて、心がやすらいだのだ。

めくりすぎてもう本は二分割となり、見るも無残な状態となった。

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ページをめくると、ところどころにわたしのメモがある。

「25〜30分焼く」と書いてあるレシピの横に「35分がベスト」と書いてあったり、「朝食用なら砂糖小さじ2」とか書いてある。もう自分の好みの味や焼き加減まで把握してしまうほど、何度もつくったみたいだ。

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元住吉に住んでいたころ、わたしは不安だった。震災のあった2011年3月に生まれた新生児を抱え、正しい情報を追いかけるのにもたついた。「こういう記事を見て心配になって」と夫に言うと、「それってファクト?」と返された。ぎゃふん。

(当時24歳と26歳。双方浅はかだが、まあこんなもんである)

そのなかでも、この本でおやつをつくっている間は心がやすらいだ。バターを使わないおやつなので洗い物が少ないことにも大いに心がすくわれた。自分の手で何かを生み出すことに、ここまで心が癒やされるなんて思ってなかった。フルバの由希くんが植物を育てて自分の必要性を実感してたシーンが脳内に何度も回想される。

休校となり、在宅勤務になった。今わたしたちは家にいて、今も何かをこの手で生み出すことそのものに心癒されている。

(2020年4月13日まで10巻まで無料です。あ、今日か!)

サポートも嬉しいのですが、孤立しやすい若者(13-25歳)にむけて、セーフティネットと機会を届けている認定NPO法人D×P(ディーピー)に寄付していただけたら嬉しいです!寄付はこちらから↓ https://www.dreampossibility.com/supporter/