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【雨水の食養生】デトックスを意識して、胃腸も労わる


「二十四節気の食養生」シリーズ、
第2回目は「雨水」の頃のお話です。

最近眠たいし、体もだるい…
食欲がなかったり、
げっぷやため息も出やすい…といった方に。

今回のオリジナルレシピは、
まだ寒い日におすすめの薬膳粥です。

●この記事は、大部分を無料で読めます。
●最後、この時期におすすめの食材紹介や、監修の植木もも子さんオリジナルレシピは有料(300円)です。
●ご購入いただいた分は、監修者と分配するとともに、10%は食や子育てに関連する事業に寄付したいと思っています。

「おいしく楽しく賢く健康に」をモットー
おいしい料理を発信している薬膳の専門家
植木もも子さん監修

このシリーズについて、立ち上げ主旨や
監修者プロフィールにつきましては
まずはぜひ下の記事をご確認くださいますと幸いです🍀


🌈「雨水」の時期の薬膳について、
養生について、
もも子先生に伺います!

Q.最近眠いし、体がだるいのですが…
どこか悪いのでしょうか。


「春眠暁を覚えず」という句が
頭をよぎるわね。

春先のこの時期。
気候も変化しやすく不安定で、
心身に影響を及ぼしやすい時期
です。

春に活発に働く「臓」である「肝」が
正常に働かないと、
さまざまな不調が出てくるのよ。

頭が痛かったり、
重だるかったりもしているのでは?

「五臓」の中でも、
春に活発に働く「肝」の養生
そして、消化器系を司る「脾」の養生にも
気を配りましょうね。

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Q.ちょっと待ってください。
「五臓」がよくわからないのですが…


ひとつずつ説明しますね。

「五臓」の前に、
薬膳を作るときに必要な考え方のひとつ、
「五行」についてお伝えしないといけません。


「陰陽五行」
という言葉を聞いたことは
ありますか?


これは、中国古代の大切な哲学思想。


陰陽についてはまた次回以降でお伝えしますが、

「五臓」について説明するには
まずは「五行学説」について説明する必要があります。


「五行学説」とは、
自然のあらゆるものは
5つのパターンに分類され、
互いに影響し合っている
と考えられている哲学思想です。


その5つのパターンとは
「木・火・土・金・水」


「木・火・土・金・水」の5つの間には、
相手を助けて促進する「相生」関係と、
相手を抑制する「相剋」関係があります。

(↓監修者提供)

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天地万物は互いに作用しあい、
変化することによって構成される
と考えられている
のです。


そして、
五行(木・火・土・金・水)のそれぞれの
属性にもとづいて、臓腑や体の組織、味、
自然界のものなどを幅広く
関連づけています。


Q.五行思想かぁ…でもまだ「五臓」についてはイメージできませんね。


順番にね😊

春に活発に働く「臓」である「肝」は
五行の中では「木」のグループに入ります。

「五行配当表」と呼ばれる表の一部を
紹介しますね。(↓監修者提供)

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「五臓」の縦の列があるのがわかりますか?
見ると、
「肝・心・脾・肺・腎」とあります。
これが「五臓」

次に、横に、「木」の行を見てみましょう。
同じ行にあるものは、深い関連があるんですよ。

「肝」と同じ行に「目」がありますね。

春に活発に働く五臓は「肝」。
そして、前回の記事で説明しましたが、
「目」の不調は、「肝」の不調のサイン

この時期、
花粉などで「目がかゆい」といった場合は、
「肝」が正常に働いていないと
中国医学では考えています。 
※前回の記事も参考にしてくださいね。


Q.同じ行にあるものは、関連が深いんですね。
五臓の間でも互いに影響を与え合っているんですか?


理解が進んでいますね。

体の機能にも「五行」はあてはまり、
互いに影響を与え合っています。


五臓の間にも、
「相生関係」と「相剋関係」は
もちろんあるんですよ。


たとえば、
産後に「腎(泌尿器系、生殖器系)
の働きが弱まると、
心(循環器系、精神的なもの)」に影響して、
精神的に不安定になったり不安を感じやすくなったりする。
さらに、「」の不調が「肺(呼吸器系)」に影響して
呼吸器系がうまく働かなくなり、
呼吸が浅くなったりして、
「気(エネルギー)」を取り込みにくくなったりする。


また、たとえば、
春先に「」が正常な働きをしていないと、
」に影響して、
栄養や「気(エネルギー)」を取り込めなかったり、
消化が悪くなったり。
「食欲不振・腹痛・下痢・吐き気・胃痛・
疲れやすい・だるい」などの症状も
出ることがありますよ。
これらの症状は、ストレスがかかったときに
出てきやすくなります
ね。


「それぞれ影響し合っている」から、
どこか1か所を治療すればよいというわけではない
のです。


弱いところの働きを補ったりして
全体にバランスが取れた状態を目指すのが、
中国医学・薬膳の考え方。

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五行思想というものがあって、

「五臓」も互いに影響し合っている


、、、ということが
なんとなく頭に入ったら、
今の時期の養生について話を進めていきましょう。


Q. 今の時期にしたほうがよい養生について教えてください。


今は、冬から春への変わり目。

生命エネルギーを司る「」を大切にし、
無理なくゆっくり過ごすことが勧められていた
「冬の養生」


冬が終わりを迎え、春は芽吹きの季節。



になってきたら、自然界の流れに合わせ、
「陽の気(活動のエネルギー)」を
養い、
めぐらせて、
徐々に働かせていくことが大切になってきます。

必要なものは循環させて、
不要なものは排出させる。

つまり、デトックスですね。

自然界の流れに合わせず、
心も体も縮こまったままだと、
体内の巡りが滞り、さまざまな不調が
出てきてしまいます。


デトックスのために大切な
「臓」が、「肝」なのです。


「肝」は「」を巡らせて解毒を促し、
代謝を活発にするよう働きます。



春には、
その働きを助けるための食材をとったり、
生活を整えたりして、
「肝」の働きを助ける必要があるんですよ。


ちなみに、薬膳で言うところの「肝」は
解剖学的な「肝臓」とはまったく異なります。
「肝」は体内の代謝や解毒を司る概念として
イメージしてくださいね。

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Q.「肝」の働きを助ける食材を知りたいのですが。

食材については、
監修者オリジナルレシピとともに
最後に紹介しますね。

その前に。


よい食材をとっても、
栄養やエネルギーが適切に体に供給されないと
効果が出ませんよね。


消化吸収を司ったり、
吸収した栄養を「
(エネルギー)」や「血」に変える
「脾」の養生も
欠かせないんですよ。

これが、季節の変わり目に当たる
雨水の時期に必要なことです。


Q.「脾」と「肝」にはどんな関連があるのですか?

五行説において、「肝」と「脾」は
「相克関係」にあります。

あまり難しく考えず、
「肝」と「脾」は互いに影響を与え合っている
と思っていてくださいね。




具体的な「肝」の働きの一つして
まず説明したいのが、
「氣(元氣の氣。エネルギー)を巡らせる作用」です。

五臓六腑、その他、
すべての全身の機能を動かすのは
「氣」の「推動作用(推し進める作用)」によるもの。


つまり、「氣」が滞りなく巡ることで
「血」が全身を巡り、細胞に栄養を届け、
老廃物を回収し、
体内に不要なものが溜まらないように調整し、
体の健康を維持しているのです。


「肝」の働きが正常でなくなると、
「氣の巡り」が滞ってしまい

「肝」以外の「五臓」が強く影響を受けます


特に影響を受けやすいのが、
「脾(消化器系を司る)」。


消化器系が影響を受けると、
「食欲不振・腹痛・下痢・吐き気・胃痛・
疲れやすい・だるい」などの症状を発症します。
これらの症状はストレスを受けたときに発症するのが特徴です。


「脾」がダメージを受けると、
栄養がきちんと摂取できず、「氣」も養えず、
活動のためのエネルギーが不足し、
悪循環に陥ります。


消化を良いものをとったり、
「脾」の機能を高める食材をとるなどして、
悪循環に陥らないようにすることが大切ですよ。

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「氣の巡り」が滞ると、
以下の症状が出やすくなります。

① げっぷ、ため息、しゃっくり、吐き気などが出やすい

② イライラして怒りやすい、わけもなく不安感・恐怖感がわいてきて
コントロールできない

③ 頭頂部・目・耳・胸・脇・鼠径部・外生殖器・足の付け根、ふくらはぎなど(肝の経絡が通る)が張り、痛みあるいはけいれん、湿疹等の症状が出る

④ 顔色が青白いか青黒い


これらの症状は、感情の変化によって
出方に起伏があるのですが、
少しでも心当たりがある方は、
「肝」がお疲れ気味なのかもしれませんね。


Q.「肝」の働きを助け、「氣の巡り」を良くするには
どうしたらいいですか?


まず知っていただきたいのは、
「肝」はストレスに弱い ということ

ストレスがかかると「肝」の働きが悪くなり、
「氣の巡り」が滞ります。

逆に言えば、
「肝」はのびやかな状態が好きなのです。


「五行配当表」を思い出してみましょう。
「肝」は、「木」のグループに属していましたね。


木がのびのびと大きく枝葉を伸ばすように、
「肝」もそのような状態を好みます。



深呼吸をしたり、

ストレッチをしたり、

散歩したり、

気持ちが良いぐらいの運動をしたり。

急激な運動とか、無理はいけませんよ。


冬眠から出てきた熊は、
突然走り出すことはなく、まわりをうろうろと
歩いて徐々に体の運動機能を高めていくそうですね。

春先には、人も、まずはゆっくり散歩するぐらいの
運動がちょうどいい。

ゆっくり動く。

ゆるやかに伸ばす。

心をのびやかにする。



ゆるやかに、のびやかに
体内のエネルギーを活発に循環させる
イメージでいると、
活動のためのエネルギーが働き、
「肝」を助けることにつながりますよ。


…はい、まずは背伸びをして、深呼吸(笑)。


自然界の流れに合わせ、
徐々に意識を「外」に向けていきましょう。




次回は「啓蟄」の養生について。
「肝」には、まだまだ大切な働きがあります。
その他の働きについて、春の養生について、
広げていきます。

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まとめ

⭐「五行学説」とは、自然のあらゆるものは5つのパターンに分類され、
互いに影響し合っていると考えられている哲学思想のこと。

⭐「五臓」など、体の機能も5つのパターンに属し、
互いに影響し合っている。

⭐春になってきたら、自然界の流れに合わせ、
「陽の気(活動のエネルギー)」を養い、めぐらせて、
徐々に働かせていく。

⭐「肝」は「氣」を巡らせて排泄・解毒を促し、
代謝を活発にする。

⭐「肝」の働きが悪くなると、「脾」に悪影響を及ぼす。
消化のよいものをとったり、
胃腸機能を高める食材をとるなどして、
「氣」を養うことが大切。

⭐「肝」の働きが悪くなると、「氣」の巡りが滞る。
すると、さまざまな不調が出てくる。

⭐「氣」の巡りには運動が大切。

⭐「肝」はのびやかな状態が好き。
自然界の流れに合わせ、のびのび過ごす。

エスビー食品さんのnoteでも、冷えと「めぐり」を軸に
スパイスを使ったおいしいレシピをご提案されています♪


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このあとは有料です。

①活動に必要な「陽の気」を働かせる食材

②消化をよくし、「脾」をいたわる食材

③「肝」の働きを助ける食材

④まだ寒い日におすすめの、消化吸収を助けるレシピを1つ
(長芋、にら、えびなどを使います)

・・・といったことを紹介します

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