ツールドフランス2016 ステージ4

昨日のゴールスプリントも際どくて手に汗握るというより、呼吸を忘れるほど熱中したというのに、今日はさらに際どいスプリントを見ることができて、おもわず眠気も飛んでしましました。

平坦基調で長い距離のステージというのは観戦している人間にとっては、ちょっと単調だったりもするのですが、その退屈を覆すかのごとく、残り7kmを切る頃にはレースを安定するために逃がしていた逃げも集団は飲み込んでいき、ものすごいスピードでスプリンターたちが進んでいきます。
そして、今日も逃げを追いかけるきっかけを作ったのはトマ・ヴォクレールでした。やはり長いこと選手をしているとレース勘というものがあるのか、ヴォクレールが集団の先頭を仕切り始めると逃がさないぞ!という緊張感とともに集団の速度が上がっていくので、見ている方も背筋を伸ばしてしまいます。

いよいよゴール間近のフラムルージュ(残り1km地点を示すゲート)をくぐった時の集団の速さは目で追えないほどですが、そんな中でも懸命にゴールを目指してポジション取りをする選手たち。とても間なんてないような隙間をみつけては車輪で肩でねじこんでいき自分のラインを作り、あとはいつ飛び出すか機会を狙っている感じは、まさに狩りの瞬間とでもいうよな雄々しい空気まで感じます。

エースを運ぶトレインも見事だったエティックス・クイックステップのキッテルが早駆けをしてきっかけを作ってからは逃すか!とばかりにグライペルやクリストフなどの重量級のスプリンターたちが追い求めるところ、マイヨジョーヌを着ているサガンの後ろに隠れていたコカールがいつの間にやら早駆けしてロングスプリントに入っていたキッテルに並び、最後の最後まで一歩も譲らない二人の熱い熱いスプリントが!!!!
ほぼ同時にホイールを投げ出し、自分の体より先にゴールラインを割ることに全力を尽くすキッテルとコカール。
コカールはとても小さい選手なので(169cm/58kg)、前方からゴールを構えた映像では遅れて見えたくらいだけど、横から見たらほとんどどちらが先にねじこんだのかも分からない超際どい映像。
上からの映像も届いても本当に分からないもので、昨日も相当だったのに、今日はさらに分からないなんて!!と、正座しながら判定を待っていました。観戦している側でさえこんなギリギリした気持ちなのに、ゴールをした本人たちはさらに不安そうでしたが、「マルセル・キッテル!」とアナウンスが入った瞬間に雄叫びをあげるキッテルを見て、あぁ決まったんだなとホッとしたのものの、じゃぁコカールは?というと、地面にあぐらをかいて座り、呆然とした表情で地面をみつめていました。悔しいだけではない何かを感じさせる表情には胸を打つものがありました。
おそらくコカールとキッテルはほぼほぼ同時に前輪を前へと押しやったと思います。もしかしたらコカールの方がちょっと早かったかも?それでも敵わなかったなんて、まるで漫画みたいな展開!
判定で届いた画像には数cmなどというものでは表せないほどギリギリの差しかありませんでした。

負けたコカール選手はまだまだ24歳と若いので、これからガンガン勘を磨いてもらって、小さくても勝っているカヴェンディッシュや今大会には出場していないけれどブアニのような魅せる選手に成長してもらいたいなぁと思います。(小さい選手って、本当にどこから出てきた!?という独特のライン取りで勝ちをあげていくので、まるで魔法のように感じて個人的に好きなのです)

将来といえばサガンは子供たちに人気のようで、表彰台に上がると最前列の子供たちから「ピーター!ピーター!」と大声援を受けていましたよ。子供に人気のある選手がいるというのは未来を感じることができて、とても良い傾向だなと思います。なぜなら憧れの選手がいることで、そのスポーツは活気を帯びるような気がするからです。

今日のゴールでサガンは奇しくも4位ゴールとなりましたが、ポイント自体はカヴェンディッシュより上回ったようで、昨日奪われたポイント賞ジャージもきっちりゲット。
サガンの抜け目のなさに、アルカンシェルも伊達じゃないのだなと感じました。

明日は山岳ポイントがたくさんあるステージ。
いよいよ総合勢やステージを取りたいチームが動くと思うので、今からとても楽しみです!

今日のステージ勝利者:マルセル・キッテル/※EQS
マイヨ・ジョーヌ(総合):ペーター・サガン/※TNK
マイヨ・ヴェール(ポイント賞) :ペーター・サガン/※TNK
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(山岳賞) :ジャスパー・ストゥイヴェン/※TFS
マイヨ・ブラン(新人賞) :ジュリアン・アラフィリップ/※EQS
ドサール・ルージュ(敢闘賞)オリヴル・ナーセン/※IAM
※チーム名の省略表記です。
EQS→エティックス・クイックステップ
TNK→ティンコフ
IAM→イアム・サイクリング

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