ツールドフランス2016 ステージ13

とうとう個人タイムトライアル(以下TTと略します)の日がやってきました。
体内にターボが入っているか、バイクに仕掛けがあるんじゃないか?と無茶な疑惑をかけられまくっていたカンチェラーラの栄光の日々も影を潜め、走るたびに異次元異次元と言われ続けていたトニー・マルティンの走りも精彩をかいている昨今、いったい誰がこのTTを制するんだろうか、なんて思っていたら、異次元のドアを開ける人がやっぱり出て参りました!その名もトム・デュムランです!!
今年入ってからチーム自体に災難ばかりふりかかるジャイアントアルペシンを、ジロで勝ちマリアローザを引き寄せ一気に日の当たる場所へと連れ戻した立役者だったりします。(途中でマリアローザは奪われちゃったけれど、十分に快挙だったと思う)
今年のデュムランは一味違うぞ!
しかも今ツールでもすでにステージ9で最後のアタックと単独逃げが決まっての一勝ってのがあったので、今日のTTで2勝目だったりします。
なんだか今年は調子がいいぞ!

と、つい変なテンションになってしまうのは、タイムトライアルで強い強いと言われ続けたマルティンのタイムを1分近くも上回り、その圧倒的なタイム差で勝ちを引き寄せたことにあったりします。
横風がすごいレースで、選手が風にあおられて横に倒れそうになったり、コースアウトすれすれになったりするような日に、安定したフォームで風なんてないかのようにグイグイ進み、スプリンターでは速度が落ちてしまうような勾配8%の坂道も止まることなく実況をしているプロのアナウンサーにまで「早い!」とだけ言わしめる凄さ。これもしかしたらもしかするかもよ!?と言われるようなタイムが出る、ということはなかったけれど、それでも2位以下を引き離しての圧倒的な勝利はなかなかのものがありました。

また、デュムランの圧倒的な走りと同様に、昨日の不運を跳ね除けるようなフルームの走りもあっぱれなものがありました。TTはゴールするまでに2箇所計測ポイントがあるけれど、1箇所を抜けた時点では6位くらいでゴールしてくるのでは?と言われていたにも下変わらず、横風でフラフラになる区間も後半7kmの登りも乗り越えて、ゴールをしてきた時にはなんと2位のポジションにまで上がってきていたのだから驚きです。
今年のフルームは先日のダウンヒル、平坦、登りもある勝ち馬に乗った逃げ、そして昨日のアクシデント……と話題に事欠きません。(アクシデントで話題になってなって欲しくはありませんが……!)
そして表彰後のインタビューにて、今日のパリで起きた痛ましいテロで亡くなった犠牲者たちへの言葉も選手として、一人の人間として、そして世界を意識して「こんな日にレースだというけれど、こんな日だから走って気持ちを乗せていきたい」というようなことを言っているのを聞いた時には、彼は強いだけでない人格者なのだなぁと改めて感じたりしました。

あ、おとといまでジャージを着ていたティボー・ピノは気管支炎になってしまったとかでレースを去ってしまいました。フランスの期待の星だっただけに残念ですが、また次のレースで快挙を成し遂げられるのを楽しみに待っています。

今日のステージ勝利者:トム・デュムラン/※TGA
マイヨ・ジョーヌ(総合):クリス・フルーム/※SKY
マイヨ・ヴェール(ポイント賞) :ペーター・サガン/※TNK
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(山岳賞) :トーマス・デヘント/※LTS
マイヨ・ブラン(新人賞) :アダム・イエーツ/※OBE
ドサール・ルージュ(敢闘賞)トム・デュムラン/※TGA
※チーム名の省略表記です。
TGA→チーム・ジャイアント・アルペシン
SKY→チーム・スカイ
TNK→ティンコフ
LTS→ロット・ソウダル
OBE→オリカバイクエクスチェンジ

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