ツールドフランス2016 ステージ21

とうとうツールドフランスも最終日。
4勝ジャージは今日を走り切れば昨日の勝負で確定しているので、選手もかなりリラックスする日でもあり、ゆったり走るパレードランの間にはマイヨジョーヌのいるチームメイト同士で集まってベルギービールを飲むというシーンもありました。
毎年カメラパフォーマンスのために4勝ジャージの選手が横一列になってシャンパンを飲むところなどあったりするのですが、このチーム同士でビールをかけあったりするのを見るのは、なんだかこちらまで幸せになるので良い光景だなぁと思いました。そのビールをチームカーからチームメイトに配り走るマイヨジョーヌを着たフルームの姿も微笑ましかったです。あぁ、本当にいいエースで、いいチームの空気なのだなぁと伝わるいい映像でした。

そしてパレードランも終わるレーススタートの0km地点、レース開始の旗を振る人はいつもと違いツールドフランスの元チャンピオンで、引退後もフランスの自転車業界を牽引してきたレジェンド、ベルナール・イノーさんとあり、メモリアルなスタートとなりました。(イノーさんは今大会からツールとは関わらなくなるそうです。表彰式でのプレゼンターであり、表彰台に上がろうとするような無法者から選手や関係者を守るために乱闘まがいになる熱い人だったのに、残念です……孫との時間をこれからゆっくり取られますように)

最初はアタックも緩やかに、なかなか逃げなども決まらずパリ市内に入るまではまだまだレースという感じはなかったものの、いよいよシャンゼリゼに入り凱旋門が見えてくると選手たちの表情も引き締まり、いよいよツール最後のレースの火蓋が切って落とされました。
凱旋門を8回も周回するこのラストランはスプリンターを抱えるチームにとって、ポジション争いでもあり、戦略が見え隠れする最後の駆け引きなので、力くらべと言わんばかりにそれぞれのチームが前へ前へと良い位置を取り、エースを発車させるための陣形を整えていきます。

そんな中、なんと後半は山ばかりな上に、スケジュールが緊迫しているオリンピックもあるのでピュアスプリンターはすでに帰ってしまっていたりする中、マルセル・キッテルとブライアン・コカールは残っているというじゃないですか。
あの第4ステージの手に汗握るゴールスプリントをもう一度見られる!あの時は数ミリの差でコカールが負けてしまったけれど、今回はイケるかもよ!?なんて思っている間にキッテルの後輪がパンク。
ブチキレてホイールを投げ捨ててしまうほど冷静になれないキッテルはホイールを再装填しても、今度はディレイラーがうまく噛み合わないのか、なかなかすぐに全力の走りに戻らず、イライラの矛先をハンドルにぶつけていて、見ていてとても辛くなりました。今日はキッテルの日だと思っていたのにね……。チームメイトのトニー・マルティンも今日のステージの途中で膝の痛みを抱えてのリタイアでしたし、アシストもいない中で走っている姿はドンヨリとした気持ちになりましたよ。

そのうえキッテルと競いあったあのコカールもあと2周もすればゴールスプリントを残すのみというところでパンク。さすがに巻き返すには痛手な時間となり完全に失速。

そんなピュアスプリンターが2人もいなくなってしまったところ、こうなったらサガンかグライペルか?それともクリストフか?なんて思っていたところ、クリストフが先に仕掛け、その横を颯爽をかわしていくグライペルがおりました。
そしてそのままスピードが緩まることなく、真後ろから迫ってきたサガンをも下し、圧倒的な力技で吠えながらのゴールを見せつけてくれました!

グライペルはゴリラという愛称がありますが、今日はまさしくその言葉まんまのワイルドさがあってよかったですw

というわけで、とうとう今年もツールドフランスが終わってしまいました。
すぐにオリンピックがあり、そのあともブエルタ・エスパーニャが待っているというのに、どうにも寂しく感じてしまいますね。

また来年!ディッセンドルフスタートのツールドフランス2017でお会いいたしましょう。

今日のステージ勝利者:アンドレ・グライペル/※LTS
マイヨ・ジョーヌ(総合):クリス・フルーム/※SKY
マイヨ・ヴェール(ポイント賞) :ペーター・サガン/※TNK
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(山岳賞) :ラファル・マイカ/※TNK
マイヨ・ブラン(新人賞) :アダム・イエーツ/※OBE
ドサール・ルージュ(敢闘賞)ハリソン・パンタノ/※IAM
※チーム名の省略表記です。
LTS→ロット・ソウダル
SKY→チーム・スカイ
TNK→ティンコフ
OBE→オリカバイクエクスチェンジ
IAM→イアム・サイクリング

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