ツールドフランス2016 ステージ19

雨の日のダウンヒルほど恐ろしいものはありませんね……。
改めてそんなことを感じたステージでした。
濡れたコンクリートが摩擦力を失わせてグリップしないというのは、車に乗っていたりすると気づく現象ですけれど、自転車の細いタイヤでも同じことなんですよね。
そのうえ白線の上ってツルッツルなので水が浮いちゃって、なおさら滑りやすく、その滑りやすさときたら氷の上にいるみたいなんです。
そんなわけで、今日のステージはいたる所でツルンツルン滑り、コフィディスのエース、ナバーロは鎖骨らしき場所を怪我してリタイヤ、今日のステージこそフランス人が取るぞ!と意気込んでいたピエール・ローランもルイ・コスタと逃げていたのに滑って観戦しているお客さんのところまで滑っていき、ジャージの背中がズル剥けになってしまって、心が折れてしまったかのようにうなだれている姿は涙を誘うものがありました。
さらには下りが得意だというニバリもフルームが落車したのに巻き込まれてしまったり。

でも、落車したくらいで今年のフルームは崩れるわけないという妙な安心感のもと見ていたら、落車の影響で不調となったフルームの自転車を置いて、アシストのゲラント・トーマスから継いだ他人の自転車で爆走していき、あっという間に先頭集団に追いつき、自分用に調整されている自転車でなくてもこんな走りができるのかと観戦している人間の度肝を抜いていきました。

また、昨日の山岳TTで調子が悪いと囁かれていたキンタナもなんだかんだで走りをまとめてきて、総合3位に浮上してきてるし、やはり食えない選手だなぁと驚いたりしていたところ、このまま最終ステージまで守りきれるかな?なんて思われていたアダム・イエーツの総合2位から4位への転落は、こういうことがあるからツールは分からないな!という感じがしました。

それにしても先頭で逃げていたルイ・コスタに追いついたバルデの走りのかっこよさったら!追いついた後、そのままうまく2人で回し、集団がジワジワ迫って来ている中どうするのかなーって思っていたら、最後の登りで残りの力を振り絞ってのゴールですよ!最後なんかは勝利を感謝するような祈りのガッツポーズに心が洗われるかのようでした。

いよいよ明日の超級を含むステージを終えたら最終日のシャンゼリゼです。
明日の走りで総合のランキングはほぼほぼ決定なので、激闘に次ぐ激闘を楽しみにしています!

今日のステージ勝利者:ロメン・バルデ/※ALM
マイヨ・ジョーヌ(総合):クリス・フルーム/※SKY
マイヨ・ヴェール(ポイント賞) :ペーター・サガン/※TNK
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(山岳賞) :ラファル・マイカ/※TNK
ずっとラファエルだと思っていましたが、ラファルでした。ごめんなさい!
マイヨ・ブラン(新人賞) :アダム・イエーツ/※OBE
ドサール・ルージュ(敢闘賞)ルイ・コスタ/※LAM
※チーム名の省略表記です。
ALM→アージェードゥーゼール・ラ・モンディアル
SKY→チーム・スカイ
TNK→ティンコフ
OBE→オリカバイクエクスチェンジ
LAM→ランプレ・メリダ

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