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ジェンダーは「設定」でしかない

ワタシは子宮を持ち、子どもを3人産んだ「雌」であります。

ニンゲンは生物であり、生物として「雄」と「雌」があり、子どもを孕んで産むことができるのは「雌」だけです。

ワタシは、自分に備わった生物としての「雌」の生殖機能をどうしても使いたい。と、16歳の時から強く思って生きてきました。

何故ワタシがそのように思ってきたのか? ということの発端は、自分の「生理」が始まったのが16歳という「とても遅い始まり」だったから、ということが大きいです。

「子宮を持つ人」にとって、生理が始まるのは、エポックメイキングな出来事です(同時に「悪夢」の始まりです)。

自分の記憶では、16歳の時点で生理が始まっていないのはワタシ「だけ」でした。
周りの友だちもクラスメイトも、中学生の時には(早い子は小学生の時から)みんな生理が始まっていたし、可愛いポーチにナプキンを常備していました。

ワタシだけ。

ワタシだけが、高校に入るまで生理というものがなかった。

このことは、思春期に最も苦悩したことであります。

中学3年生になっても生理がこない。とは。

めちゃくちゃ悩みました。もしかすると、自分は生物として「雌」ではないのかもしれないという疑念ばかりが沸き起こりました。

図書館で医学書を読み漁り、「性別」とは何か?ということを調べたりもしました。
そんなことを考えたのも、それなりの「理由」がありました。

ワタシは、幼児期から小学4年生まで、ほぼ坊主に近いヘアスタイルで、一年中半ズボンを履き、草野球チームに所属していました。

昭和の時代によくいた「真冬に半ズボン」。
ワタシは男子ではなかったのですが、真冬にいつも半ズボンを履いているアレな子どもでした。
草野球チームでは、2番セカンドでした。

ピアノが弾けたので、草野球チームでは『ドカベン』の「殿馬」(注1)と呼ばれていました。2番セカンドの「殿馬」。

その草野球チームの中で、生物として「雌」なのはワタシひとりだけでした。

その当時は、そんなこと意識すらしていませんでした。
一人だけ「他とは性別が違う」なんて思ったことはありませんでした。
「他とは違う」なんて、野球仲間からも言われたことがなかったんです。

学校が終わったら、河原のグラウンドに集まって、暗くなるまでボールを追いかけて、千本ノック!とかなんとか言いながら野球に打ち込んでいました。

楽しかったんです。小学4年生までは。

「何かが違う」と思ったのは、小学5年生になって、クラス替えがあってからのこと。

「男子」はどうのこうのとか「女子」はどうのこうのとか、急にみんなが言うようになった。
「女子」が集まって「好きな男子」の話をするようになった。
その頃からどんどん「女子」と話が合わなくなっていったワタシ。

その頃のワタシは知らなかったんです。

小学校高学年ぐらいから「子宮を持つ人」たちの生理が始まり、定期的に「悪夢」を見るようになり、少しずつ「子ども時代」から卒業していくことを。

ワタシは生理が始まるのが人よりもだいぶ遅くて高校生になってからだったので、「子ども時代」がだいぶ長かった。

そのぶん「子ども時代」を引きずってここまで来ているのかもしれないな、と思う。

「雄」か「雌」かが未分化な子ども時代のほうが幸せだったな、とか思ったりもする。

更には、自分が子どもを産んで育ててみると、「雄」か「雌」かが未分化な思春期前の育児がいちばんダイナミックで面白かったりする。

陰嚢があるかないか、子宮があるかないか、という生物としての違いはあるけれど、それに付随して発生する「雄」の共通性や「雌」の共通性があるかどうかが疑問です。

「雄」はこうである。
「雌」はこうである。

そんなのないよね。孕むか孕まないかという肉体的な違い以外なんかあるんかいな、と。

ただですね。

ニンゲンの脳みそってのは他の生物とちょっと違ってて、ヘンテコでバグってるところがあって。
「雄」か「雌」か、以外に、「男」か「女」か、という「ジェンダー」なるものを作ってしまった。

この話がややこしいのはそこでして。

最近ちょいちょい耳にする「性的マイノリティ」という言葉。
これは「雄」か「雌」かの話ではなくて、「男」か「女」か、という話なのでとてもややこしい。

ただ、ワタシはどちらかというとチンパンジーよりのニンゲンなので、生物として「雄」か「雌」か、以外の「ジェンダー」なるものの必要性をあまり感じないんですよね。
そんなの人生というゲームの「設定」でしかないじゃんと。

だけど、社会には明らかに「ジェンダー」による不具合が生じている。「雌」に生まれたというだけで、医学部に入れなかった人、いましたよね。もう忘れちゃったかなみんな。これこそ「設定」のバグです。

そんな「設定」に人生を振り回されたくなくなくなくなくない?

注1.殿馬 一人(とのま かずと)は、漫画ドカベン』シリーズに登場する架空の人物。アニメ版の声優は肝付兼太、実写版の俳優は川谷拓三

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