見出し画像

渋峠ツーリングを終えて


渋峠に行ってきた。
正確には、横手山ドライブイン。

行きたかったのは、ここ。



行きに行ったら、こうだった。

画像1


見えなさ過ぎる。


目の前の道路を走る車も見えない。
怖くて駐車場を発進できないくらい。


諦めて、雲が切れるのを待ち
長野側に下った。


長野側は小布施。
行ってみたいお寺があった。

岩松院



葛飾北斎さんは
東京から240km離れたここ小布施まで
8日間かけて歩いて来たそうだ。

御年83歳。
平均寿命はその頃40だったそう。

なんとお元気だったことか。


わたしは美術は得意分野ではなく
あまり絵を見ることはないんだけど
ここの絵は見てみたいなと思っていた。

お寺の天井に描かれている鳳凰様は
八方を睨んでいるらしい。

鳳凰様を見上げて観たけれど
わたしの心の中を
じっと見透かしているようだった。

見守ってくれているような気もした。

見る方向によって
金箔の光り方が変わるという。

周りの人はだんだんいなくなる中
何度も向きを変えて見入ってしまった。

天井が中央に向かって
たわんで見えるのがとても不思議だった。

無事故のお守りを買った。


本当は月曜日も予定のない
土日もここしか空いてない
貴重な2泊3日だったんだけど
色々考えて土日で帰ることにした。


帰りのルートも色々考えたんだけど…

結局、同じルートをまた走ることにした。


横手山ドライブインには
今年の5月に初めて訪れた。

画像2


あの時は高速で体が冷えて
着いた時にはお腹が痛くて
何回もお手洗いに行ったなぁ。

泣きそうだった記憶しかない。


それが、noteのある記事がきっかけで
横手山スカイレーターというものを知り
どうしても行きたくなった。

雪の回廊を観るはずが
雪が溶けていてほとんどなかった時

ここ秋だったらどうなんだろう?

ってちらっと思ってた。
それもあった。


行きの草津から渋峠に向かう上りは
紅葉が盛りでこの世のものではないような
赤から黄色を経て緑に変わる木々が
トンネルのように連なっていた。

写真を撮れなかった。
撮ってもこの感動を伝えられない気がして。

自分の目で見てほしい。
なぜだろう。そう思った。

言葉の限界も感じた。


白根山あたりは
青空が広がっていて
硫黄の匂いが立ち込める中
岩肌の見える奇妙な色の切り立った山が
そびえ立っていたはずなのに
なぜか気づくと山の稜線が
視線と同じ高さにあって
それを超えて向こう側に行くという
不思議な経験をした。

前回は気づかなかったんだけど
何だろう。あの不思議な感じ。

山を一つ超えてるんだっていう実感。


その向こうはもやが立ち込めていて
あっという間に雲が押し寄せてきて
何も見えなくなってしまった。

まさに山の向こう側とこっち側。
世界が違うようだった。


帰り道。
長野側の早いタイミングで雲に突っ込んで

これが続くとヤバいな。

と富士山の経験から嫌な予感がしたけれど
雲を突き抜けたその後は
青空と眩しいくらいの陽の光が
さんさんと木々に降り注いで
紅葉した葉の色彩をより際立たせていた。


昨日との落差を思い
2日通う人はあまりいないだろうと悦に入り
ツーリングでも同じ道を往復することは
あまりないので
どうしても見たくて、また来たわたしに
神様はちゃんとご褒美をくれたんだと思った。


横手山スカイレーターに乗り
リフトもあってそれも乗ると
山はどんどん遠ざかって
遠方まで見下ろせるようになった。

気づいたのは
紅葉は近づいて見た方がいいこと

上ると全てが一体化して
紅葉も小さく色の一つにしか見えない。

画像3


帰りのリフトやスカイレーターで
近づくにつれて鮮やかに見える紅葉を
見ながらそう確信した。


この前、浅間山の向こうに
富士山が見えたんですよ。

そう教えてくれた人がいた。


そうか。
富士山が見えるのか。

どんなふうに見えるのかなぁ。
見たいなぁ。

ちょうど見えてる時に来るのは
難しいだろうなぁと思った。


昨日はずっと雲が切れませんでしたよ。

また来たことを告げたら
そう言われて
昨日は諦めてよかったと思った。


これがツアーだったら
こうはいかない。

明日はまた別の予定があるだろうから。


マスツーリングでも
こうはいかない。

みんなの意見も尊重しないといけないから
見えなかったからまた行きたいと言っても
我が儘になってしまうだろう。


だから、ソロツーリングが好き。

行きたいところに行きたい時に行って
いたいだけいられるから。


誰かと行く楽しさもあると思うけど
好きな道、好きな景色を追いかけて
好きなだけ好きな道を走る楽しさは
何物にも代え難いたまらなく大切なことだ。


今回はたくさんの人と手を振りあった。

昔はピースをしたけれど
手を振る方が断然嬉しい。

なぜだろう?
ソロで走っている人と
手を振りあえた時、特に嬉しい。

ヘルメットの中の笑顔まで見える感じ?
久しぶりの友だちに会ったみたいな嬉しさで。

向こうの手が思いっきり振られてて

お互いがんばろうね!

って気持ちが伝わってきて
疲れが吹き飛び、心温かくなった。


今回は女の人がたくさんいた。
自分で運転する人。
タンデムで後ろに乗っている人。

ソロの人は見かけなかったなぁ。
みんな誰かと一緒にいた。

こんなに女性ライダーが増えても
一人で走ってる人はあまりいないみたい。


20年以上前に
女性で、かつ一人で走っていたわたしは
ホントに珍しかったんだろうなぁ。

当時、そんなことは
全く気にしてなかった。

あの頃は
自分のバイクが大好き過ぎて
バイクと一緒だったらそれでよかったから。


今は、男性でも
ソロで走っている人自体が少ない。

昔はもっと一人で走っている人が
多かった気がする。

今はみんなで走るのが
流行っているのかもしれないと思った。


理由はよくわからないけど
わたしは一人で走るのが好き。

今はスキとコメントをもらえるから
走ってても一人じゃない。

もらったコメントを思い出す。
大事な言葉を心に刻む。


バイクは楽しい。

バイクに乗れてよかった。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?