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山梨ツーリング 須走


2024.6.17

富士五湖道路を走っている

だいぶ疲れている
ぼんやり眠いのと左肩が痛いのと

右手が痛いのは
加速して右手を離して太ももを叩いて
手のひらをほぐすと楽になる

左肩は左に体をねじって
後ろのシートに左手を引っ掛けて伸ばす

でも痛い ダルい
前はこんなに痛まなかった

走ってて「楽しい!」より
「辛い」が勝ったら
バイクをおりるんだろうな

そんなことが頭をよぎる


今日、楽しかったんだろうか?
自分に問うてみる

答えは、否だ
踏んだり蹴ったりで、体もつらい

こんな旅が続いたら
乗るのをやめてしまうのかもしれない

あと5年乗ると決めて
保険をかけたことを思い出す

あと5年で、何回乗れるんだろう
あと何回、五合目に行けるんだろう

トンネルに入ったら
金沢に行った日を思い出した


あの日は、富士五湖道路が通行止で
せっかく早く出たのに7時まで待たされた

運良く先頭に出られたわたしは
通行止が解除された瞬間、飛び出して
先頭を切って走り出した

トンネルに入る
トンネル内の空気が冷たい

ひと晩、誰も通らなかったからだ

そう思いながら
冷気の中を切り裂くように走る

向こうからライトが見えてきた
対向車線の先頭車が来たんだ

トンネルの真ん中ですれ違いながら
これから向かう金沢を思った


このトンネルは生暖かい

夕方の今、日中の温度と車の排気ガスが
トンネル内を暖かくしている

行き来する人たちのことを思う

トンネルを抜けたら
また右を見た

見える時と見えない時がある富士山
見える時は中腹に雲をまとっている

あの雲が五合目あたりなのか
手前に浮いているだけなのか

その判断ができない

ずっと続く平坦な直線を走っていたら
目星をつけていた休憩先が見えてきた


道の駅 須走 16:03〜16:38

富士五湖道路の最終地点
隣接するように道の駅がある

金沢に行く時
ここで通行止が解除するまで待機した

あの時とは違う心持ちで
今ここにいる

バイクを停め、売店に向かった
前は早すぎて、開いてなかったなと思う

中をひと通り見ながら
お土産を探す

これから五合目に向かうのか?

ずっと自分に問うている

前は、満天の星空を見た後
御殿場に降りたら
一面、雨雲におおわれていた

あの雲の上は、星空なんだ

あの不思議さは忘れられない

その気持ちをまた確かめたくて
一面の雲の中、五合目に上ろうとしている

はずなのに…

体と心は乗り気ではない
行った後の不安の方が大きい

どうしよう
無理をしない方がいいんだろうか

そうやって、みんな
つまらなくなっていくんじゃないのか

無理ができないのは
終わりを意味してるんじゃないのか


決め手がなく
なんとなく、スマホの天気予報を見てみた

あと1時間で雨が降り出すでしょう

画面に書いてある文字を読んで驚く

雨なの?
家の方は?

同じくこの後、雨という文字

雨の中、五合目まで上って
雨の中、下り
雨の中、高速を走って帰る

できるの?
やりたいの?

自分に問うてみるが…

できる気がしなかった


それでも決まらなくて
五合目に行くルートと
家に帰るルートを両方調べた

この先、あそこであの道を選べば
あちらに行ける

そんな記憶でバイクにまたがり
ふらっと走り出す

そこに来た時の気分で決めよう

そう思い、そこに来て…

『無理をしてはいけませんよ』

そう言われた気がして
五合目に行くのはやめることにした


帰ろう

東名に向かう

まだこんなに日が高いのに
もう帰り道に向かうのか

今日1日
何の楽しみも見つけられなかった

そんな残念な気持ちで
高速を目指した


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